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2.異世界人
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「お前!平たい顔だな!!さては平たい顔族だな!!」
「ひっ、ごめんなさい!!平たい顔でごめんなさい!!」
おっと、冗談で言ったのに本気で怖がってしまったか。
日本語で話しかけたのにな。
これでは俺が悪者だ。
「怖がらせて悪かった。ちょっと落ち着いてくれ」
「へ?あ、日本語……」
「そうだ、俺は日本からの転生者で名前をリノスという」
「転生者?」
「ああ、順を追って説明しよう。君も何があったのかよく思い出して俺の質問に答えてくれ」
そこから俺はここが異世界であることや、俺が日本で死んでこちらの世界で転生したこと、運命神がまた厄介なことを言い出したことなどを話し、男にいくつかの質問をしていった。
男の名前は日野将吾、歳は27歳で職業は自衛官だそうだ。
確かに線は細いが、腕とかちょっと筋肉質なような気がする。
そんな日野はお盆休みが取れたので歳の離れた妹とその友達を連れてドライブをしていたそうだ。
そしてたまたま登った岐阜城の天守閣に、突如として光る扉が現れた。
危険なものかもしれないので近づきたくはなかったが、妹たちに自衛官なら戦闘訓練とか受けてるでしょとせっつかれてしょうがなく扉の調査をすることになってしまったそうだ。
「僕は自衛隊でも通信科の隊員なんですよ。戦闘訓練はたしかに受けていますが、銃も無いのにそんなに無双できるほど強くないんですよ」
「そりゃあ災難だったな」
「それで、扉に入ったらリノスさんが怖い顔で刃物持って訳わからない言語で話しかけてくるから……」
「驚かせて悪かった。強盗だと思ったんだ」
それにしても、あの神様め。
俺は日野が出てきたと思われる扉に目をやる。
その扉はクローゼットの中に突如として出現していた。
中に入っていた衣類が床に散乱している。
まさか俺の家のクローゼットに次元の扉を作るとはやってくれるな。
あちらの扉は岐阜城の天守閣だったか。
なんて場所に扉を出現させているんだ。
俺は懐から懐中時計を取り出して時間を確認する。
扉が開いた時刻はちょうど正午といったところか。
すでに扉の開放時間である10分は過ぎ、扉は閉じている。
次に開くのは7日後の正午というわけだ。
「それで、ここは本当の本当に異世界なんですか?」
「そうだ。ほら、魔法を見せてあげよう」
俺は指先に魔力を集め、火の精霊に意思を伝えて火を灯す。
精霊魔法はこの世界の人が一般に使う魔法とは少し異なるが、そんなことは日野にはわからないだろう。
「うわぁ、すごい。本当に、異世界なんだ……」
「帰れないなんてことはないから安心していい。たぶん7日後にまた扉が開く。あちらの世界とこちらの世界の時間の流れが同じとは限らないけどな」
「そうなんですね。そういえばリノスさんがあちらの世界で生きていたのはいつなんですか?今は平成の次の令和という時代なんですけど」
「へぇ、元号が変わったのか。俺が死んだのは平成だよ。たしか平成25年だったかな」
「え?平成25年って6年くらいしか経ってませんよ?リノスさんはこちらの世界で40年以上の時間を過ごしたんですよね」
こちらで過ごした40数年の時間があちらでは6年ほどか。
大体7倍くらいだろうか。
転生したときに時間軸がずれて転生したのか、それともあちらの世界とこちらの世界の時間の流れが違うのかはまだ判断できないな。
7日後にもう一度次元の扉が開くのを待たないと確認することはできないか。
「どのみち7日間はこちらの世界で過ごしてもらうことになるんだけど、どうする?客間があるから宿の心配はしなくていいけれど、この家でじっとしているか?それとも異世界見物にでも出かけるか?」
「ぜひ、異世界を見物してみたいです!!できるならば魔法とかも使ってみたいし、エルフとか猫耳獣人の女の子とかも見てみたいです!!」
「そ、そうか……」
急に元気になったな。
まあ転生したばかりの頃の俺も同じような感じだったし、仕方がないか。
しかし魔法か。
この世界の魔法は独力では使えるようにはならない。
自分の魔力適性を調べて、それに適合する属性の魔導書を買わなければいけないのだ。
どの程度の魔法かにもよるが、概ね魔導書というのは高額だ。
魔法が使いたければ金がいるというのがこの世界の常識なのだ。
まあ同郷のよしみでひとつふたつの魔導書を無料でプレゼントしてやるか。
どうせ俺がすでに持っている魔法のダブりの魔導書だ。
「まずは魔法適性を調べるか。これに血を一滴垂らしてくれ」
俺はステータスを調べるための魔道具を取り出す。
見た目は表札のようなサイズのただの銀の板だが、これに血を垂らすとその人のステータスを読み取って表示するというファンタジーアイテムだ。
「はい!」
元気がいい返事だ。
日野はウキウキとした様子で俺の渡したナイフで指の先を傷つけ、血を絞り出して魔道具に垂らした。
名 前:ショウゴ・ヒノ
性 別:男
年 齢:27歳
