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11.ギルド追放おっさん
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塔の見物にかまけて、肝心のモンスターを1匹たりとも倒していない。
何しに来たんだか本当に。
俺は塔からなるべく遠くに粘魚を飛ばしていく。
塔の一番近くにドラゴンが陣取っていたように、ダンジョンに近づくほどにモンスターは強くなっているような気がする。
なら逆に、ダンジョンから遠ざかれば弱いモンスターがいるのではないかというのが俺の仮説だ。
このまま粘魚でどこまで行けるのかを試してみるのもいいかもな。
人がいるという安全地帯まで行けるなら物資を買うことだってできるかもしれないし。
俺は全力で塔の反対側を目指した。
しかし俺の本体がいるマンションから数キロ離れたあたりで、それ以上遠ざかることができなくなってしまった。
この範囲が遠隔操作の限界らしい。
安全地帯まで行けなかったのは残念だが、隣町近くまでは行けたので大分モンスターも弱そうになったような気がする。
このあたりにはゴブリンとコボルトのコロニーがあちこちにあり、この2種が縄張り争いしている場所らしい。
どの個体もネットで調べた情報よりも装備が充実していて強そうなのだが、ドラゴンに比べたらどうということはない。
先にドラゴンを見てきてよかったかもしれないな。
俺は5匹の分隊で行動するゴブリンの真上まで飛んでいき、魚の口から回収していたマンションの扉を落した。
扉は角の部分を下にして落下し、1匹のゴブリンの脳天をかち割った。
ゴブリンたちは突然の仲間の死に呆然としている。
その隙に俺はどんどん扉を落していった。
やがて5匹すべてのゴブリンが死に絶える。
かなりグロいが、自分がその場にいるわけじゃない分幾分か気は楽だ。
消えずに残っているモンスターの死体が、これはゲームなんかではなく現実なんだということを訴えかけているように思えた。
あまりに現実味が無さ過ぎてここ数日夢を見ているようなふわふわとした感覚があったが、ゴブリンの死体は俺を一瞬で現実に引き戻してくれた。
俺は本体の顔を両手でバシンと叩き、気合を入れた。
そして粘魚にゴブリンの装備を飲み込ませる。
ゴブリンは揃いの皮鎧を着て、切れ味の鋭そうな剣を装備していた。
鎧は子供のような体形のゴブリンサイズなので俺が着れるものじゃないが、剣は使えるだろう。
ゴブリンのくせに良い剣を使っているな。
ネット掲示板で見るゴブリンの情報といえば単独行動をしていることが多いとか、腰布1丁で丸腰とか、持っていても棍棒などの原始的な武器だという話だったのに、ここのゴブリンは随分と違うじゃねえかよ。
他の場所なら雑魚とされるモンスターでさえも油断できない強敵ということか。
絶対生身で対峙なんかしたくねえな。
幸いなことに扉を落とす攻撃は通用するようだし、しばらくは粘魚を使った空爆作戦でチマチマ倒していくとするか。
モンスターを倒し魔力値を上げる行為をネット上ではレベル上げになぞらえてレベリングと呼んでいるようだ。
ネットゲームが好きな俺もレベリングという言葉は馴染み深いので使わせてもらおう。
今日も朝からレベリングだ。
粘魚を5匹生み出し、1匹を見張りにして4匹を街の探索に向かわせる。
モンスターと戦うだけでなく物資も探さないといけないので魚手はいくらあっても足りない。
昨日ゴブリンを30匹ほど倒して魔力値は17まで上がった。
遠隔でモンスターを倒して経験値のようなものが遠く離れた俺に入るのか不安だったが、杞憂だったようだ。
最初が12だから5上がったことになる。
ゴブリンを6匹倒して1上がる計算か。
脳と耳を生成した粘魚1匹あたりのコストが大体3くらいだから今は5匹が限界だが、魔力値が増えればそれだけ粘魚の数も増やせる。
レベリングの効率もどんどん加速していくだろう。
このスキルはかなりチートだな。
特に脳を生成できて共有できるところがヤバい。
脳を増やせるということは、それだけ演算能力が増えて同時進行で色々なことができるようになるということだ。
それだけじゃない、複数の脳を使って1つのことに集中したら単純に考えて脳の個数分パフォーマンスが向上するということにならないか?
