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幕間
前編
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山々のあいだに、ひっそりと沈むようにして村があった。
濃い霧が一日じゅう谷を覆い、太陽の光が届くのは、ほんのわずかな時間だけ。
風は静かで、鳥の声すら聞こえない。
その沈黙の中で、カイは育った。
生まれたときから、外の世界を知らなかった。
村の外には恐ろしい獣と、かつて彼らの国を滅ぼした者たちの血が流れる土地が広がっていると、大人たちは言った。
それでも子どものころのカイは、その外の景色を夢のように思い描いていた。
山の向こうには、どんな空があるのだろう。
それを知りたくて、よく夜明け前の空を見上げていた。
村は亡国の残り火だった。
かつてこの地を治めていた国が滅び、逃げ延びた者たちがこの山の奥に隠れ住んだ。
カイは王族の末裔として生まれ、その瞬間から運命は決められていた。
──いつか国を再び興し、奪われた土地を取り戻せ。
──そして、祖国を滅ぼした一族を討て。
その言葉は、まるで呪いのように繰り返された。
だが、大人たちは誰も外へ出ない。
戦いを望んでいると言いながら、彼らは火を囲み、何度も同じ夢を語るばかりだった。
復讐の誓いを語りながら、誰一人として剣を取ることはなかった。
カイには、大人たちの言葉が空っぽに聞こえた。
いつしか気づいていた。
この村に流れているのは怒りではなく、恐れだ。
外の世界に触れないことで、過去に縛られ続ける人々の姿。
あまりに整いすぎた静けさが、カイには息を詰まらせる檻のように感じられた。
両親は早くに病で亡くなった。
カイを育てたのは、セラの家族だ。中でも、セラの祖父が熱心に世話を焼いてくれた。
セラは亡国の神子の家系で、幼いころから「王を支える者」として育てられていた。
同じ屋根の下で眠り、同じ食卓を囲んで育った。
兄妹のように、いつも一緒にいた。
カイにとって、セラの笑顔だけが村での救いだった。
季節がいくつも過ぎ、カイが十六になったある日。
外から、一人の旅人が迷い込んだ。
村人たちは慌てた。
村の存在が知られれば、彼らが『亡国の生き残り』であることが外へ漏れてしまう。
皆が沈黙する中で、セラの祖父が静かに言った。
「──殺すしかない」
その夜、村の広場で火が焚かれた。
旅人は縄で縛られ、かすれた声でなにかを訴えていた。
カイはその様子を見て、凍りついた。
旅人の荷には、金属でできた小さな羅針盤、見たことのない布、そして未知の香りがあった。
それらが、この世界の広さを雄弁に物語っていた。
それなのに、村人たちはそれを恐怖の象徴としてしか見なかった。
やがて旅人は殺され、静かに山の奥へ運ばれた。
翌朝、何事もなかったように村人たちは祈りを捧げた。
「外の世界は穢れている」と。
「我らは選ばれた血だ」と。
その夜、カイは旅人の荷から小さな羅針盤を盗んだ。
針がどこを指しているのかもわからないまま、手のひらに握りしめた。
──いつか、外へ出る。
その想いだけが、カイの胸の奥に残った。
けれど、その決意はすぐに見破られた。
ある晩、セラの祖父がカイの部屋に現れた。
彼の手には羅針盤が握られていた。
「逃げるつもりか、カイ。お前は王の血だぞ」
「……それがどうした。こんな閉ざされた場所で朽ちるために生まれたわけじゃない」
カイが羅針盤を奪い返すと、セラの祖父の瞳が、冷たく光る。
「王の血はこの地を守るためにある。復讐を遂げるまで、外へ出ることは許されぬ」
「そんなもの……誰も遂げようとしていないじゃないか!」
怒鳴る声が夜を裂いた。
祖父の手のひらが宙を払うと、空気がひときわ震え、拍の光が走った。
それは空気の震えを通して心を縛る術──拍術。
この村で唯一、王家と神子の一族に伝わる古い力。
「やめろ!」
カイは咄嗟に手を翳し、自らも拍を打つ。
しかし、経験の差は歴然だった。
圧迫するような力が胸を締めつけ、視界が滲む。
膝をついたカイの頬に、冷たい土が触れた。
そこへ、息を切らしたセラが飛び込んできた。
「おじいさま、もうやめて! カイを傷つけないで!」
セラの声が、涙で震えていた。
だが、祖父は構わず術を強めた。
カイの身体が押し潰されるようにして、地へと沈み込んでいく。
セラはとっさに自分の術を重ねた。
瞬間、二つの律がぶつかり合う。
空気が裂け、耳をつんざく音が鳴った。
光が爆ぜた。
次の瞬間、世界が白く染まった。
──気がつくと、村は消えていた。
家々は崩れ、木々は焼け、空には煙が漂っていた。
すべてが灰になっていた。
耳鳴りの向こうに、セラの泣き声だけがかすかに届いた。
カイはなにも言えなかった。
言葉というものが、この光景の前ではあまりにも無力に思えた。
やがて、セラが顔を上げた。
その瞳に映るのは、燃え尽きた村の影。
炎も声も消えた世界に、二人だけが取り残されていた。
カイは手の中の羅針盤を見つめた。
針は、揺れながらも確かに南を指している。
その先に、なにがあるのかはわからない。
けれど、この地獄のような静寂から抜け出したい──それだけが確かだった。
「行こう、セラ。ここには、もうなにもない」
そう言って、カイは手を伸ばした。
セラは泣きながらうなずき、その手を握る。
指先がかすかに震えていた。
二人は焼け跡を背に、森を出た。
