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チートをもらえるけど平安時代に飛ばされるボタン 押す/押さない
2.平安時代
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「ふぁっ!?なんじゃこりゃ……」
目が覚めたら森だった。
これはあれか、異世界にでも来たんか?
周囲には白神山地や屋久島のような自然のままの巨木が生い茂っており、とても日本とは思えない。
地面には陽の光が少ないからか下草は少なく、わずかに湿った苔に覆われている。
幻想的で、現実感がない。
「夢じゃないよな」
古典的だが頬をつねってみた。
痛い。
わかってはいたが夢ではない。
いったい何がどうしてこうなったのか。
昨日は普通に仕事から帰って眠った記憶がある。
うん?なんか夜中に誰かに話しかけられたような。
ボタンがどうとか。
え、俺一人暮らしだよね。
なんで夜中に誰かに話しかけられてんの。
ちょっと、怖いんだけど。
ここがどこなのかも分からないし、家に帰れるのだろうか。
むき出しの自然が目に痛い。
文明が崩壊して1000年後の世界とか言われても納得できそうだ。
ここに俺の住んでいたマンションがあったのだろうか。
鉄筋コンクリートの建物だぞ。
さすがに1000年経っても形くらいは残っているだろ。
混乱の最中にある俺だったが、突然鳴ったティトーンというメッセージアプリの着信音に少し冷静になる。
スマホは繋がるのか。
なら大丈夫、きっと誰かが助けてくれるはず。
外国であっても日本大使館とかがあればなんとかなる。
たとえ異世界だったとしてもスマホが繋がるならば、その世界線では日本と異世界が繋がっているはずだ。
俺はスマホを取り出した。
ん?電波来てないな。
なんでメッセージ来たんだ?
というか電池の表示が無くなってる。
バグったかな。
とにかくメッセージを見てみよう。
『おはよう。平安時代はどうかな?トリップしたばかりが一番死ぬ確率が高いから気をつけてね。君にあげるチートはこのスマホです。電池切れも無いし破壊も不可能な不思議なスマホだよ。残念ながら現代と電波を繋いであげることはできないけれど、平安サバイバルに役立ちそうなアプリがいくつか入っています。うまく活用して、これからの人生を楽しんでね。by神』
え、平安時代ってなに。
スマホでどうすればいいっての。
ちょっと何言ってるのか分からないな。
by神って書いてあるけど、神ってあの神かな。
神田さんとか神谷さんの略という可能性も無くはないけれど、残念ながらこんな楽しくないいたずらをする神田さんや神谷さんが知り合いにいない。
とりあえずそのアプリというのを確認してみようかな。
自分が入れた覚えの無いアプリは全部で3つ。
『よくわかる平安時代』
『漫画で分かる日本の歴史』
『ゴッドガチャ』
待て待て、もしここが本当に平安時代だったとしてこんなアプリ3つで生きぬけってことか?
え、無理じゃない?
平安時代ってあれだろ、マロマロおじゃるおじゃるの貴族が蹴鞠でドライブシュートの時代だ。
貴族と庶民の暮らしの格差が平等院鳳凰堂と竪穴式住居ほどもあったという時代。
俺の身分は当然貴族ではないよね。
すでに詰んでいると思うのだけどね。
確かに平安時代は武士という新たな身分階級が生まれた時代だ。
力さえあればある程度の成り上がりも可能なのかもしれないけれど、俺は別に小さい頃から古武術習ってたとかそんなことも無い普通の人間だよ。
高校のときは水泳部だったから泳ぎは得意だけど、それも甲冑着込んで泳げといわれたら普通に沈んで溺れちゃうと思う。
こんな俺でも平安時代を生き抜ける可能性のある何かが、このアプリにはあるのだろうか。
とりあえずどんなアプリか想像できる『漫画で分かる日本の歴史』を起動してみるか。
普通に電子書籍のリーダーのようなアプリ画面が出てきた。
1巻をタップする。
1巻は紀元前4万年。
紀元前からなんだ。
どうやら1巻は人間が日本列島に移り住んだところらしい。
日本の歴史をどこから勉強させる気なのか。
そもそもこれ全部で何巻あんの?
