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5.極貧の魔王
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今日も俺は寒空の下釣りをする。
というか釣りしかすることがない。
結局、お鍋に入れて生かして持って帰った魚が何時間ダンジョン内で過ごそうともDPは増えなかった。
今のところDPを稼ぐ手段は、魚を釣ってダンジョン内で殺して吸収するしかないということだ。
その日暮らしの俺は、1匹でも多く魚を釣ってDPをこつこつ貯蓄するしかない。
なんとも切ない異世界生活だ。
せっかく魔王に転生できたのに、やってることはゴブリンが少しかしこくなった程度のことだ。
ちくしょー、から揚げ弁当(30DP)が食べたい。
食べ物のことを考えていたらお腹が空いてきた。
いや、正確にはずっとお腹は空いているんだけど。
ぐぅぐぅと空腹を主張するお腹をごまかすために俺はいつものように水魔法レベル1で出した水をがぶ飲みする。
そしていつものようにお腹が痛くなってトイレに駆け込んだ。
ぐっ、くそっトイレでエネルギーを放出して、さっきよりお腹が空いた。
ひもじい。
魔王とはなんてみじめな生き物なんだろうか。
他の生き物がいないと生きていけないなんて。
いや、食べなきゃ生きていけないのはどの種族も一緒か。
それでもだ、俺のステータスの種族名には、偉そうに堂々と迷宮の魔王と書かれている。
魔王だっていうのならご飯を食べなくても活動できるくらいの肉体が欲しかった。
いや、本当はご飯が食べられるだけのDPが欲しいのだけれど。
DPDP、DPDPDPppppDPDPDPDPDPDPDPPDPPDPPDPDPDPDPPDPDPDPDPPおにぎりDPDPDPDPDPDPDPD。
だめだ、狭い部屋で便器に座って尻からエネルギーを放出していると、どうしてもネガティブになってしまう。
ジャバジャバと水が流れ、白磁の便器が俺の穢れを洗い流してくれる。
やっぱり温水洗浄便座はいい。
それにしてもこのトイレ、水はタッチパネルみたいなところに手をかざすとMPを消費して流れるから、なんらかのファンタジック流水装置だと思うのだが、下水はどこに流れていくのだろうか。
いや、想像に難くない。
なぜならこのトイレを使うたび、DPが1増えるのだ。
DPは有機物をダンジョンが吸収したときに増える。
つまりそういうことなのだろう。
複雑な想いを抱いて、俺は再び釣り場に戻る。
今日は少し豊漁だった。
12匹釣れた。
ちょっとだけDPを貯蓄できた。
お腹が減って眠れないので塩おにぎり(10DP)を1個食べた。
余計お腹が減った。
地道な努力というのは意外と報われるもので、水魔法がレベル2になった。
毎日毎日、水の玉を作り出して寒さで凍るまでキープという修行をしてきた俺としてはこんなにうれしいことはない。
俺は舞い上がってうきうき気分で釣り糸を垂らしながら水魔法を行使する。
この世界において、魔法というのはレベルを上げれば攻撃魔法を覚えたりするというものではない。
むしろ、魔法スキルだけのレベルを上げてもできることは少ない。
レベルを上げることによって出せる水の量が増えたり、操作がスムーズになったりするだけだ。
重要なのはスキルのレベルを上げることによって取得可能になる派生スキルの数々だ。
派生スキルを取得し、創意工夫して自分なりの魔法を作り出してやっと魔法というものが戦闘や生活の役に立つようになるのだ。
であるので、魔法スキルがレベル2になったからといってそんなに今までと変わりはないのだけれど、それでも嬉しいものは嬉しい。
俺は嬉しくてまた水球を作り、凍りつくまでキープする。
喉が渇いたら水をがぶ飲みし、またトイレへ駆け込む。
魔王の体って意外と人間と変わらないよね。
しょうがないかな、レベル1だしね。
