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146.僕とメイド
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校外演習は中止となった。
そもそも演習場所の森が封鎖されてしまったからね。
強力な結界を張ることのできる魔法使いによって、森を覆うように結界が張られ中の魔物が出てこないようにされているらしい。
森では何が起こっているんだろうね。
まあ十中八九魔王が誕生しているんだろうけど。
この魔王は、僕がクラスメイトたちを異世界に連れて行ったせいで発生した魔王ではないらしい。
この世界における僕の影響は、勇者の性別とスキル以外には無い。
神様が勇者を用意して倒す役目を持たせたということは、おそらく突発的に発生した魔王ではなく自然発生的な魔王なんだと思う。
神様は魔王のことを思考能力の無い力の塊だと言っていた。
氷竜王と同じくらいの強さなら、氷竜王は魔王じゃないのかと聞いてみたらその答えが返ってきたんだ。
そして氷竜王といえども世界に対して不利益をもたらすのであれば勇者が生まれ、それを討伐すると。
まあつまり、強い力を持っていて神様にとって邪魔な存在だったら魔王認定されてしまうというわけだ。
僕?僕は大丈夫でしょ。
たぶん神様に愛されてると思うし。
怒られたら土下座するし。
「クロード様、どうでしょうか。気持ちいいですか?」
「うん。とても気持ちいいよ」
そんな僕はといえば、別にエロいことをしているわけではないよ。
自室でクレアさんにマッサージを受けているんだ。
まあエロいといえばエロいかもしれない。
なにせクレアさんはビキニアーマーを身につけているのだから。
いやね、僕は思ったんだよ。
クレアさんに似合うのはメイド服じゃなくてこういった布の少ない、鍛え上げられた自身の肉体をさらけ出すような服なんじゃないかって。
それもフリフリとした飾り気の多いものはダメだ。
もっとナチュラルで、ネイチャーで、超自然的な何かだ。
もういっそ裸が似合うんじゃないかと思う。
妥協のビキニアーマーだ。
古傷のたくさんあるしなやかな肉体に、危険な部分だけを隠すだけの金のビキニアーマーがとてもマッチしている。
やっぱこれだったね。
クレアさんは特に頬を赤らめるでもなく、淡々と仕事をこなしている。
この無機質な感じもまたいい。
床に寝転がっていたらホウキで掃きだされそうな感じがたまらない。
よし、明日はアフリカで買ってきた原住民族の踊り子衣装を試してみようか。
私がメイドとして働くことになったのは偶然だった。
冒険者ギルドでいつものようにつまらない依頼を見ていたら、突然緊急依頼だとか言って魔法学園のメイドの仕事が貼り出された。
いったいなんの冗談だとギルド長に話を聞くと、魔法学園の生徒が高位のドラゴンを使い魔として召喚したのだというではないか。
その生徒と使い魔を恐れて誰もメイドをやりたがらないから、冒険者ギルドに依頼されたのだという。
ドラゴンにメイドとして奉仕できるのは冒険者くらいだと思ったのだろう。
安直な考えだ。
この依頼を出した奴はたぶん馬鹿だな。
だが私はこの依頼を面白そうだと思った。
知り合いで同じく冒険者のフーリッシュも乗り気のようだったので、一緒に依頼を受けることにした。
募集人員は2名。
募集要項は礼節をわきまえたなるべく高位の冒険者。
報酬は1日金貨1枚。
高位の冒険者がこんなはした金で依頼なんて受けるかと思った。
だが、実際に私とフーリッシュは受けている。
この依頼を出した者は今頃ドヤ顔でも浮かべていることだろう。
すこしだけ苛立ったのでごねて報酬を金貨2枚に引き上げさせた。
さすがに高ランク冒険者相手に1日金貨1枚は舐めすぎだ。
学園は私のような大柄な女がメイドとしてやってくるとは思っていなかったのか、急いでメイド服を仕立てさせた。
ひらひらとしていて、なんとも落ち着かない服だ。
フーリッシュは何を着ても似合うから羨ましい。
私のような大女など、何を着てもしっくりこないと言うのに。