夕暮れの光が木々の隙間を縫い、灰の中に一筋の炎を描いた。
それは、滅びの中に灯る最後の火だった。
濃い霧が一日じゅう谷を覆い、太陽の光が届くのは、ほんのわずかな時間だけ。
風は静かで、鳥の声すら聞こえない。
その沈黙の中で、カイは育った。
生まれたときから、外の世界を知らなかった。
村の外には恐ろしい獣と、かつて彼らの国を滅ぼした者たちの血が流れる土地が広がっていると、大人たちは言った。
それでも子どものころのカイは、その外の景色を夢のように思い描いていた。
山の向こうには、どんな空があるのだろう。
それを知りたくて、よく夜明け前の空を見上げていた。
村は亡国の残り火だった。
かつてこの地を治めていた国が滅び、逃げ延びた者たちがこの山の奥に隠れ住んだ。
カイは王族の末裔として生まれ、その瞬間から運命は決められていた。
──いつか国を再び興し、奪われた土地を取り戻せ。
──そして、祖国を滅ぼした一族を討て。
その言葉は、まるで呪いのように繰り返された。
だが、大人たちは誰も外へ出ない。
戦いを望んでいると言いながら、彼らは火を囲み、何度も同じ夢を語るばかりだった。
復讐の誓いを語りながら、誰一人として剣を取ることはなかった。
カイには、大人たちの言葉が空っぽに聞こえた。
いつしか気づいていた。
この村に流れているのは怒りではなく、恐れだ。
外の世界に触れないことで、過去に縛られ続ける人々の姿。
あまりに整いすぎた静けさが、カイには息を詰まらせる檻のように感じられた。
両親は早くに病で亡くなった。
カイを育てたのは、セラの家族だ。中でも、セラの祖父が熱心に世話を焼いてくれた。
セラは亡国の神子の家系で、幼いころから「王を支える者」として育てられていた。
同じ屋根の下で眠り、同じ食卓を囲んで育った。
兄妹のように、いつも一緒にいた。
カイにとって、セラの笑顔だけが村での救いだった。
季節がいくつも過ぎ、カイが十六になったある日。
外から、一人の旅人が迷い込んだ。
村人たちは慌てた。
村の存在が知られれば、彼らが『亡国の生き残り』であることが外へ漏れてしまう。
皆が沈黙する中で、セラの祖父が静かに言った。
「──殺すしかない」
その夜、村の広場で火が焚かれた。
旅人は縄で縛られ、かすれた声でなにかを訴えていた。
カイはその様子を見て、凍りついた。
旅人の荷には、金属でできた小さな羅針盤、見たことのない布、そして未知の香りがあった。
それらが、この世界の広さを雄弁に物語っていた。
それなのに、村人たちはそれを恐怖の象徴としてしか見なかった。
やがて旅人は殺され、静かに山の奥へ運ばれた。
翌朝、何事もなかったように村人たちは祈りを捧げた。
「外の世界は穢れている」と。
「我らは選ばれた血だ」と。
その夜、カイは旅人の荷から小さな羅針盤を盗んだ。
針がどこを指しているのかもわからないまま、手のひらに握りしめた。
──いつか、外へ出る。
その想いだけが、カイの胸の奥に残った。
けれど、その決意はすぐに見破られた。
ある晩、セラの祖父がカイの部屋に現れた。
彼の手には羅針盤が握られていた。
「逃げるつもりか、カイ。お前は王の血だぞ」
「……それがどうした。こんな閉ざされた場所で朽ちるために生まれたわけじゃない」
カイが羅針盤を奪い返すと、セラの祖父の瞳が、冷たく光る。
「王の血はこの地を守るためにある。復讐を遂げるまで、外へ出ることは許されぬ」
「そんなもの……誰も遂げようとしていないじゃないか!」
怒鳴る声が夜を裂いた。
祖父の手のひらが宙を払うと、空気がひときわ震え、拍の光が走った。
それは空気の震えを通して心を縛る術──拍術。
この村で唯一、王家と神子の一族に伝わる古い力。
「やめろ!」
カイは咄嗟に手を翳し、自らも拍を打つ。
しかし、経験の差は歴然だった。
圧迫するような力が胸を締めつけ、視界が滲む。
膝をついたカイの頬に、冷たい土が触れた。
そこへ、息を切らしたセラが飛び込んできた。
「おじいさま、もうやめて! カイを傷つけないで!」
セラの声が、涙で震えていた。
だが、祖父は構わず術を強めた。
カイの身体が押し潰されるようにして、地へと沈み込んでいく。
セラはとっさに自分の術を重ねた。
瞬間、二つの律がぶつかり合う。
空気が裂け、耳をつんざく音が鳴った。
光が爆ぜた。
次の瞬間、世界が白く染まった。
──気がつくと、村は消えていた。
家々は崩れ、木々は焼け、空には煙が漂っていた。
すべてが灰になっていた。
耳鳴りの向こうに、セラの泣き声だけがかすかに届いた。
カイはなにも言えなかった。
言葉というものが、この光景の前ではあまりにも無力に思えた。
やがて、セラが顔を上げた。
その瞳に映るのは、燃え尽きた村の影。
炎も声も消えた世界に、二人だけが取り残されていた。
カイは手の中の羅針盤を見つめた。
針は、揺れながらも確かに南を指している。
その先に、なにがあるのかはわからない。
けれど、この地獄のような静寂から抜け出したい──それだけが確かだった。
「行こう、セラ。ここには、もうなにもない」
そう言って、カイは手を伸ばした。
セラは泣きながらうなずき、その手を握る。
指先がかすかに震えていた。
二人は焼け跡を背に、森を出た。
夕暮れの光が木々の隙間を縫い、灰の中に一筋の炎を描いた。
それは、滅びの中に灯る最後の火だった。
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