このまま魚だけをダンジョン内で殺し続けて、いったいいつになったらレベル2になれるのか。
能力上昇率が魔王クオリティで、レベル2になればコブリンジェネラルに勝てるくらいには強くなれるとかないだろうか。
能力上昇率が人間と同じだったとしたら、いつまで経っても俺はゴブリンジェネラルに勝てる気がしない。
俺は白い息をふーと強く吐き出してネガティブな気持ちを切り替え、水魔法がレベル2になったおかげで取得可能になった派生スキルの数々をわくわくしながら眺める。
水流操作やウォーターカッターなどの操船や戦闘に役に立ちそうなスキルがずらりとリストに並んでいるが、悲しいかな俺にはそれを取得するためのDPがない。
結局今までと同じようにここで釣り糸を垂らすしかないのだ。
早くスキルが取りたいな。
そんな願望を胸に、俺は釣り糸の先に付いた疑似餌を動かす。
体感気温マイナス70度のここでは、生餌はすぐに凍って針が刺さらなくなる。
それに生餌ってちょっと触るのに勇気いるんだよね。
だから俺はもっぱら疑似餌を使って魚を釣っている。
異世界の魚はすれてないのか、異世界でも人のいないこんな場所の魚だからすれていないのかわからないが、思ったよりも魚が釣れる。
お、さっそく魚が来たようだ。
これだけ毎日釣りばかりしていれば、俺も慣れたもので、軽快にリールを巻き上げていく。
氷に開いた直系20センチほどの穴から引き上げられてきたのは、凶悪な顔をしたウツボみたいな生き物だ。
こいつはよく釣れる。
ちょっと怖いけど、針に刺さって吊り上げられた状態のまま船に持っていって、料理するかもしれないと思って出しておいた万能包丁(30DP)ですばやくトドメを刺せば安全だ。
地球外生命体みたいな顔をして死んでいる。
口から入ってお腹の中に卵とか産み付けそうな凶悪な顔だ。
実はこの魚(?)、殺すと2DP、吸収して2DP、合計4DPの釣れるとラッキーな魚なのだ。
やっぱりこいつ魚じゃないのかな。
顔的に魔物なのかもしれない。
この日はこいつが3匹釣れた。
というか釣りしかすることがない。
結局、お鍋に入れて生かして持って帰った魚が何時間ダンジョン内で過ごそうともDPは増えなかった。
今のところDPを稼ぐ手段は、魚を釣ってダンジョン内で殺して吸収するしかないということだ。
その日暮らしの俺は、1匹でも多く魚を釣ってDPをこつこつ貯蓄するしかない。
なんとも切ない異世界生活だ。
せっかく魔王に転生できたのに、やってることはゴブリンが少しかしこくなった程度のことだ。
ちくしょー、から揚げ弁当(30DP)が食べたい。
食べ物のことを考えていたらお腹が空いてきた。
いや、正確にはずっとお腹は空いているんだけど。
ぐぅぐぅと空腹を主張するお腹をごまかすために俺はいつものように水魔法レベル1で出した水をがぶ飲みする。
そしていつものようにお腹が痛くなってトイレに駆け込んだ。
ぐっ、くそっトイレでエネルギーを放出して、さっきよりお腹が空いた。
ひもじい。
魔王とはなんてみじめな生き物なんだろうか。
他の生き物がいないと生きていけないなんて。
いや、食べなきゃ生きていけないのはどの種族も一緒か。
それでもだ、俺のステータスの種族名には、偉そうに堂々と迷宮の魔王と書かれている。
魔王だっていうのならご飯を食べなくても活動できるくらいの肉体が欲しかった。
いや、本当はご飯が食べられるだけのDPが欲しいのだけれど。
DPDP、DPDPDPppppDPDPDPDPDPDPDPPDPPDPPDPDPDPDPPDPDPDPDPPおにぎりDPDPDPDPDPDPDPD。
だめだ、狭い部屋で便器に座って尻からエネルギーを放出していると、どうしてもネガティブになってしまう。
ジャバジャバと水が流れ、白磁の便器が俺の穢れを洗い流してくれる。
やっぱり温水洗浄便座はいい。
