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19.逮捕
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昨日は結局頂ける物を頂いてとんずらした後、すぐに寮に帰った。
俺達がいたという痕跡はメイドがすべて消し、アジトにいた構成員たちには全員虚ろな目になってもらったので安心だ。
メイドは半年ほどで自我を取り戻すと言っていたが、半年も経ったらきっとメイドへの恐怖くらいしか覚えていないだろう。
問題ないな。
ということであのアジトにあった金はすぐに使っても問題ないかな?
一応足がつかないように綺麗にマネーロンダリングしておこう。
父さんに力を借りれば楽だろうが、将来のことを考えると親子であっても借りはあまり作りたくない。
なんとか自力できれいきれいするとするか。
幸いにも昨今はインターネットの普及によって個人間取引というのは簡単に行うことができる世の中だ。
キャッシュレスも普及してきているが、日本は通貨の信用が高いせいか現金は一種の信仰のようになっている。
おそらくこの先十年以上は現金決済がなくなるということはないだろう。
ド汚いマネーを綺麗にする方法などはいくらでもある。
「とりあえず、エルザ。沖縄あたりでジュース買ってきてくれ」
「かしこまりました」
シュンと消えてまたシュンと戻ってきたエルザの手にはキンキンに冷えたドクペ。
なんでドクペなんだ。
別に本州と同じ商品でもよかったのだがな。
無駄に証拠品を作りやがって。
まあ今時本州でもドクペくらいは買えるからその程度で足がつくことはないだろうが。
この調子でロンダリングしていくか。
雪村と中村はなぜか変な書類ばかりをありがたがって金はいらないらしいし、ゆっくりロンダリングすればいい。
ひそひそと、口々に噂話に興じる生徒たち。
なぜだか今日は朝から学園中が騒がしい。
エルザ、みんななにを噂しているのか知ってるか?
『学園の父兄の中に逮捕者が多数出たとか。大陸の大国からかなりの資金がこの国の国会議員にばら撒かれ国政に食い込まれていたとかで、与野党含めて十人以上の人間が逮捕されたようです』
「なるほどな」
たぶん雪村と中村があの書類でなにかやったんだろうな。
あの誘拐犯共はおそらくかの国の息のかかった集団だったのだろう。
それで芋づる式にかの国の野望が明らかになった。
日本にカジノを作るとかいうIR法案を通した議員にもかの国のマネーが流れ込んでいたと先週ニュースになったばかりだ。
やはりそういった工作ではなりふり構わない独裁国家に分があるな。
馬鹿な国民は卑劣な策だとかマヌケなことを抜かしているが、国と国の工作合戦に卑怯も卑劣もないだろうに。
勝てば官軍というのは日本のことわざだろうが。
今の日本政府だって戊辰戦争に勝たなかったら賊軍だったんだ。
国と国の攻防の前には正義などというものは馬鹿な国民を導くための建前でしかない。
やはり民主主義には問題が多いな。
日本はまだいいほうだが、建前なしに国家運営のノウハウのない民衆が政権などを担えばたちまち衆愚政治と化すだろう。
今回の議員の他国とのつながりも、元をただせば民主主義の問題のひとつにすぎない。
民主主義では議員の利益と国家の利益がイコールではない。
場合によっては相反する場合もある。
つまり、議員が自分の利益を優先して国家の不利益になるような行動をすることがあるのだ。
今回のようなケースはまさにそれだ。
自分が金欲しさに国家を売ったのだ。
貴族や王族が政治を担うような国家体制では国家は自分のモノなのだから自分のモノはある程度大事にする。
国家を栄えさせれば自分の利益につながる。
まあそっちはそっちで問題があったから民主主義というものが流行ったのだろうがな。
どんな国家体制になったところで、結局は上に立つ人間次第ということだな。
『ずいぶんと上から目線ですが、坊ちゃまは何様なんですかね』
俺様だよ。
政治を語るただの学生だ。
この国では表現の自由が保障されている。
ただ語るだけならばなんの責任も発生しないし気楽なものだ。
プロ野球を見ながら俺が監督だったらこの試合は勝てたなどというのも自由。
なぜならば自分が監督になる可能性など1パーセントたりともありはしないからだ。
『お望みでしたら国民全員を洗脳して坊ちゃまを総理大臣にいたしますが?』
やめんか。
そんなことをしたらかの大国の独裁政権となんら変わらん。
俺はこの日本という社会主義だか資本主義だかわからん微妙なバランスの国が気に入っているんだ。
『坊ちゃまにそんな愛国心があるとは。意外ですね』
愛国心っていうのとは少し違うかもしれないな。
ただ、他よりマシってだけだ。
社会主義も資本主義も、どっちも正しい考えだと俺は思うんだ。
だけど、どっちに傾倒するのも間違っている。
社会主義と資本主義はちょうどいいバランスで両立しなければならない。
日本って国はそのバランスが世界で見ても高いレベルで優れていると俺は思っている。
言わば弱者にも強者にもそこそこ優しい国日本だ。
『そこそこなんですね』
当たり前だろう。
誰にでも優しい国家なんてありはしない。
それこそ民衆が描く馬鹿な妄想の中にしかな。
以上、政治談議終わり。
『勝手に政治を語ったのは坊ちゃまですけどね。何様ですか』
俺様だ。
俺達がいたという痕跡はメイドがすべて消し、アジトにいた構成員たちには全員虚ろな目になってもらったので安心だ。
メイドは半年ほどで自我を取り戻すと言っていたが、半年も経ったらきっとメイドへの恐怖くらいしか覚えていないだろう。
問題ないな。
ということであのアジトにあった金はすぐに使っても問題ないかな?
