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3.仙人がもてると彼は言い張る
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「どうです?私のとっておきですよ。これでエロ本をくださ…いえ、置いていってもらえますか?」
もうエロ本は訂正しないんだ。
「うーん。ちょっと正直どうなの?仙人て。山に篭って修行とかして、霞とか食べてそうなイメージなんだけど」
「仙人はすごいですよ。なんといっても女の人にもてますよ」
「ほう、もう少し詳しく聞いてみようかな」
「仙人はちゃんと勉強すれば霊薬の調合などもできます。あなたの世界では、お医者さん、もてますね。薬剤師さん、最近人気ですね。仙人は異世界において医者や薬剤師といっても過言ではありません。もてるに決まっています」
「え~、本当かな~。なんか仙人ってもてるイメージ無いけどな。それに俺が医者や薬剤師になったところで女の子にもてている姿が想像できない」
「そのあたりは個人差もありますけれども、異世界というところは非常に過酷な環境ですから、あなた方の元いた世界よりも男性の収入に女性は依存しやすい傾向があります」
「うーん、でもなー。本当にもてるのかな」
「もてます。祝福を贈与した時点で肉体は人間を超えます。仙人はちゃんと修行すれば国に属する騎士なんか比べものにならない程強くなれます。異世界ですから、強い男性はもてますよ。横暴な騎士なんかを打倒して女の人を助けた日にはもうその日の晩に童貞卒業できますよ」
「べ、べつに童貞じゃないし。それにそんなシチュエーションそんなにぽんぽんあるものかなぁ」
「ええ、異世界では日常茶飯事です。弱肉強食ですから。それは人間の国でも同じです。強きものは弱きものから搾取する。それはあなた方の世界でも同じことですがね」
「まあ、そうなんだけど。なんか、弱いな。もう少し心に響くものがないとエロ本は渡せないかな」
「あなたもなかなか強情な方ですね。ではこれでどうでしょう。仙人は不老長寿です。ちゃんと修行すれば無限に近い時を生きられます。もし修行しなくても、【職業:仙人】のおかげで300年は生きられます」
「不老長寿か。若いときはこの言葉がこんなに響くとは思わなかったが、40歳という壁を越えて心身の衰えを強く感じるようになった今日この頃、案外響くな」
「ずっと若くいたいですよね。体が衰えていくのは恐怖ですよね。ご安心ください。今回【職業:仙人】を贈与するにあたってオプションとしてお渡しする【仙人マニュアル】には、若返りの秘薬の作り方もちゃんと明記されておりますよ」
「若返りの秘薬…」
ごくり、と俺ののどがなった。
なにそれ、超欲しい。
全国のマダム達垂涎の品だ。
俺はマダムじゃないけど。
きっと売っただけでもすごく高く売れるんだろう。
「そ、それを作れる仙人は、異世界には何人くらいいるのかな?」
「いまのところ3人ほど、ですかね。最近は仙人の祝福も渡していませんし、仙人に自力で至る人はごく僅かです。その中でも、若返りの秘薬を作れる仙人ともなると非常に少ないのです。もちろん若返りの秘薬をはじめとする霊薬、秘薬の数々は一つ売れば一生遊んで暮らせるほどの価値があります」
心がぐらぐら揺れている。
【職業:仙人】とエロ本を天秤に乗せるとエロ本側に傾いた。
エロ本強い。
「そのくらいではエロ本は渡せないな!」
俺は強く言い放つ。
「なんという堅い意思。しかし私も引けないんですよ。これでどうです、仙人は健康にいいんです」
また、変なところからアプローチしてきたな。
「ど、どういうことか聞いても?」
「もちろんです。あなた、タバコをお吸いになりますね?」
クレイルは俺の匂いをくんくんと軽く嗅いで口を開く。
「あ、ああ。結構ヘビースモーカーだけど…」
「お酒も?」
「普通に飲む」
「そんなあなたにこそ【職業:仙人】をお試しいただきたい。仙人はすべての状態異常無効です。どれだけのタバコを吸おうと、浴びるほどのお酒を飲もうと、健康を害することはありません」
「なん…だと」
若いときは健康なんて全く気にしていなかったが、その頃の不摂生のツケは40歳になった今、俺の体に現れ始めている。
健康、若さ、40歳男の弱点を的確に突いてくる。
だが、クレイルよ、それでは40歳男までは落とせても、40歳童貞は落とせない。
それほどまでに童貞にとってのエロ本は大きいものだ。
最近ではネットでエッチな画像などはたくさん見れるだろう。
だが、散々ネットでエッチな画像や動画を見てもなお、コンビニで見かけたら思わず買ってしまう魅力が、エロ本にはある。
