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チートをもらえるけど平安時代に飛ばされるボタン 押す/押さない
8.仙丹
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仙丹は見た目からして普通の薬とは違った。
六神丸が入っていそうな小さな薬瓶に一粒だけ入った大きめの鼻クソのような丸薬。
しかしその丸薬がうっすらと光を放っているのである。
これは絶対ファンタジーなアイテムだ。
Sランクのアイテムは全てがファンタジーなアイテムなのかもしれない。
もしかしたらAランクもかな。
基本的にAランクより上はレアアイテムだと考えればよさそうだ。
問題はこいつに腕を再生させるような力があるかどうかだ。
なんてったって仙人だからね、腕くらい生えてくると思うのだが。
俺は薬瓶の蓋を開け、発光する薬を口に放り込んだ。
喉に引っかかったのでペットボトルの水を1本開封してラッパ飲みする。
普通に美味しいミネラルウォーターだ。
2リットルペットなので重くてラッパ飲みは疲れる。
こんなところにも地味に右腕で支えられない弊害があるとは。
さっさと生えてこいっての。
俺はペットボトルの蓋を閉め、深呼吸をした。
これで俺は仙人になったわけだけど、何か変わっただろうか。
なんとなく身体が熱い気がする。
傷薬を傷に塗ったときの熱さが全身に廻っているような感覚だ。
霊力とかチャクラとか、そういうものが感じられているのだろうか。
なんだか五感も鋭くなってきた気がする。
「はぁ、はぁ、これやば……」
全身に力が漲る。
地面から噴き出る大きな力を身体がどんどん吸収しているようだ。
半径1キロくらいの生き物が纏う気のようなものを鮮明に感じ取ることができている。
脳が処理しきれないほどの情報が溢れるが、それもすぐに落ち着いた。
気力に満ち溢れ、頭は冴えわたっている。
まるで自分という人間がすべて分解されて大自然に飲み込まれ、新しく生まれ変わったかのようだ。
とんでもないな、仙人。
「でもやっぱり、腕はだめか……」
仙人になったからといって腕は生えてこなかった。
大分希望的観測をしてしまっていたようだ。
仙人だから腕の1本くらい生えてくるはずだ、とか無理があったな。
無念だが、こればかりは仕方がない。
まだこれから先ガチャで回復系のレアアイテムが出る可能性だってあるし、仙人の修業をしていれば腕を再生させることができる術を会得することだってできるかもしれない。
前向きに頑張っていこう。
さて、ガチャだ。
スマホを取り出し、10連ガチャをタップする。
Sランク
なし
Aランク
なし
Bランク
・雑兵の槍
Cランク
・水×10
・米×10
・塩×10
・砂糖×10
・作務衣上下×3
・大八車
・鉄鍋
Dランク
・ビーチサンダル
・まな板
カプセルが開くとスマホの画面が赤く光り、アイテムが表示された。
どうやらレアリティごとに演出が異なるようだ。
前のときは虹色に光ったことを覚えている。
あれはおそらくSランクのアイテムがあったからだろう。
そして今回一番レアリティが高いアイテムはBランクの雑兵の槍。
10個の中の最高レアリティのアイテムによって、光の色が変わる演出だ。
Bランクは赤か。
あまり文句は言いたくないのだが、前回のアイテムとの落差が凄い。
雑兵の槍は名前の割に高級感漂ういい槍だが、普通の槍だ。
ちょっとファンタジーが足りないとか思ってしまっている自分がいて怖い。
前回のガチャはやはり初回レアリティブーストか何かがあったと考えるのが妥当か。
普通に考えてSランクが3つにAランクが2つも入っているなんておかしいからね。
SランクとAランクのいくつかはたぶん確定だったのだろう。
上げて落としてガチャ地獄に引きずり込もうというソシャゲによくある手だ。