一応足がつかないように綺麗にマネーロンダリングしておこう。
父さんに力を借りれば楽だろうが、将来のことを考えると親子であっても借りはあまり作りたくない。
なんとか自力できれいきれいするとするか。
幸いにも昨今はインターネットの普及によって個人間取引というのは簡単に行うことができる世の中だ。
キャッシュレスも普及してきているが、日本は通貨の信用が高いせいか現金は一種の信仰のようになっている。
おそらくこの先十年以上は現金決済がなくなるということはないだろう。
ド汚いマネーを綺麗にする方法などはいくらでもある。
「とりあえず、エルザ。沖縄あたりでジュース買ってきてくれ」
「かしこまりました」
シュンと消えてまたシュンと戻ってきたエルザの手にはキンキンに冷えたドクペ。
なんでドクペなんだ。
別に本州と同じ商品でもよかったのだがな。
無駄に証拠品を作りやがって。
まあ今時本州でもドクペくらいは買えるからその程度で足がつくことはないだろうが。
この調子でロンダリングしていくか。
雪村と中村はなぜか変な書類ばかりをありがたがって金はいらないらしいし、ゆっくりロンダリングすればいい。
ひそひそと、口々に噂話に興じる生徒たち。
なぜだか今日は朝から学園中が騒がしい。
エルザ、みんななにを噂しているのか知ってるか?
『学園の父兄の中に逮捕者が多数出たとか。大陸の大国からかなりの資金がこの国の国会議員にばら撒かれ国政に食い込まれていたとかで、与野党含めて十人以上の人間が逮捕されたようです』
「なるほどな」
たぶん雪村と中村があの書類でなにかやったんだろうな。
あの誘拐犯共はおそらくかの国の息のかかった集団だったのだろう。
それで芋づる式にかの国の野望が明らかになった。
日本にカジノを作るとかいうIR法案を通した議員にもかの国のマネーが流れ込んでいたと先週ニュースになったばかりだ。
やはりそういった工作ではなりふり構わない独裁国家に分があるな。
馬鹿な国民は卑劣な策だとかマヌケなことを抜かしているが、国と国の工作合戦に卑怯も卑劣もないだろうに。
勝てば官軍というのは日本のことわざだろうが。
今の日本政府だって戊辰戦争に勝たなかったら賊軍だったんだ。
国と国の攻防の前には正義などというものは馬鹿な国民を導くための建前でしかない。
やはり民主主義には問題が多いな。
日本はまだいいほうだが、建前なしに国家運営のノウハウのない民衆が政権などを担えばたちまち衆愚政治と化すだろう。
今回の議員の他国とのつながりも、元をただせば民主主義の問題のひとつにすぎない。
民主主義では議員の利益と国家の利益がイコールではない。
場合によっては相反する場合もある。
つまり、議員が自分の利益を優先して国家の不利益になるような行動をすることがあるのだ。
今回のようなケースはまさにそれだ。
自分が金欲しさに国家を売ったのだ。
貴族や王族が政治を担うような国家体制では国家は自分のモノなのだから自分のモノはある程度大事にする。
国家を栄えさせれば自分の利益につながる。
まあそっちはそっちで問題があったから民主主義というものが流行ったのだろうがな。
どんな国家体制になったところで、結局は上に立つ人間次第ということだな。
『ずいぶんと上から目線ですが、坊ちゃまは何様なんですかね』
俺様だよ。
政治を語るただの学生だ。
この国では表現の自由が保障されている。
ただ語るだけならばなんの責任も発生しないし気楽なものだ。
プロ野球を見ながら俺が監督だったらこの試合は勝てたなどというのも自由。
なぜならば自分が監督になる可能性など1パーセントたりともありはしないからだ。
『お望みでしたら国民全員を洗脳して坊ちゃまを総理大臣にいたしますが?』
やめんか。
そんなことをしたらかの大国の独裁政権となんら変わらん。
俺はこの日本という社会主義だか資本主義だかわからん微妙なバランスの国が気に入っているんだ。
『坊ちゃまにそんな愛国心があるとは。意外ですね』
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ただ、他よりマシってだけだ。
社会主義も資本主義も、どっちも正しい考えだと俺は思うんだ。
だけど、どっちに傾倒するのも間違っている。
社会主義と資本主義はちょうどいいバランスで両立しなければならない。
日本って国はそのバランスが世界で見ても高いレベルで優れていると俺は思っている。
言わば弱者にも強者にもそこそこ優しい国日本だ。
『そこそこなんですね』
当たり前だろう。
誰にでも優しい国家なんてありはしない。
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以上、政治談議終わり。
『勝手に政治を語ったのは坊ちゃまですけどね。何様ですか』
俺様だ。
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