たとえば瞬時の判断を要するような、ネトゲだ。
1つのアカウントでプレイするのに4つくらい脳を動員すれば、単純に考えて4倍すごいプレイができるのではないだろうか。
右手と左手で脳を分けるだけでもかなり達人的なプレイができそうな気がする。
明日あたり久しぶりにネトゲにログインしてみるかな。
そういえばネトゲのアカウントはまだ残っているのだろうか。
運営会社がダンジョン災害に巻き込まれてなければいいのだがな。
半年間放置してしまったわけだし、確実にギルドは追放になっているはずだ。
ギルドの人数も無制限ではないからログインしない人を残しておくのは非効率的だ。
世の中にはやむにやまれぬ事情というのもあるというのに、かつての俺はログインしない人を非難するようなことをギルドチャットに書き込んでしまったこともあった気がする。
いざ自分がログインできなくて追放される側になってみると、あんなこと書き込まなければよかったという想いが湧いてきた。
なんて自分勝手な人間なんだろうな俺は。
今後はネトゲでログインしないギルメンを非難するようなコメントはやめよう。
それはそれとして、ギルドを追放されるのは結構悔しいな。
こうなったら魔力値を増やして粘魚も増やし、俺一人だけでギルドを作ってやるぜ。
そのギルドを最強にして俺をギルドから追放したことを後悔させてやる。
今更戻ってきてくれって言ったってもう遅い。
何しに来たんだか本当に。
俺は塔からなるべく遠くに粘魚を飛ばしていく。
塔の一番近くにドラゴンが陣取っていたように、ダンジョンに近づくほどにモンスターは強くなっているような気がする。
なら逆に、ダンジョンから遠ざかれば弱いモンスターがいるのではないかというのが俺の仮説だ。
このまま粘魚でどこまで行けるのかを試してみるのもいいかもな。
人がいるという安全地帯まで行けるなら物資を買うことだってできるかもしれないし。
俺は全力で塔の反対側を目指した。
しかし俺の本体がいるマンションから数キロ離れたあたりで、それ以上遠ざかることができなくなってしまった。
この範囲が遠隔操作の限界らしい。
安全地帯まで行けなかったのは残念だが、隣町近くまでは行けたので大分モンスターも弱そうになったような気がする。
このあたりにはゴブリンとコボルトのコロニーがあちこちにあり、この2種が縄張り争いしている場所らしい。
どの個体もネットで調べた情報よりも装備が充実していて強そうなのだが、ドラゴンに比べたらどうということはない。
先にドラゴンを見てきてよかったかもしれないな。
俺は5匹の分隊で行動するゴブリンの真上まで飛んでいき、魚の口から回収していたマンションの扉を落した。
扉は角の部分を下にして落下し、1匹のゴブリンの脳天をかち割った。
ゴブリンたちは突然の仲間の死に呆然としている。
その隙に俺はどんどん扉を落していった。
やがて5匹すべてのゴブリンが死に絶える。
かなりグロいが、自分がその場にいるわけじゃない分幾分か気は楽だ。
消えずに残っているモンスターの死体が、これはゲームなんかではなく現実なんだということを訴えかけているように思えた。
あまりに現実味が無さ過ぎてここ数日夢を見ているようなふわふわとした感覚があったが、ゴブリンの死体は俺を一瞬で現実に引き戻してくれた。
俺は本体の顔を両手でバシンと叩き、気合を入れた。
そして粘魚にゴブリンの装備を飲み込ませる。
ゴブリンは揃いの皮鎧を着て、切れ味の鋭そうな剣を装備していた。
鎧は子供のような体形のゴブリンサイズなので俺が着れるものじゃないが、剣は使えるだろう。
ゴブリンのくせに良い剣を使っているな。
ネット掲示板で見るゴブリンの情報といえば単独行動をしていることが多いとか、腰布1丁で丸腰とか、持っていても棍棒などの原始的な武器だという話だったのに、ここのゴブリンは随分と違うじゃねえかよ。
他の場所なら雑魚とされるモンスターでさえも油断できない強敵ということか。
絶対生身で対峙なんかしたくねえな。
幸いなことに扉を落とす攻撃は通用するようだし、しばらくは粘魚を使った空爆作戦でチマチマ倒していくとするか。
モンスターを倒し魔力値を上げる行為をネット上ではレベル上げになぞらえてレベリングと呼んでいるようだ。
ネットゲームが好きな俺もレベリングという言葉は馴染み深いので使わせてもらおう。
今日も朝からレベリングだ。
粘魚を5匹生み出し、1匹を見張りにして4匹を街の探索に向かわせる。
モンスターと戦うだけでなく物資も探さないといけないので魚手はいくらあっても足りない。
昨日ゴブリンを30匹ほど倒して魔力値は17まで上がった。
遠隔でモンスターを倒して経験値のようなものが遠く離れた俺に入るのか不安だったが、杞憂だったようだ。
最初が12だから5上がったことになる。
ゴブリンを6匹倒して1上がる計算か。
脳と耳を生成した粘魚1匹あたりのコストが大体3くらいだから今は5匹が限界だが、魔力値が増えればそれだけ粘魚の数も増やせる。
レベリングの効率もどんどん加速していくだろう。
このスキルはかなりチートだな。
特に脳を生成できて共有できるところがヤバい。
脳を増やせるということは、それだけ演算能力が増えて同時進行で色々なことができるようになるということだ。
それだけじゃない、複数の脳を使って1つのことに集中したら単純に考えて脳の個数分パフォーマンスが向上するということにならないか?
たとえば瞬時の判断を要するような、ネトゲだ。
1つのアカウントでプレイするのに4つくらい脳を動員すれば、単純に考えて4倍すごいプレイができるのではないだろうか。
右手と左手で脳を分けるだけでもかなり達人的なプレイができそうな気がする。
明日あたり久しぶりにネトゲにログインしてみるかな。
そういえばネトゲのアカウントはまだ残っているのだろうか。
運営会社がダンジョン災害に巻き込まれてなければいいのだがな。
半年間放置してしまったわけだし、確実にギルドは追放になっているはずだ。
ギルドの人数も無制限ではないからログインしない人を残しておくのは非効率的だ。
世の中にはやむにやまれぬ事情というのもあるというのに、かつての俺はログインしない人を非難するようなことをギルドチャットに書き込んでしまったこともあった気がする。
いざ自分がログインできなくて追放される側になってみると、あんなこと書き込まなければよかったという想いが湧いてきた。
なんて自分勝手な人間なんだろうな俺は。
今後はネトゲでログインしないギルメンを非難するようなコメントはやめよう。
それはそれとして、ギルドを追放されるのは結構悔しいな。
こうなったら魔力値を増やして粘魚も増やし、俺一人だけでギルドを作ってやるぜ。
そのギルドを最強にして俺をギルドから追放したことを後悔させてやる。
今更戻ってきてくれって言ったってもう遅い。
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