俺はクレイルの目をまっすぐ見て、こう言い放つ。
「まだだ、まだ、それではこいつは渡せない」
ハードネゴシエーションは続く。
もうエロ本は訂正しないんだ。
「うーん。ちょっと正直どうなの?仙人て。山に篭って修行とかして、霞とか食べてそうなイメージなんだけど」
「仙人はすごいですよ。なんといっても女の人にもてますよ」
「ほう、もう少し詳しく聞いてみようかな」
「仙人はちゃんと勉強すれば霊薬の調合などもできます。あなたの世界では、お医者さん、もてますね。薬剤師さん、最近人気ですね。仙人は異世界において医者や薬剤師といっても過言ではありません。もてるに決まっています」
「え~、本当かな~。なんか仙人ってもてるイメージ無いけどな。それに俺が医者や薬剤師になったところで女の子にもてている姿が想像できない」
「そのあたりは個人差もありますけれども、異世界というところは非常に過酷な環境ですから、あなた方の元いた世界よりも男性の収入に女性は依存しやすい傾向があります」
「うーん、でもなー。本当にもてるのかな」
「もてます。祝福を贈与した時点で肉体は人間を超えます。仙人はちゃんと修行すれば国に属する騎士なんか比べものにならない程強くなれます。異世界ですから、強い男性はもてますよ。横暴な騎士なんかを打倒して女の人を助けた日にはもうその日の晩に童貞卒業できますよ」
「べ、べつに童貞じゃないし。それにそんなシチュエーションそんなにぽんぽんあるものかなぁ」
「ええ、異世界では日常茶飯事です。弱肉強食ですから。それは人間の国でも同じです。強きものは弱きものから搾取する。それはあなた方の世界でも同じことですがね」
「まあ、そうなんだけど。なんか、弱いな。もう少し心に響くものがないとエロ本は渡せないかな」
「あなたもなかなか強情な方ですね。ではこれでどうでしょう。仙人は不老長寿です。ちゃんと修行すれば無限に近い時を生きられます。もし修行しなくても、【職業:仙人】のおかげで300年は生きられます」
「不老長寿か。若いときはこの言葉がこんなに響くとは思わなかったが、40歳という壁を越えて心身の衰えを強く感じるようになった今日この頃、案外響くな」
「ずっと若くいたいですよね。体が衰えていくのは恐怖ですよね。ご安心ください。今回【職業:仙人】を贈与するにあたってオプションとしてお渡しする【仙人マニュアル】には、若返りの秘薬の作り方もちゃんと明記されておりますよ」
「若返りの秘薬…」
ごくり、と俺ののどがなった。
なにそれ、超欲しい。
全国のマダム達垂涎の品だ。
俺はマダムじゃないけど。
きっと売っただけでもすごく高く売れるんだろう。
「そ、それを作れる仙人は、異世界には何人くらいいるのかな?」
「いまのところ3人ほど、ですかね。最近は仙人の祝福も渡していませんし、仙人に自力で至る人はごく僅かです。その中でも、若返りの秘薬を作れる仙人ともなると非常に少ないのです。もちろん若返りの秘薬をはじめとする霊薬、秘薬の数々は一つ売れば一生遊んで暮らせるほどの価値があります」
心がぐらぐら揺れている。
【職業:仙人】とエロ本を天秤に乗せるとエロ本側に傾いた。
エロ本強い。
「そのくらいではエロ本は渡せないな!」
俺は強く言い放つ。
「なんという堅い意思。しかし私も引けないんですよ。これでどうです、仙人は健康にいいんです」
また、変なところからアプローチしてきたな。
「ど、どういうことか聞いても?」
「もちろんです。あなた、タバコをお吸いになりますね?」
クレイルは俺の匂いをくんくんと軽く嗅いで口を開く。
「あ、ああ。結構ヘビースモーカーだけど…」
「お酒も?」
「普通に飲む」
「そんなあなたにこそ【職業:仙人】をお試しいただきたい。仙人はすべての状態異常無効です。どれだけのタバコを吸おうと、浴びるほどのお酒を飲もうと、健康を害することはありません」
「なん…だと」
若いときは健康なんて全く気にしていなかったが、その頃の不摂生のツケは40歳になった今、俺の体に現れ始めている。
健康、若さ、40歳男の弱点を的確に突いてくる。
だが、クレイルよ、それでは40歳男までは落とせても、40歳童貞は落とせない。
それほどまでに童貞にとってのエロ本は大きいものだ。
最近ではネットでエッチな画像などはたくさん見れるだろう。
だが、散々ネットでエッチな画像や動画を見てもなお、コンビニで見かけたら思わず買ってしまう魅力が、エロ本にはある。
俺はクレイルの目をまっすぐ見て、こう言い放つ。
「まだだ、まだ、それではこいつは渡せない」
ハードネゴシエーションは続く。
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