これから働く学園の寮を案内された。
貴族のボンボン共はこんなところで暮らしているのか。
そりゃあ自分が選ばれた存在だと思うよな。
私なんてここの生徒たちくらいの頃は冒険者として毎日のように野宿をしていたものだ。
食べるものに金を使うのももったいなかったから毎日黒パンと塩スープばかり。
どうしてこんなに身体が大きくなってしまったのか、まったく分からない。
部屋の掃除をして過ごしていると、廊下からフーリッシュの声がする。
人に変身した高位のドラゴンというやつを連れてきたのか。
どんなやつなのか楽しみだ。
私よりも大きな男だったりしてな。
確か名前はクロードだったな、よし。
ガチャリと扉が開く。
「私クロード様の専属メイドを勤めさせていただきます、クレアと申します。以後よろしくお願いいたします」
クロード様は動かない。
じっと私のほうを見上げて固まっている。
ずいぶんと小さな人だな。
私と並んだら、大人と子供のようになってしまうんじゃないだろうか。
クロード様はやはり動かない。
どうしたのだろうか。
私が何かご機嫌を損ねるようなことをしてしまったというのか。
「あの、クロード様?」
「ん?ああ、ごめんね。これからよろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
よかった、何か考え事をしていただけのようだ。
それにしても心地のいい声だ。
少年のように可憐で、それでいて落ち着きのある声。
不思議ともう一度聞きたくなってしまうような声だ。
私は誰にも言ったことは無いが、男の声が好きなんだ。
男の顔とか性格とか、それ以前に声が気になる。
クロード様の声は、今まで聞いたどの声よりも私の心に染み渡る声だった。
そしてその小柄な体格。
私は自分がこんな大女だからなのか、背の小さな男が好きなんだ。
それらを総合すると、クロード様は私の好みドストライク。
なかなか楽しい仕事になりそうだ。
後日クロード様から異国の踊り子の衣装を頂いた。
身につけてみたが、これは素晴らしい。
私に似合う服なんて無いと思っていたのに。
身体を覆う布は少ないが、普段着にしようと思う。
そもそも演習場所の森が封鎖されてしまったからね。
強力な結界を張ることのできる魔法使いによって、森を覆うように結界が張られ中の魔物が出てこないようにされているらしい。
森では何が起こっているんだろうね。
まあ十中八九魔王が誕生しているんだろうけど。
この魔王は、僕がクラスメイトたちを異世界に連れて行ったせいで発生した魔王ではないらしい。
この世界における僕の影響は、勇者の性別とスキル以外には無い。
神様が勇者を用意して倒す役目を持たせたということは、おそらく突発的に発生した魔王ではなく自然発生的な魔王なんだと思う。
神様は魔王のことを思考能力の無い力の塊だと言っていた。
氷竜王と同じくらいの強さなら、氷竜王は魔王じゃないのかと聞いてみたらその答えが返ってきたんだ。
そして氷竜王といえども世界に対して不利益をもたらすのであれば勇者が生まれ、それを討伐すると。
まあつまり、強い力を持っていて神様にとって邪魔な存在だったら魔王認定されてしまうというわけだ。
僕?僕は大丈夫でしょ。
たぶん神様に愛されてると思うし。
怒られたら土下座するし。
「クロード様、どうでしょうか。気持ちいいですか?」
「うん。とても気持ちいいよ」
そんな僕はといえば、別にエロいことをしているわけではないよ。
自室でクレアさんにマッサージを受けているんだ。
まあエロいといえばエロいかもしれない。
なにせクレアさんはビキニアーマーを身につけているのだから。
いやね、僕は思ったんだよ。
クレアさんに似合うのはメイド服じゃなくてこういった布の少ない、鍛え上げられた自身の肉体をさらけ出すような服なんじゃないかって。
それもフリフリとした飾り気の多いものはダメだ。
もっとナチュラルで、ネイチャーで、超自然的な何かだ。
もういっそ裸が似合うんじゃないかと思う。
妥協のビキニアーマーだ。
古傷のたくさんあるしなやかな肉体に、危険な部分だけを隠すだけの金のビキニアーマーがとてもマッチしている。
