ユークロニア 〜蒼い輝に包まれて〜

雨宮濛

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神の化身

失ったもの。

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 記憶が曖昧だ。
 微かに声が聞こえた。

 私はかつて遠い記憶を見ていた。
 何かは思い出せないけど、とても、悲しい記憶だった。

 いつか、思い出せるといいな......

 201年 ナタリア王国

「エルフィス?大丈夫?」

 学園の廊下でルリアとエルフィスは話していた。

 あの日、力を奪われてから1ヶ月、エルフィスは学校へと通う事になった。

 エルフィスやそれを見た周りの人々は、その時の記憶を全て失っていた。

 来召族としての力は残っているが、化身としての力は創世神の元の力の分だけ取られた。

「うーん......体調的には大丈夫なんだけどね。最近変な夢見るんだよね......」

「へぇ、そうなんだ。......そうだ!ザムキアの森の神殿に祈りを捧げると苦しみから解放されるって聞いた事がある!試しに行ってみたら?」

 ザムキアの森、そこは霧で囲まれ周りがよく見えず、行方不明者が多数出ている。そのため、ザムキアの森はAランク以上の冒険者以外は立ち入り禁止となっている。

「えぇ......でも私まだ入れないし......」

「ユノさんに連れて行ってもらえばいいじゃん。」

 エルフィスはハッとしてルリアの肩を掴み揺らした。

「ルリア、天才!」

 授業を終え、放課後になるとルリアと別れ、城へ戻った。

「ユノ!頼みがあります!」

 騎士団の訓練場で剣の素振りをして汗を流しているユノに声を掛けた。

「姫様、どうなさいましたか?」

「今から私をザムキアの森へ連れて行ってください!」

 ユノは凍りついた様に言った。

「理由をお聞きしても......?」

「祈りを捧げにっ」

 言葉が途切れた。何故か。ユノはエルフィスの頬を叩いたからだ。

「え......?」

 エルフィスは戸惑い、そのまま立っている事しかできなかった。
 ユノの瞳には憎しみが宿っていた。

「それは、誰から言われたのですか......?」

『ルリア・ベーバルタ......』

 ユノは剣を持ち直し、エルフィスの心臓を突き刺した。

「神の化身が、何故、サバトにすんなりと騙されているのですか......」

 エルフィスの口と胸から血が大量に噴き出した。
 だが、エルフィスは何もない様に平然に立っていた。

「サバト......?」

「サバトは、貴方達を信仰する人々を喰い殺す魔女の宴......貴方は今、友人に狙われています。サバト協会に......」

 サバト協会、ね......

 201年 ナタリア王国

「エルフィス?大丈夫?」

 学園の廊下でルリアとエルフィスは話していた。

 あの日、力を奪われてから1ヶ月、エルフィスは学校へと通う事になった。

 エルフィスやそれを見た周りの人々は、その時の記憶を全て失っていた。

 来召族としての力は残っているが、化身としての力は創世神の元の力の分だけ取られた。

「うーん......体調的には大丈夫なんだけどね。最近変な夢見るんだよね......」

「へぇ、そうなんだ。......そうだ!ザムキアの森の神殿に祈りを捧げると苦しみから解放されるって聞いた事がある!試しに行ってみたら?」

「ねぇ、ルリア。」

 エルフィスは光の無い瞳で呼びかけた。

「どうしたの?エルフィス。」

 ルリアのその瞳、声は美しかった。エルフィスにはルリアが自分を裏切っているとは思えなかった。

「ルリアの宗派って何かな?」

「んー?家はね、サバトだよ?」

 この子は何も知らない。ただ純粋な、悪魔だった。

「そっか、ルリア、じゃぁ話さないといけないね。」

 ルリアはきょとんと首を傾げていた。やはり、何も知らないのだ。

「ルリア、サバトは私を殺すためにある。だから貴方の家系は犯罪者、いつ追放されてもおかしくはない......」

「どういう事......?」

「サバトはね、悪魔を崇拝する魔女の集まりなの......だから、貴方は悪魔の子......」

 ルリアの瞳からは光が失われた。

「だから、こっちにおいで、ルリア・ベーバルタ!」
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