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14.スキルの習得
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「さて、まずは小手調べに槍術だ」
Dランクアイテムのダンボールを切って作った小箱に入ったスキルオーブを手に取る。
箱に入れておかないとどのオーブがどのスキルのものだったのかわからなくなってしまうのだ。
中に封じ込められた魔法陣のようなものは一つ一つ微妙に違うのだが、それだけでどれがどれだか覚えることはできなかった。
こんなことをしなくてもいいように次は鑑定スキルが欲しいと神に祈っているのだが、物欲センサーが働いたのか鑑定スキルは一向に出ない。
超回復で運を使い果たしたかもな。
みすぼらしいダンボールの箱に収まっているオーブを見て少し同情してしまう。
せめてクッキーの入っていた缶かなにかに入れてやるべきかもしれない。
次からそうする。
まあ次からはすぐに使ってしまうかもしれないけどな。
2カ月の修業によって霊力の扱いが上手くなった今、オーブの中のスキルを覚えることは簡単だ。
スキルオーブというのはまるで鍵のかかった箱だ。
そして俺の霊力が鍵。
鍵穴にそっと鍵を差し込むようにして霊力を込めてやれば開錠され、中のスキルが手に入る。
俺は指先に霊力を集め、そっとスキルオーブに触れさせた。
膨大なエネルギーを繋ぎとめていた鍵のようなものが解けていく。
そのエネルギーは俺の中にそのまま入ってきた。
少し痛みを感じるほどの勢いだ。
Aランクでこれなのだから、Sランクは結構痛いかもな。
すべてのエネルギーを放出し尽くしたオーブは砂になってしまった。
真っ白で綺麗なので瓶に入れてとっておこう。
「これで槍術・中のスキルを手に入れたわけだけど……」
座っていた縁側から立ち上がり、収納の指輪から雑兵の槍を取り出す。
槍の握り方や構え、動きがなんとなくわかる。
槍術といっても飛ぶ斬撃を放ったりできるというスキルではないようだ。
槍を使った武術に補正がかかるスキル。
俗にいう、パッシブスキルという種類のスキルだな。
中と書いてあるからその補正具合は中くらいなのだろう。
中くらいというと素人でもないけど、達人でもないというくらいだろうか。
俺自身がド素人なことを差し引けば、ようやく素人を脱したくらいの腕前なのだろうか。
素手よりは槍を使ったほうがマシという程度かもしれない。
まあこのスキルは前菜のようなもの。
ここからが本番だ。
次は防御力上昇・小。
これまたゲーム的スキルだな。
先ほどと同じ手順でぱぱっと覚え、オーブだった砂はまた瓶へ回収。
防御力上昇・小もまたパッシブスキルだな。
果たして現実世界の防御力とは何を表わしているのか。
皮膚が硬くなったような感触もないしな。
ためしに石を拾い、太もものあたりを叩いてみる。
すると太ももに石が当たる寸前、バリンと何かを割ったような感覚があった。
不可視の防御膜のようなものだろうか。
石で叩き割れるくらいの防御力しか持ち合わせていないようだが、それが俺の身体を包んでいるということがわかった。
不意打ちなどに対して非常に有効かもしれない。
傷薬や万能薬を使えば毒を塗られた刃物で刺されたとしても即死していなければ助かる可能性がある。
この防御力上昇・小の力はいざというときに命を守るために役に立ってくれそうだ。
よし、次は鉄拳だ。
これは名前から思いきりアクティブな感じがするな。
さくっと覚え、砂は回収。
パッシブに何かが発動しているという気配はない。
これはやはりアクティブスキルのようだ。
俺は霊力を拳に集め、鉄拳スキルを使用する。
すると高密度の霊力に覆われた左拳の表面が金属光沢を放ち始める。
どうやらこのスキルは、拳に纏った霊力を鉄のように変化させるスキルらしい。
先ほど太ももを叩いた石目掛けて拳を振り下ろすと、石は粉々にすり潰された。
このスキルは使える。
攻撃にも防御にも使えるいいスキルだ。
「さて、そろそろメインディッシュといくか」
火遁と超再生という2つのSランクスキル。
これを前にすると心がびょんびょんする。
まるで子供の頃、明日ラジコンを買ってくれると父親が約束してくれた日の夜のようだ。
布団に入っても眠れず、走り回りたいような衝動に駆られるあの気持ち。
大人になっても同じ気持ちになるとは思わなかったな。
「まずは火遁」
オーブを解き放つと、エネルギーの奔流が俺を襲う。
やはり少し痛い。
全身の細胞が暴れているような感覚だ。
治りかけの傷をツンツン突かれるくらいの痛みを全身に感じる。
叫びたくなるような激痛ではないが、少し悶える。
しばらく縁側で横になって休むと痛みが引いた。
これで俺も忍ばない忍者の仲間入りか。
試しに口をすぼめ頬を膨らませ、火を噴いてみる。
口の中に溜めた霊力を一気に噴出させる。
それをスキルが火に変換してくれた。
火炎放射器のような火が俺の口から噴き出ている。
感動だ。
少し熱いが防御力上昇・小が熱を軽減してくれているようだ。
いい仕事をするスキルだ。
口からの霊力の放出を止めると、あっさりと火も消えた。