えっと一十百千万十万、約十万三千冊。
ふむ、どこかで聞いたことがある冊数。
痛っ、頭が。
ダメだ、思い出せない。
しかしこれ、紀元前から現代まであるのだろうか。
生きてる間に読み終わるかな。
絵柄は今風でポップな感じなので読みやすくはあるのだろう。
俺もこういう感じの絵は嫌いじゃないので暇があったら読んでみよう。
次は『よくわかる平安時代』かな。
アプリをタップすると質素なデザインの検索エンジンが出てきた。
平安時代のことを検索できるエンジンなのかな。
試しに平安時代 ご飯、で検索っと。
なんとかペディアみたいなページが出てきた。
画像付きだ。
うーん、格差社会。
貴族は主食にお米を食べている。
庶民はヒエやアワなどの雑穀。
貴族が食べているのも現代のように炊いたご飯ではなく米を蒸した強飯というものだったようだ。
ほかほかご飯が食べられないのは辛いな。
味付けは基本的に塩。
醤油や味噌はまだない。
原型となる醤という調味料はあるようだけど、最先端の調味料なので当然ながら貴族しか使っていない。
ここが本当に平安時代なのだとしたら、俺もそんな飯を食べなければならないのか。
というかそれすら食べられるのかな。
俺はスマホ以外着の身着のままだ。
お金にできそうなものが無い。
スマホはどう考えてもこの時代を生き抜くための生命線だ。
売るわけにはいかない。
服とかって売れたりするのだろうか。
俺が着ているのは上下綿の寝巻きで、こんなもの現代の古着屋では0円買取となるだろう。
まあ時代が本当に平安時代ならば、めずらしい洋服として売れるかもしれない。
代わりの服よりも高く売れるようであれば、寝巻きを売って代わりの服を買えばいい。
それもこのジブリの世界のような太古の森から、無事に人の住む町にたどり着けたらの話だ。
残りのアプリの検証だけは先に終わらせてしまおう。
次が最後のアプリとなる『ゴッドガチャ』だ。
目が覚めたら森だった。
これはあれか、異世界にでも来たんか?
周囲には白神山地や屋久島のような自然のままの巨木が生い茂っており、とても日本とは思えない。
地面には陽の光が少ないからか下草は少なく、わずかに湿った苔に覆われている。
幻想的で、現実感がない。
「夢じゃないよな」
古典的だが頬をつねってみた。
痛い。
わかってはいたが夢ではない。
いったい何がどうしてこうなったのか。
昨日は普通に仕事から帰って眠った記憶がある。
うん?なんか夜中に誰かに話しかけられたような。
ボタンがどうとか。
え、俺一人暮らしだよね。
なんで夜中に誰かに話しかけられてんの。
ちょっと、怖いんだけど。
ここがどこなのかも分からないし、家に帰れるのだろうか。
むき出しの自然が目に痛い。
文明が崩壊して1000年後の世界とか言われても納得できそうだ。
ここに俺の住んでいたマンションがあったのだろうか。
鉄筋コンクリートの建物だぞ。
さすがに1000年経っても形くらいは残っているだろ。
混乱の最中にある俺だったが、突然鳴ったティトーンというメッセージアプリの着信音に少し冷静になる。
スマホは繋がるのか。
なら大丈夫、きっと誰かが助けてくれるはず。
外国であっても日本大使館とかがあればなんとかなる。
たとえ異世界だったとしてもスマホが繋がるならば、その世界線では日本と異世界が繋がっているはずだ。
俺はスマホを取り出した。
ん?電波来てないな。
なんでメッセージ来たんだ?
