離婚したので冒険者に復帰しようと思います。

黒蜜きな粉

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問題発生

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 ライラは文句を口にしながら、受験者たちをどうするか考える。

 このまま呆けていて殺されでもしたら困る。
 いちばん面倒なのは、自棄を起こしてモンスターに突っ込まれてしまうことだ。
 そうなれば確実に命はない。

「なんとかして自分の足で逃げるように彼らを奮い立たせてやればいいのかしら?」

 そんなことが自分にできるのかとライラは迷った。
 しかし、悩んでいたって仕方がない。
 ライラは頭を振って気持ちを切り替えると、覚悟を決めて大きく息を吸いこんだ。

「何をぼさっとしているの!」

 ライラの突然の怒声に、動けなくなっていた受験者たちがびくりと身体を震わせる。
 ライラ自身も自分がこんなに大きな声を出せたのかと驚いていた。
 ここまで声を張り上げたのはいつ以来だろう。喉の奥がひりひりとして痛みを感じる。
 しかし、驚きも痛みもけして表には出さず堂々と胸を張った。

 ――大丈夫だ。私ならできる!

 ライラは自分自身に心の中で言い聞かせる。
 以前はこうして後輩の指導にあたることはよくあった。
 ランクが上がればそれだけの立ち振る舞いを求められることは当たり前だった。
 真摯に訴えかければきっと伝わる。

 ライラは真剣な顔をして受験者一人一人の姿をしっかりと視界に捉える。

「あのモンスターを絶対に街へ近付けてはいけない!」

 受験者それぞれの反応に気をつけながら、慎重に言葉を選ぶ。
 呆けていた受験者の何人かが、ライラの声につられて顔をあげる。
 ライラは縋るようにこちらを見つめてきた受験者と視線を合わせると、彼らを落ち着かせようとゆっくりと頷く。

「あのモンスターはここで必ず食い止める!」

 ライラはキッパリと言いきった。

「大丈夫! イルシア君はちゃんとモンスターの足止めをしているでしょう?」

 ライラは受験者たちにモンスターと戦っているイルシアの姿を見るように促した。
 
「さあ、立ちあがって。ちゃっちゃと足を動かす! すぐにここから逃げてちょうだい」

 ライラは自分の話に耳を傾けている受験者たちに、大げさな身振りをしながら訴えかける。

「あの瘴気に触れれば自我を失ってしまうわ。イルシア君がモンスターを止めている内に結界内へ急いで!」

 ライラの訴えを聞いて、ほとんどの受験者は慌てて立ち上がると結界内に逃げ込んだ。
 動けずにいる残りの数人はライラが抱えて結界内に押し込んだ。 

「……はあ、とりあえず何とかなったかしら……」

 最後の一人を結界内に放り込んで、ライラはイルシアとモンスターの戦いを眺めながらぼやいた。
 これで討伐に邪魔な者は全て安全な場所に移動させることができた。
 あとは暴走しているイルシアと、モンスターの動きを止めるだけだ。
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