やっぱこれだったね。
クレアさんは特に頬を赤らめるでもなく、淡々と仕事をこなしている。
この無機質な感じもまたいい。
床に寝転がっていたらホウキで掃きだされそうな感じがたまらない。
よし、明日はアフリカで買ってきた原住民族の踊り子衣装を試してみようか。
私がメイドとして働くことになったのは偶然だった。
冒険者ギルドでいつものようにつまらない依頼を見ていたら、突然緊急依頼だとか言って魔法学園のメイドの仕事が貼り出された。
いったいなんの冗談だとギルド長に話を聞くと、魔法学園の生徒が高位のドラゴンを使い魔として召喚したのだというではないか。
その生徒と使い魔を恐れて誰もメイドをやりたがらないから、冒険者ギルドに依頼されたのだという。
ドラゴンにメイドとして奉仕できるのは冒険者くらいだと思ったのだろう。
安直な考えだ。
この依頼を出した奴はたぶん馬鹿だな。
だが私はこの依頼を面白そうだと思った。
知り合いで同じく冒険者のフーリッシュも乗り気のようだったので、一緒に依頼を受けることにした。
募集人員は2名。
募集要項は礼節をわきまえたなるべく高位の冒険者。
報酬は1日金貨1枚。
高位の冒険者がこんなはした金で依頼なんて受けるかと思った。
だが、実際に私とフーリッシュは受けている。
この依頼を出した者は今頃ドヤ顔でも浮かべていることだろう。
すこしだけ苛立ったのでごねて報酬を金貨2枚に引き上げさせた。
さすがに高ランク冒険者相手に1日金貨1枚は舐めすぎだ。
学園は私のような大柄な女がメイドとしてやってくるとは思っていなかったのか、急いでメイド服を仕立てさせた。
ひらひらとしていて、なんとも落ち着かない服だ。
フーリッシュは何を着ても似合うから羨ましい。
私のような大女など、何を着てもしっくりこないと言うのに。
これから働く学園の寮を案内された。
貴族のボンボン共はこんなところで暮らしているのか。
そりゃあ自分が選ばれた存在だと思うよな。
私なんてここの生徒たちくらいの頃は冒険者として毎日のように野宿をしていたものだ。
食べるものに金を使うのももったいなかったから毎日黒パンと塩スープばかり。
どうしてこんなに身体が大きくなってしまったのか、まったく分からない。
部屋の掃除をして過ごしていると、廊下からフーリッシュの声がする。
人に変身した高位のドラゴンというやつを連れてきたのか。
どんなやつなのか楽しみだ。
私よりも大きな男だったりしてな。
確か名前はクロードだったな、よし。
ガチャリと扉が開く。
「私クロード様の専属メイドを勤めさせていただきます、クレアと申します。以後よろしくお願いいたします」
クロード様は動かない。
じっと私のほうを見上げて固まっている。
ずいぶんと小さな人だな。
私と並んだら、大人と子供のようになってしまうんじゃないだろうか。
クロード様はやはり動かない。
どうしたのだろうか。
私が何かご機嫌を損ねるようなことをしてしまったというのか。
「あの、クロード様?」
「ん?ああ、ごめんね。これからよろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
よかった、何か考え事をしていただけのようだ。
それにしても心地のいい声だ。
少年のように可憐で、それでいて落ち着きのある声。
不思議ともう一度聞きたくなってしまうような声だ。
私は誰にも言ったことは無いが、男の声が好きなんだ。
男の顔とか性格とか、それ以前に声が気になる。
クロード様の声は、今まで聞いたどの声よりも私の心に染み渡る声だった。
そしてその小柄な体格。
私は自分がこんな大女だからなのか、背の小さな男が好きなんだ。
それらを総合すると、クロード様は私の好みドストライク。
なかなか楽しい仕事になりそうだ。
後日クロード様から異国の踊り子の衣装を頂いた。
身につけてみたが、これは素晴らしい。
私に似合う服なんて無いと思っていたのに。
身体を覆う布は少ないが、普段着にしようと思う。
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