ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

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129.異世界サバイバル

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「ピエェェェェェェッ」

「「「うわっ」」」

 ニコラスは翼を開き、音もなく飛び立つ。
 いつまでもここで脅かし続けてもらうわけにもいかないから退場してもらった。
 
「行っちまったな。なんだったんだろうな、あの鳥」

「きっと時空を越える力を持った神獣かなにかね。私たちをこちらの世界に連れてきて何かをさせたいんだわ」

「何かってなんだ?」

「知らないわよ。鳥に聞いて」

 鳥語が分かればね。
 僕は分かるけど。

「こういうときって、まず水を手に入れるべきじゃないか?」

「そうね。人間は食事なしでも30日程度は生きていられるけれど、水無しでは2日と持たないわ」

 適応能力は高いな。
 しかし、ここは植物が育たなくなって久しい荒野だ。
 そう簡単に水を見つけることができるかな。
 僕だって殺したくてこの荒野に連れてきたわけじゃない。
 荒野の各所には今ゴブリンたちが色々な物資を設置してくれているところだ。
 はたして彼ら彼女らは見つけることができるかな。

「待ってよ。乾燥した場所では放射冷却で夜信じられないくらい冷えるって聞いたことがあるよ。火を起こす班と水を探す班に分かれたほうがいいんじゃないの?」

「そんなこと言ったら食料だってあるに越したことはないよ。何も食べないと体力が持たないし、体温も低下する。本当に怖いのは冷えこみではなく体温の低下だよ」

「そうだな。じゃあ3班に分かれるか」

 なんか、すごい上手くいってるな。
 緊急事態にクラス内のギスギスした空気が吹っ飛んでしまっているのか?
 少し不和を煽る必要があるかもしれないな。

「じゃあ水を探しに行く班になりたいやつ手をあげて」

「「「……………………」」」

 誰一人として手をあげない。

「じゃあ食料探しに行く班」

「「「……………………」」」

 また誰一人として手をあげない。

「火起こし」

「「「はいはいはい!」」」

 全員が火起こし班に手をあげる。
 結局みんな、この場を離れるのが不安なのだ。
 もうここが異世界であるということはクラスメイト全員が気付いている。
 異世界には、危険が付き物だ。
 この場も安全であるとは限らないが、未知の場所を探索するよりも心理的抵抗は低い。
 全員が火起こし班に志願するのも仕方が無い。
 ちなみに僕と志織ちゃんも手をあげている。
 移動するのが面倒だから。

「お前ら、これじゃ班分けにならないじゃん」

「だって……」

「なあ……」

「おい真田、クロード。お前ら何手をあげてんだよ。お前らが水と食料探しに行けよ」

 ついに僕たちに意識が向いてしまったか。
 こんな危機的な状況に、丁度いい差別階級がいたらそうなるよね。
 まったく、都合のいい奴等だ。

「もう無視はやめたのかい?」

「うるせぇ!」

 もう少し近くで引っ掻き回していたかったが、ここらが潮時のようだ。

「正直君たちとは一緒にやっていける気がしないからね、僕と志織ちゃんは別行動を取らせてもらうよ」

「ちっ、協調性の無いやつらだな。さっさとどっか行け」

「あたしたちが食料や水を手に入れても、絶対分けてあげないからね」

「そう。僕たちは君たちが土下座して頼むなら分けてあげなくも無い」

「はっ、そうかよ!せいぜいゴブリンに殺されないようにな!!」

 ゴブリンは意外にいい奴等だ。
 君たちこそスライムには気をつけてな。
 ここらは大昔に強大なスライムが発生した影響で、スキルを持ったスライムが発生しやすい土地だ。
 スキルを持ったスライムはとても厄介だよ。
 僕は志織ちゃんと一緒に荒野に向かって歩き出した。

「ねえ、クロード。大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫。水も食料も僕が持ってるから、今日の寝床を探そう」

「持ってるって、どこに?」

「それは秘密だよ」

「もう。クロードは秘密ばっかり……」

 僕と志織ちゃんはあても無く歩く。
 まあ僕にはあてがあるんだけど。
 ゴブアースの土魔法スキルによって、この荒野の中には数軒の廃墟風建築物が絶賛建造中だ。
 この荒野には100年前から住居なんて存在していないのにね。
 その住居を発見することができれば、なんとか夜を越せる物資が手に入るという手順になっている。
 結構歩かないとたどり着けない場所に造ってあるから、クラスのみんなは見つけられないかもしれないな。
 僕は少しズルをさせてもらう。
 心の中でニコラスを呼ぶ。
 上空で待機していた巨鳥が僕の前に下りてくる。
 志織ちゃんの手を引き、よじ登る。
 
「ニコラス、行ってくれ」

「ピェェェェェッ」

 ニコラスはふわりと舞い上がり、ゆっくりと飛行を始めた。






「おい、水はあったのかよ」

「そっちこそ、食料はあったのかよ」

「「これしか……」」

 水班と食料班が取り出したのは、共にズルズルとした粘液の塊だった。
 僕はその様子を猫に憑依して見守る。
 さすがに猫は食べないよね?
 
「なんだよこれ……」

「そっちこそ……」

「これってたぶんアレだよな」

「ああ」

「「スライム」」

 正解。
 どうやらスキルは持っていない個体のようだけれど、食べられるのだろうか。
 意外となんでも食べる異世界だけど、スライムを食べたという話は聞かないなぁ。
 
「あ、猫だ……」

「本当だ。なあ、猫ってさ……」

「ああ」

「「食べられるのかな」」

 僕は逃げた。
 まだこちらに来て半日くらいしか経っていないから、飢えるには早いと思うんだけど。
 なんでもう猫が食べ物に見える境地に達してるんだよ。
 まずスライムを試してみようよ。
 クラゲみたいで意外と美味しいかもしれないのに。
 
「ああ、逃げちまった」

「貴重な食料が……」

 そんなにお腹減ってんの?
 僕は憑依を解除して、猫を手元に呼び戻した。

「クロード、どうしたの?すごい汗だよ?」

「ごめん、なんか意外とみんなお腹減ってるんだなって……」

「??」

 
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