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108.帝国サイド2
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「ナナリー、仕事には慣れてきたみたいだな」
「あ、ラズリーさん。おかげさまでなんとか」
精鋭イコール強面なのかと思うほどにこの部隊には顔の怖い人が多いです。
私のような小娘はいつもビクビクしているのですが、実は意外と皆さん繊細な心をしていると気付いたのは最近になってからです。
ラズリーさんは気さくに話しかけてくださって、隊員の皆さんとの仲立ちをしてくれたおかげで私のような小心者でも強面の皆さんとも少しは距離を縮められたと思います。
ラズリーさんには感謝です。
やっぱり持つべきものは空気の読める上司です。
「そろそろ王国軍も国境の砦に集まる頃だな。帝国軍も明日全軍が国境に集結する。なんかそのことで午後から会議があるらしいぜ」
「分かりました。お昼食べたら会議室に向かいます」
この部隊は精鋭の集まる部隊ですからね。
どんな作戦を言い渡されるのかわかったものではありません。
大して戦う力を持たない私のような人間は、とにかく死なないように逃げ回るだけです。
私はスープをかき込んで会議室に向かいました。
「偵察部隊の報告では敵の数はおおよそ2万だそうだ。それに対して我が軍は5万だ」
「楽勝じゃないっすか」
「なんの作戦も必要ないと思いますけどね」
「まあ聞け」
ダグラス隊長の言葉にゲイルさんとロイドさんの2人がはやし立てます。
元老院の一角を担うようなお家柄の隊長によくそんな口が聞けるものです。
私はひやひやしながら隊長の顔をうかがいます。
しかし隊長は全く気にした様子もなく口角を吊り上げます。
ニヒルな笑顔もかっこいいです。
顔のいい人というのはどんな表情をしてもそれなりに様になって人生勝ち組って感じですね。
「王国軍と帝国軍に錬度の差は無い。数も我が軍のほうが多い。通常なら奇策を用いる必要など全く無い。だが、我が軍の目的は別に勝って適当な領地を切り取ることではない。今回の作戦の肝はローウェン伯爵家の人間を一人残らず抹殺することにある」
「へへ、なかなか過激な作戦っすね」
「質問があるんですが」
ゲイルさんが先ほどのように茶々を入れ、ラズリーさんが手をあげて質問します。
ラズリーさんはあまり隊長の話に割って入ることは無いのに、珍しいですね。
「なんだラズリー」
「伯爵家の人間を全員殺すことになんの意味があるんですかね?それだけのために5万もの軍を動かした理由がわかりません」
「ははは、そうだな。お前たちには何度も伯爵領に潜入してもらっていたが、目的を話したことは無かったな」
「伯爵家の人間が何か特別なスキルでも持ってやがるんですかい?」
「まあそれもある。あの家の人間にはスキルのレベルが早く上がるような効果を持つスキルが代々受け継がれているという噂がある」
すごいスキルです。
そんなスキルを持って生まれたらそれこそ人生イージーモードです。
鑑定スキルを持って生まれた私が他人のスキルを羨むのは上を見ればキリがないという状況なのでしょうが、羨ましいものは羨ましいです。
上の上にはまだ上がいる、という帝国に古くから伝わることわざです。
「それで、そのスキルが脅威だから殺すんですかい?」
「それだけじゃない。実はな、すでに王国は半分近くが我が帝国に寝返っているのだ」
「は!?どういうことです?」
「ローウェン伯爵家の隣も、その隣も、またその隣も、すべて帝国側の潜入工作によって死に体だ。懐柔策に切り替えたらすぐに寝返ったさ」
「マジっすか。じゃあ……」
「ああ。あとは邪魔な伯爵家だけなんだよ。伯爵家の人間さえいなくなれば諸侯軍も瓦解するだろうし、両側から領地なんて切り取り放題だ。だが伯爵家が残ったままだと、逆に寝返った領地の領主が挟み討ちにされて討たれかねん。だから伯爵家だけは倒しておく必要がある。今回の5万の軍による作戦は、王国の半分を切り取る作戦さ」