しかしゴッドガチャは課金とかないから神様のサービスだろうか。
今後課金機能がアップデートされたりしたら尋常じゃない額をつぎ込んでしまいそうだ。
リアルアイテムが手に入るガチャなんかハマるなってほうが無理だもの。
「またお米いっぱい出たな」
塩とか砂糖とかお米とか、お世話になってるお礼に渡したいな。
もういっそのことすべて打ち明けてしまおうか。
未来の世界から来た云々は信じてもらえるかどうかわからないけど、ガチャとか収納の指輪とかは実際に見せれば信じるしかないからな。
金太郎さんと八重さんとは俺の体感では1日くらいの付き合いだけど、かなり良い人だってことは分かる。
多少アイテムの力を見せたところで奪おうなんてことは考えないと思うんだよ。
いや、もし奪われても別にいい。
スマホだけあればいくらでもやりなおせる。
それ以外は別に奪われてもいいんだ。
「そう考えるとなんだか気が楽になるな」
なんだか仙丹を口にしてから頭の中のもやもやがどこかに吹き飛んでいってしまったかのようだ。
腕を失って不安定になっていた精神が安定し、心の深い部分で物事を考えることができるようになった気がする。
これが仙人か。
仙人の力も色々と検証が必要かもな。
とりあえず、作務衣に着替えよ。
俺が着ていた寝間着はボロボロの血まみれになっていたので竈にくべて廃棄処分してしまった。
今は金太郎さんが子供の頃に着ていたという服を借りて着ている。
もちろん真っ赤な前掛けではなく、普通の着物だ。
しかしこのダボっとした服が用を足すときに結構邪魔になるのだ。
こちとら隻腕なもんで、昨日は危うく借りた服を汚してしまいそうになった。
八重さんが手伝ってくれると申し出てくれたが、丁寧に断った。
あんな美人に見られてたら出るもんも出んわ。
ちょうどいい具合にガチャで身軽な作務衣が出たことだし、さっさと着替えることにする。
書道家が着ていそうな濃紺のおしゃれ作務衣はなぜだか俺のサイズにピッタリだった。
これでお花摘みも少しは楽になることだろう。
六神丸が入っていそうな小さな薬瓶に一粒だけ入った大きめの鼻クソのような丸薬。
しかしその丸薬がうっすらと光を放っているのである。
これは絶対ファンタジーなアイテムだ。
Sランクのアイテムは全てがファンタジーなアイテムなのかもしれない。
もしかしたらAランクもかな。
基本的にAランクより上はレアアイテムだと考えればよさそうだ。
問題はこいつに腕を再生させるような力があるかどうかだ。
なんてったって仙人だからね、腕くらい生えてくると思うのだが。
俺は薬瓶の蓋を開け、発光する薬を口に放り込んだ。
喉に引っかかったのでペットボトルの水を1本開封してラッパ飲みする。
普通に美味しいミネラルウォーターだ。
2リットルペットなので重くてラッパ飲みは疲れる。
こんなところにも地味に右腕で支えられない弊害があるとは。
さっさと生えてこいっての。
俺はペットボトルの蓋を閉め、深呼吸をした。
これで俺は仙人になったわけだけど、何か変わっただろうか。
なんとなく身体が熱い気がする。
傷薬を傷に塗ったときの熱さが全身に廻っているような感覚だ。
霊力とかチャクラとか、そういうものが感じられているのだろうか。
なんだか五感も鋭くなってきた気がする。
「はぁ、はぁ、これやば……」
全身に力が漲る。
地面から噴き出る大きな力を身体がどんどん吸収しているようだ。
半径1キロくらいの生き物が纏う気のようなものを鮮明に感じ取ることができている。
脳が処理しきれないほどの情報が溢れるが、それもすぐに落ち着いた。
気力に満ち溢れ、頭は冴えわたっている。
まるで自分という人間がすべて分解されて大自然に飲み込まれ、新しく生まれ変わったかのようだ。
とんでもないな、仙人。
「でもやっぱり、腕はだめか……」
仙人になったからといって腕は生えてこなかった。