というか電池の表示が無くなってる。
バグったかな。
とにかくメッセージを見てみよう。
『おはよう。平安時代はどうかな?トリップしたばかりが一番死ぬ確率が高いから気をつけてね。君にあげるチートはこのスマホです。電池切れも無いし破壊も不可能な不思議なスマホだよ。残念ながら現代と電波を繋いであげることはできないけれど、平安サバイバルに役立ちそうなアプリがいくつか入っています。うまく活用して、これからの人生を楽しんでね。by神』
え、平安時代ってなに。
スマホでどうすればいいっての。
ちょっと何言ってるのか分からないな。
by神って書いてあるけど、神ってあの神かな。
神田さんとか神谷さんの略という可能性も無くはないけれど、残念ながらこんな楽しくないいたずらをする神田さんや神谷さんが知り合いにいない。
とりあえずそのアプリというのを確認してみようかな。
自分が入れた覚えの無いアプリは全部で3つ。
『よくわかる平安時代』
『漫画で分かる日本の歴史』
『ゴッドガチャ』
待て待て、もしここが本当に平安時代だったとしてこんなアプリ3つで生きぬけってことか?
え、無理じゃない?
平安時代ってあれだろ、マロマロおじゃるおじゃるの貴族が蹴鞠でドライブシュートの時代だ。
貴族と庶民の暮らしの格差が平等院鳳凰堂と竪穴式住居ほどもあったという時代。
俺の身分は当然貴族ではないよね。
すでに詰んでいると思うのだけどね。
確かに平安時代は武士という新たな身分階級が生まれた時代だ。
力さえあればある程度の成り上がりも可能なのかもしれないけれど、俺は別に小さい頃から古武術習ってたとかそんなことも無い普通の人間だよ。
高校のときは水泳部だったから泳ぎは得意だけど、それも甲冑着込んで泳げといわれたら普通に沈んで溺れちゃうと思う。
こんな俺でも平安時代を生き抜ける可能性のある何かが、このアプリにはあるのだろうか。
とりあえずどんなアプリか想像できる『漫画で分かる日本の歴史』を起動してみるか。
普通に電子書籍のリーダーのようなアプリ画面が出てきた。
1巻をタップする。
1巻は紀元前4万年。
紀元前からなんだ。
どうやら1巻は人間が日本列島に移り住んだところらしい。
日本の歴史をどこから勉強させる気なのか。
そもそもこれ全部で何巻あんの?
えっと一十百千万十万、約十万三千冊。
ふむ、どこかで聞いたことがある冊数。
痛っ、頭が。
ダメだ、思い出せない。
しかしこれ、紀元前から現代まであるのだろうか。
生きてる間に読み終わるかな。
絵柄は今風でポップな感じなので読みやすくはあるのだろう。
俺もこういう感じの絵は嫌いじゃないので暇があったら読んでみよう。
次は『よくわかる平安時代』かな。
アプリをタップすると質素なデザインの検索エンジンが出てきた。
平安時代のことを検索できるエンジンなのかな。
試しに平安時代 ご飯、で検索っと。
なんとかペディアみたいなページが出てきた。
画像付きだ。
うーん、格差社会。
貴族は主食にお米を食べている。
庶民はヒエやアワなどの雑穀。
貴族が食べているのも現代のように炊いたご飯ではなく米を蒸した強飯というものだったようだ。
ほかほかご飯が食べられないのは辛いな。
味付けは基本的に塩。
醤油や味噌はまだない。
原型となる醤という調味料はあるようだけど、最先端の調味料なので当然ながら貴族しか使っていない。
ここが本当に平安時代なのだとしたら、俺もそんな飯を食べなければならないのか。
というかそれすら食べられるのかな。
俺はスマホ以外着の身着のままだ。
お金にできそうなものが無い。
スマホはどう考えてもこの時代を生き抜くための生命線だ。
売るわけにはいかない。
服とかって売れたりするのだろうか。
俺が着ているのは上下綿の寝巻きで、こんなもの現代の古着屋では0円買取となるだろう。
まあ時代が本当に平安時代ならば、めずらしい洋服として売れるかもしれない。
代わりの服よりも高く売れるようであれば、寝巻きを売って代わりの服を買えばいい。
それもこのジブリの世界のような太古の森から、無事に人の住む町にたどり着けたらの話だ。
残りのアプリの検証だけは先に終わらせてしまおう。
次が最後のアプリとなる『ゴッドガチャ』だ。
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