すごい作戦です。
王国の領土は帝国の半分程度とはいえ、私のような小さな村の出身のものにとってはとんでもなく広い領土です。
それが半分も帝国に切り取られてしまうなんて。
とても大きな作戦です。
5万人という全軍の4分の1もの人員を動因したことにも納得です。
「それでだ。肝心の作戦だが、我々の部隊は敵後方に回り込んでの奇襲をかける」
「王国の後方って山ですけど……」
ついつい私の口が開いてしまいました。
注目を集めています。
恥ずかしいです。
「ナナリーその通りだよ。王国の後方は高い山脈があり、とてもではないが回りこめない」
「じゃあどうするんです?」
「新兵器を使う」
「新兵器……ですかい」
「そうだ。我々帝国は、ドラゴンを使役することに成功した」
「「「「ドラゴン!?」」」」
私と副官のお三方との声が重なります。
ドラゴンといえば凶悪な魔物だと子供でも知っています。
高位のドラゴンにもなれば、複数の魔法スキルを操り天災を引き起こします。
そんな魔物を本当に使役することができたのでしょうか。
いえ、できたとしてもいったい何人の犠牲を出してそれを成したというのでしょうか。
「我が隊には5体のレッドドラゴンが皇帝陛下から貸し与えられることになっている。それに乗って少数精鋭で王国軍の背後を突き、伯爵家当主と三男を亡き者にする」
「ドラゴンで正面から突っ込むのは無しなんですかい?」
「無しだ。ここで確実に伯爵家の人間を殺しておきたい。あの家は侮れないからな。ドラゴンの1体や2体は倒せる人材をそろえているかもしれん。できれば意表を突きたい」
「なるほど了解です」
ドラゴンを倒してしまう人がいるかもしれないなんて、恐ろしい家です。
私などは真っ先にドラゴンさんの餌になってしまいそうなのに。
「質問があるやつはいるか?いないな?作戦決行は明後日の正午だ。明日の訓練は休みとする。以上解散」
その作戦って私も行かなきゃだめなんでしょうか。
「あ、ラズリーさん。おかげさまでなんとか」
精鋭イコール強面なのかと思うほどにこの部隊には顔の怖い人が多いです。
私のような小娘はいつもビクビクしているのですが、実は意外と皆さん繊細な心をしていると気付いたのは最近になってからです。
ラズリーさんは気さくに話しかけてくださって、隊員の皆さんとの仲立ちをしてくれたおかげで私のような小心者でも強面の皆さんとも少しは距離を縮められたと思います。
ラズリーさんには感謝です。
やっぱり持つべきものは空気の読める上司です。
「そろそろ王国軍も国境の砦に集まる頃だな。帝国軍も明日全軍が国境に集結する。なんかそのことで午後から会議があるらしいぜ」
「分かりました。お昼食べたら会議室に向かいます」
この部隊は精鋭の集まる部隊ですからね。
どんな作戦を言い渡されるのかわかったものではありません。
大して戦う力を持たない私のような人間は、とにかく死なないように逃げ回るだけです。
私はスープをかき込んで会議室に向かいました。
「偵察部隊の報告では敵の数はおおよそ2万だそうだ。それに対して我が軍は5万だ」
「楽勝じゃないっすか」
「なんの作戦も必要ないと思いますけどね」
「まあ聞け」
ダグラス隊長の言葉にゲイルさんとロイドさんの2人がはやし立てます。
元老院の一角を担うようなお家柄の隊長によくそんな口が聞けるものです。
私はひやひやしながら隊長の顔をうかがいます。
しかし隊長は全く気にした様子もなく口角を吊り上げます。
ニヒルな笑顔もかっこいいです。
顔のいい人というのはどんな表情をしてもそれなりに様になって人生勝ち組って感じですね。
「王国軍と帝国軍に錬度の差は無い。数も我が軍のほうが多い。通常なら奇策を用いる必要など全く無い。だが、我が軍の目的は別に勝って適当な領地を切り取ることではない。今回の作戦の肝はローウェン伯爵家の人間を一人残らず抹殺することにある」