それにしてもこのトイレ、水はタッチパネルみたいなところに手をかざすとMPを消費して流れるから、なんらかのファンタジック流水装置だと思うのだが、下水はどこに流れていくのだろうか。
いや、想像に難くない。
なぜならこのトイレを使うたび、DPが1増えるのだ。
DPは有機物をダンジョンが吸収したときに増える。
つまりそういうことなのだろう。
複雑な想いを抱いて、俺は再び釣り場に戻る。
今日は少し豊漁だった。
12匹釣れた。
ちょっとだけDPを貯蓄できた。
お腹が減って眠れないので塩おにぎり(10DP)を1個食べた。
余計お腹が減った。
地道な努力というのは意外と報われるもので、水魔法がレベル2になった。
毎日毎日、水の玉を作り出して寒さで凍るまでキープという修行をしてきた俺としてはこんなにうれしいことはない。
俺は舞い上がってうきうき気分で釣り糸を垂らしながら水魔法を行使する。
この世界において、魔法というのはレベルを上げれば攻撃魔法を覚えたりするというものではない。
むしろ、魔法スキルだけのレベルを上げてもできることは少ない。
レベルを上げることによって出せる水の量が増えたり、操作がスムーズになったりするだけだ。
重要なのはスキルのレベルを上げることによって取得可能になる派生スキルの数々だ。
派生スキルを取得し、創意工夫して自分なりの魔法を作り出してやっと魔法というものが戦闘や生活の役に立つようになるのだ。
であるので、魔法スキルがレベル2になったからといってそんなに今までと変わりはないのだけれど、それでも嬉しいものは嬉しい。
俺は嬉しくてまた水球を作り、凍りつくまでキープする。
喉が渇いたら水をがぶ飲みし、またトイレへ駆け込む。
魔王の体って意外と人間と変わらないよね。
しょうがないかな、レベル1だしね。
このまま魚だけをダンジョン内で殺し続けて、いったいいつになったらレベル2になれるのか。
能力上昇率が魔王クオリティで、レベル2になればコブリンジェネラルに勝てるくらいには強くなれるとかないだろうか。
能力上昇率が人間と同じだったとしたら、いつまで経っても俺はゴブリンジェネラルに勝てる気がしない。
俺は白い息をふーと強く吐き出してネガティブな気持ちを切り替え、水魔法がレベル2になったおかげで取得可能になった派生スキルの数々をわくわくしながら眺める。
水流操作やウォーターカッターなどの操船や戦闘に役に立ちそうなスキルがずらりとリストに並んでいるが、悲しいかな俺にはそれを取得するためのDPがない。
結局今までと同じようにここで釣り糸を垂らすしかないのだ。
早くスキルが取りたいな。
そんな願望を胸に、俺は釣り糸の先に付いた疑似餌を動かす。
体感気温マイナス70度のここでは、生餌はすぐに凍って針が刺さらなくなる。
それに生餌ってちょっと触るのに勇気いるんだよね。
だから俺はもっぱら疑似餌を使って魚を釣っている。
異世界の魚はすれてないのか、異世界でも人のいないこんな場所の魚だからすれていないのかわからないが、思ったよりも魚が釣れる。
お、さっそく魚が来たようだ。
これだけ毎日釣りばかりしていれば、俺も慣れたもので、軽快にリールを巻き上げていく。
氷に開いた直系20センチほどの穴から引き上げられてきたのは、凶悪な顔をしたウツボみたいな生き物だ。
こいつはよく釣れる。
ちょっと怖いけど、針に刺さって吊り上げられた状態のまま船に持っていって、料理するかもしれないと思って出しておいた万能包丁(30DP)ですばやくトドメを刺せば安全だ。
地球外生命体みたいな顔をして死んでいる。
口から入ってお腹の中に卵とか産み付けそうな凶悪な顔だ。
実はこの魚(?)、殺すと2DP、吸収して2DP、合計4DPの釣れるとラッキーな魚なのだ。
やっぱりこいつ魚じゃないのかな。
顔的に魔物なのかもしれない。
この日はこいつが3匹釣れた。
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