火遁スキルは霊力を火に変換し、操ることのできるスキルのようだ。
考えないようにしてきたが、大分人間やめてるな。
Dランクアイテムのダンボールを切って作った小箱に入ったスキルオーブを手に取る。
箱に入れておかないとどのオーブがどのスキルのものだったのかわからなくなってしまうのだ。
中に封じ込められた魔法陣のようなものは一つ一つ微妙に違うのだが、それだけでどれがどれだか覚えることはできなかった。
こんなことをしなくてもいいように次は鑑定スキルが欲しいと神に祈っているのだが、物欲センサーが働いたのか鑑定スキルは一向に出ない。
超回復で運を使い果たしたかもな。
みすぼらしいダンボールの箱に収まっているオーブを見て少し同情してしまう。
せめてクッキーの入っていた缶かなにかに入れてやるべきかもしれない。
次からそうする。
まあ次からはすぐに使ってしまうかもしれないけどな。
2カ月の修業によって霊力の扱いが上手くなった今、オーブの中のスキルを覚えることは簡単だ。
スキルオーブというのはまるで鍵のかかった箱だ。
そして俺の霊力が鍵。
鍵穴にそっと鍵を差し込むようにして霊力を込めてやれば開錠され、中のスキルが手に入る。
俺は指先に霊力を集め、そっとスキルオーブに触れさせた。
膨大なエネルギーを繋ぎとめていた鍵のようなものが解けていく。
そのエネルギーは俺の中にそのまま入ってきた。
少し痛みを感じるほどの勢いだ。
Aランクでこれなのだから、Sランクは結構痛いかもな。
すべてのエネルギーを放出し尽くしたオーブは砂になってしまった。
真っ白で綺麗なので瓶に入れてとっておこう。
「これで槍術・中のスキルを手に入れたわけだけど……」
座っていた縁側から立ち上がり、収納の指輪から雑兵の槍を取り出す。
槍の握り方や構え、動きがなんとなくわかる。
槍術といっても飛ぶ斬撃を放ったりできるというスキルではないようだ。
槍を使った武術に補正がかかるスキル。
俗にいう、パッシブスキルという種類のスキルだな。
中と書いてあるからその補正具合は中くらいなのだろう。
中くらいというと素人でもないけど、達人でもないというくらいだろうか。
俺自身がド素人なことを差し引けば、ようやく素人を脱したくらいの腕前なのだろうか。
素手よりは槍を使ったほうがマシという程度かもしれない。
まあこのスキルは前菜のようなもの。
ここからが本番だ。
次は防御力上昇・小。
これまたゲーム的スキルだな。
先ほどと同じ手順でぱぱっと覚え、オーブだった砂はまた瓶へ回収。
防御力上昇・小もまたパッシブスキルだな。
果たして現実世界の防御力とは何を表わしているのか。
皮膚が硬くなったような感触もないしな。
ためしに石を拾い、太もものあたりを叩いてみる。
すると太ももに石が当たる寸前、バリンと何かを割ったような感覚があった。
不可視の防御膜のようなものだろうか。
石で叩き割れるくらいの防御力しか持ち合わせていないようだが、それが俺の身体を包んでいるということがわかった。
不意打ちなどに対して非常に有効かもしれない。
傷薬や万能薬を使えば毒を塗られた刃物で刺されたとしても即死していなければ助かる可能性がある。
この防御力上昇・小の力はいざというときに命を守るために役に立ってくれそうだ。
よし、次は鉄拳だ。
これは名前から思いきりアクティブな感じがするな。
さくっと覚え、砂は回収。
パッシブに何かが発動しているという気配はない。
これはやはりアクティブスキルのようだ。
俺は霊力を拳に集め、鉄拳スキルを使用する。
すると高密度の霊力に覆われた左拳の表面が金属光沢を放ち始める。
どうやらこのスキルは、拳に纏った霊力を鉄のように変化させるスキルらしい。
先ほど太ももを叩いた石目掛けて拳を振り下ろすと、石は粉々にすり潰された。
このスキルは使える。
攻撃にも防御にも使えるいいスキルだ。
「さて、そろそろメインディッシュといくか」
火遁と超再生という2つのSランクスキル。
これを前にすると心がびょんびょんする。
まるで子供の頃、明日ラジコンを買ってくれると父親が約束してくれた日の夜のようだ。
布団に入っても眠れず、走り回りたいような衝動に駆られるあの気持ち。
大人になっても同じ気持ちになるとは思わなかったな。
「まずは火遁」
オーブを解き放つと、エネルギーの奔流が俺を襲う。
やはり少し痛い。
全身の細胞が暴れているような感覚だ。
治りかけの傷をツンツン突かれるくらいの痛みを全身に感じる。
叫びたくなるような激痛ではないが、少し悶える。
しばらく縁側で横になって休むと痛みが引いた。
これで俺も忍ばない忍者の仲間入りか。
試しに口をすぼめ頬を膨らませ、火を噴いてみる。
口の中に溜めた霊力を一気に噴出させる。
それをスキルが火に変換してくれた。
火炎放射器のような火が俺の口から噴き出ている。
感動だ。
少し熱いが防御力上昇・小が熱を軽減してくれているようだ。
いい仕事をするスキルだ。
口からの霊力の放出を止めると、あっさりと火も消えた。
火遁スキルは霊力を火に変換し、操ることのできるスキルのようだ。
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