「へへ、なかなか過激な作戦っすね」
「質問があるんですが」
ゲイルさんが先ほどのように茶々を入れ、ラズリーさんが手をあげて質問します。
ラズリーさんはあまり隊長の話に割って入ることは無いのに、珍しいですね。
「なんだラズリー」
「伯爵家の人間を全員殺すことになんの意味があるんですかね?それだけのために5万もの軍を動かした理由がわかりません」
「ははは、そうだな。お前たちには何度も伯爵領に潜入してもらっていたが、目的を話したことは無かったな」
「伯爵家の人間が何か特別なスキルでも持ってやがるんですかい?」
「まあそれもある。あの家の人間にはスキルのレベルが早く上がるような効果を持つスキルが代々受け継がれているという噂がある」
すごいスキルです。
そんなスキルを持って生まれたらそれこそ人生イージーモードです。
鑑定スキルを持って生まれた私が他人のスキルを羨むのは上を見ればキリがないという状況なのでしょうが、羨ましいものは羨ましいです。
上の上にはまだ上がいる、という帝国に古くから伝わることわざです。
「それで、そのスキルが脅威だから殺すんですかい?」
「それだけじゃない。実はな、すでに王国は半分近くが我が帝国に寝返っているのだ」
「は!?どういうことです?」
「ローウェン伯爵家の隣も、その隣も、またその隣も、すべて帝国側の潜入工作によって死に体だ。懐柔策に切り替えたらすぐに寝返ったさ」
「マジっすか。じゃあ……」
「ああ。あとは邪魔な伯爵家だけなんだよ。伯爵家の人間さえいなくなれば諸侯軍も瓦解するだろうし、両側から領地なんて切り取り放題だ。だが伯爵家が残ったままだと、逆に寝返った領地の領主が挟み討ちにされて討たれかねん。だから伯爵家だけは倒しておく必要がある。今回の5万の軍による作戦は、王国の半分を切り取る作戦さ」
すごい作戦です。
王国の領土は帝国の半分程度とはいえ、私のような小さな村の出身のものにとってはとんでもなく広い領土です。
それが半分も帝国に切り取られてしまうなんて。
とても大きな作戦です。
5万人という全軍の4分の1もの人員を動因したことにも納得です。
「それでだ。肝心の作戦だが、我々の部隊は敵後方に回り込んでの奇襲をかける」
「王国の後方って山ですけど……」
ついつい私の口が開いてしまいました。
注目を集めています。
恥ずかしいです。
「ナナリーその通りだよ。王国の後方は高い山脈があり、とてもではないが回りこめない」
「じゃあどうするんです?」
「新兵器を使う」
「新兵器……ですかい」
「そうだ。我々帝国は、ドラゴンを使役することに成功した」
「「「「ドラゴン!?」」」」
私と副官のお三方との声が重なります。
ドラゴンといえば凶悪な魔物だと子供でも知っています。
高位のドラゴンにもなれば、複数の魔法スキルを操り天災を引き起こします。
そんな魔物を本当に使役することができたのでしょうか。
いえ、できたとしてもいったい何人の犠牲を出してそれを成したというのでしょうか。
「我が隊には5体のレッドドラゴンが皇帝陛下から貸し与えられることになっている。それに乗って少数精鋭で王国軍の背後を突き、伯爵家当主と三男を亡き者にする」
「ドラゴンで正面から突っ込むのは無しなんですかい?」
「無しだ。ここで確実に伯爵家の人間を殺しておきたい。あの家は侮れないからな。ドラゴンの1体や2体は倒せる人材をそろえているかもしれん。できれば意表を突きたい」
「なるほど了解です」
ドラゴンを倒してしまう人がいるかもしれないなんて、恐ろしい家です。
私などは真っ先にドラゴンさんの餌になってしまいそうなのに。
「質問があるやつはいるか?いないな?作戦決行は明後日の正午だ。明日の訓練は休みとする。以上解散」
その作戦って私も行かなきゃだめなんでしょうか。
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