大分希望的観測をしてしまっていたようだ。
仙人だから腕の1本くらい生えてくるはずだ、とか無理があったな。
無念だが、こればかりは仕方がない。
まだこれから先ガチャで回復系のレアアイテムが出る可能性だってあるし、仙人の修業をしていれば腕を再生させることができる術を会得することだってできるかもしれない。
前向きに頑張っていこう。
さて、ガチャだ。
スマホを取り出し、10連ガチャをタップする。
Sランク
なし
Aランク
なし
Bランク
・雑兵の槍
Cランク
・水×10
・米×10
・塩×10
・砂糖×10
・作務衣上下×3
・大八車
・鉄鍋
Dランク
・ビーチサンダル
・まな板
カプセルが開くとスマホの画面が赤く光り、アイテムが表示された。
どうやらレアリティごとに演出が異なるようだ。
前のときは虹色に光ったことを覚えている。
あれはおそらくSランクのアイテムがあったからだろう。
そして今回一番レアリティが高いアイテムはBランクの雑兵の槍。
10個の中の最高レアリティのアイテムによって、光の色が変わる演出だ。
Bランクは赤か。
あまり文句は言いたくないのだが、前回のアイテムとの落差が凄い。
雑兵の槍は名前の割に高級感漂ういい槍だが、普通の槍だ。
ちょっとファンタジーが足りないとか思ってしまっている自分がいて怖い。
前回のガチャはやはり初回レアリティブーストか何かがあったと考えるのが妥当か。
普通に考えてSランクが3つにAランクが2つも入っているなんておかしいからね。
SランクとAランクのいくつかはたぶん確定だったのだろう。
上げて落としてガチャ地獄に引きずり込もうというソシャゲによくある手だ。
しかしゴッドガチャは課金とかないから神様のサービスだろうか。
今後課金機能がアップデートされたりしたら尋常じゃない額をつぎ込んでしまいそうだ。
リアルアイテムが手に入るガチャなんかハマるなってほうが無理だもの。
「またお米いっぱい出たな」
塩とか砂糖とかお米とか、お世話になってるお礼に渡したいな。
もういっそのことすべて打ち明けてしまおうか。
未来の世界から来た云々は信じてもらえるかどうかわからないけど、ガチャとか収納の指輪とかは実際に見せれば信じるしかないからな。
金太郎さんと八重さんとは俺の体感では1日くらいの付き合いだけど、かなり良い人だってことは分かる。
多少アイテムの力を見せたところで奪おうなんてことは考えないと思うんだよ。
いや、もし奪われても別にいい。
スマホだけあればいくらでもやりなおせる。
それ以外は別に奪われてもいいんだ。
「そう考えるとなんだか気が楽になるな」
なんだか仙丹を口にしてから頭の中のもやもやがどこかに吹き飛んでいってしまったかのようだ。
腕を失って不安定になっていた精神が安定し、心の深い部分で物事を考えることができるようになった気がする。
これが仙人か。
仙人の力も色々と検証が必要かもな。
とりあえず、作務衣に着替えよ。
俺が着ていた寝間着はボロボロの血まみれになっていたので竈にくべて廃棄処分してしまった。
今は金太郎さんが子供の頃に着ていたという服を借りて着ている。
もちろん真っ赤な前掛けではなく、普通の着物だ。
しかしこのダボっとした服が用を足すときに結構邪魔になるのだ。
こちとら隻腕なもんで、昨日は危うく借りた服を汚してしまいそうになった。
八重さんが手伝ってくれると申し出てくれたが、丁寧に断った。
あんな美人に見られてたら出るもんも出んわ。
ちょうどいい具合にガチャで身軽な作務衣が出たことだし、さっさと着替えることにする。
書道家が着ていそうな濃紺のおしゃれ作務衣はなぜだか俺のサイズにピッタリだった。
これでお花摘みも少しは楽になることだろう。
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