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神の化身
遠い、透い、記憶。Part 1.
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1998年 日本 東京都 渋谷区
私は、いわゆる陰キャだった。周りにはギャルばかり、当然、私の存在に気づく人なんていなかった。1人を除いて。
「空星チャン!」
ドンッと私の背中に抱きついたのは瀬乃 凛杏、瀬乃先輩だ。
瀬乃先輩は唯一の友人だった。私みたいな人間と普通に関わってくれるのは先輩だけだった。
嬉しかった。入学式に初めて出会ったのが先輩で、本当に良かった。
「どうしたんですか?瀬乃先輩。」
先輩はくるりと周り、私の前に立つとにやりと微笑んだ。
「メガネ外して前髪よけたら空星チャン、バチバチ美人なのに!勿体ないよ!」
「いやっ...!やめてくださいっ...!」
私は思わず先輩を押し退けてしまった。
私は前髪をよけられるのだけは嫌だった。いや、それよりも顔を見られる事自体が嫌だった。
何故ならば私は生まれつき顔に大きな痣があったからだ。このせいで私は小さい頃から「化け物だーやべぇ!」と言われよくからかわれていた。それがトラウマで私は前髪を伸ばしていた。できるだけ、なるべく、顔が隠れる様に......
先輩は少し申し訳なさそうな顔をし、立ち上がった。
「す、すみませんっ......少しびっくりして......」
「ううん、大丈夫。ごめんね、空星ちゃん......見られたくなかったよね......ごめん......」
先輩も何とか私に勇気付けようとしてくれていたんだと思う。なのに、私は......
数日後
私は先輩を押してしまった時、実は先輩のアイシャドウが割れていた。以前見せてくれたお気に入りの物だったらしい。先輩は少し悲しそうにしていたが、気を使ってくれたのか、「大丈夫、大丈夫!」と言ってくれた。だが、罪悪感が強く、お詫びとして先輩希望で、2人で出かけるという事になった。
私は、母が昔着ていた未だ綺麗な白いワンピースを着て、前髪を切り、髪を巻き、メガネを外し、痣はファンデでできるだけ隠して、眉毛を整え、まつ毛を上げ、チークを入れ、仕上げに桃色の口紅を塗り、私は決意した。
私はもう、顔を隠さない。コンプレックスなんて気にしない。
先輩、ありがとう。
「先輩っ!」
私は待ち合わせ場所で先輩の姿を見つけた。
先輩と目が合い、私の方に走って抱きしめてきた。これはいつもの戯れではない、先輩は泣いていた。嬉しそうに、泣いていた。
「......空星ちゃん......ごめん、ありがとう......本当に、ありがとう......」
先輩は少し離れ、涙を拭い、私の顔を見て微笑んだ。
「とっても、可愛い、似合ってるよ。空星チャン。」
これは、最期に見た先輩の笑顔だった。
この後、私は泣き叫ぶ。想像もよらない事実を知り、全てを失う。
私は、いわゆる陰キャだった。周りにはギャルばかり、当然、私の存在に気づく人なんていなかった。1人を除いて。
「空星チャン!」
ドンッと私の背中に抱きついたのは瀬乃 凛杏、瀬乃先輩だ。
瀬乃先輩は唯一の友人だった。私みたいな人間と普通に関わってくれるのは先輩だけだった。
嬉しかった。入学式に初めて出会ったのが先輩で、本当に良かった。
「どうしたんですか?瀬乃先輩。」
先輩はくるりと周り、私の前に立つとにやりと微笑んだ。
「メガネ外して前髪よけたら空星チャン、バチバチ美人なのに!勿体ないよ!」
「いやっ...!やめてくださいっ...!」
私は思わず先輩を押し退けてしまった。
私は前髪をよけられるのだけは嫌だった。いや、それよりも顔を見られる事自体が嫌だった。
何故ならば私は生まれつき顔に大きな痣があったからだ。このせいで私は小さい頃から「化け物だーやべぇ!」と言われよくからかわれていた。それがトラウマで私は前髪を伸ばしていた。できるだけ、なるべく、顔が隠れる様に......
先輩は少し申し訳なさそうな顔をし、立ち上がった。
「す、すみませんっ......少しびっくりして......」
「ううん、大丈夫。ごめんね、空星ちゃん......見られたくなかったよね......ごめん......」
先輩も何とか私に勇気付けようとしてくれていたんだと思う。なのに、私は......
数日後
私は先輩を押してしまった時、実は先輩のアイシャドウが割れていた。以前見せてくれたお気に入りの物だったらしい。先輩は少し悲しそうにしていたが、気を使ってくれたのか、「大丈夫、大丈夫!」と言ってくれた。だが、罪悪感が強く、お詫びとして先輩希望で、2人で出かけるという事になった。
私は、母が昔着ていた未だ綺麗な白いワンピースを着て、前髪を切り、髪を巻き、メガネを外し、痣はファンデでできるだけ隠して、眉毛を整え、まつ毛を上げ、チークを入れ、仕上げに桃色の口紅を塗り、私は決意した。
私はもう、顔を隠さない。コンプレックスなんて気にしない。
先輩、ありがとう。
「先輩っ!」
私は待ち合わせ場所で先輩の姿を見つけた。
先輩と目が合い、私の方に走って抱きしめてきた。これはいつもの戯れではない、先輩は泣いていた。嬉しそうに、泣いていた。
「......空星ちゃん......ごめん、ありがとう......本当に、ありがとう......」
先輩は少し離れ、涙を拭い、私の顔を見て微笑んだ。
「とっても、可愛い、似合ってるよ。空星チャン。」
これは、最期に見た先輩の笑顔だった。
この後、私は泣き叫ぶ。想像もよらない事実を知り、全てを失う。
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