レベル:1
魔力値:8
属 性:地・火
通常スキル:なし
エクストラスキル:なし
「へぇ、2属性か。優秀だな」
「やっぱり複数属性は珍しいんですか?」
「ああ、大体の人は1つあるかないかだよ。この魔力属性がないと魔法は使えない。まあ後天的に取得する方法もないわけではないけどな」
「え、どうすれば後天的に魔力属性を得られるんですか?」
「ダンジョンのアイテムを使う」
「ダンジョン。やっぱりあるんだ……」
「まあな」
ダンジョンにはすべてがあると言われている。
夢も希望も絶望も。
「ひっ、ごめんなさい!!平たい顔でごめんなさい!!」
おっと、冗談で言ったのに本気で怖がってしまったか。
日本語で話しかけたのにな。
これでは俺が悪者だ。
「怖がらせて悪かった。ちょっと落ち着いてくれ」
「へ?あ、日本語……」
「そうだ、俺は日本からの転生者で名前をリノスという」
「転生者?」
「ああ、順を追って説明しよう。君も何があったのかよく思い出して俺の質問に答えてくれ」
そこから俺はここが異世界であることや、俺が日本で死んでこちらの世界で転生したこと、運命神がまた厄介なことを言い出したことなどを話し、男にいくつかの質問をしていった。
男の名前は日野将吾、歳は27歳で職業は自衛官だそうだ。
確かに線は細いが、腕とかちょっと筋肉質なような気がする。
そんな日野はお盆休みが取れたので歳の離れた妹とその友達を連れてドライブをしていたそうだ。
そしてたまたま登った岐阜城の天守閣に、突如として光る扉が現れた。
危険なものかもしれないので近づきたくはなかったが、妹たちに自衛官なら戦闘訓練とか受けてるでしょとせっつかれてしょうがなく扉の調査をすることになってしまったそうだ。
「僕は自衛隊でも通信科の隊員なんですよ。戦闘訓練はたしかに受けていますが、銃も無いのにそんなに無双できるほど強くないんですよ」
「そりゃあ災難だったな」
「それで、扉に入ったらリノスさんが怖い顔で刃物持って訳わからない言語で話しかけてくるから……」
「驚かせて悪かった。強盗だと思ったんだ」
それにしても、あの神様め。
俺は日野が出てきたと思われる扉に目をやる。
その扉はクローゼットの中に突如として出現していた。
中に入っていた衣類が床に散乱している。
まさか俺の家のクローゼットに次元の扉を作るとはやってくれるな。
あちらの扉は岐阜城の天守閣だったか。
なんて場所に扉を出現させているんだ。
俺は懐から懐中時計を取り出して時間を確認する。
扉が開いた時刻はちょうど正午といったところか。
すでに扉の開放時間である10分は過ぎ、扉は閉じている。
次に開くのは7日後の正午というわけだ。
「それで、ここは本当の本当に異世界なんですか?」
「そうだ。ほら、魔法を見せてあげよう」
俺は指先に魔力を集め、火の精霊に意思を伝えて火を灯す。
精霊魔法はこの世界の人が一般に使う魔法とは少し異なるが、そんなことは日野にはわからないだろう。
「うわぁ、すごい。本当に、異世界なんだ……」
「帰れないなんてことはないから安心していい。たぶん7日後にまた扉が開く。あちらの世界とこちらの世界の時間の流れが同じとは限らないけどな」
「そうなんですね。そういえばリノスさんがあちらの世界で生きていたのはいつなんですか?今は平成の次の令和という時代なんですけど」
「へぇ、元号が変わったのか。俺が死んだのは平成だよ。たしか平成25年だったかな」
「え?平成25年って6年くらいしか経ってませんよ?リノスさんはこちらの世界で40年以上の時間を過ごしたんですよね」
こちらで過ごした40数年の時間があちらでは6年ほどか。
大体7倍くらいだろうか。
転生したときに時間軸がずれて転生したのか、それともあちらの世界とこちらの世界の時間の流れが違うのかはまだ判断できないな。
7日後にもう一度次元の扉が開くのを待たないと確認することはできないか。
「どのみち7日間はこちらの世界で過ごしてもらうことになるんだけど、どうする?客間があるから宿の心配はしなくていいけれど、この家でじっとしているか?それとも異世界見物にでも出かけるか?」
「ぜひ、異世界を見物してみたいです!!できるならば魔法とかも使ってみたいし、エルフとか猫耳獣人の女の子とかも見てみたいです!!」
「そ、そうか……」
急に元気になったな。
まあ転生したばかりの頃の俺も同じような感じだったし、仕方がないか。
しかし魔法か。
この世界の魔法は独力では使えるようにはならない。
自分の魔力適性を調べて、それに適合する属性の魔導書を買わなければいけないのだ。
どの程度の魔法かにもよるが、概ね魔導書というのは高額だ。
魔法が使いたければ金がいるというのがこの世界の常識なのだ。
まあ同郷のよしみでひとつふたつの魔導書を無料でプレゼントしてやるか。
どうせ俺がすでに持っている魔法のダブりの魔導書だ。
「まずは魔法適性を調べるか。これに血を一滴垂らしてくれ」
俺はステータスを調べるための魔道具を取り出す。
見た目は表札のようなサイズのただの銀の板だが、これに血を垂らすとその人のステータスを読み取って表示するというファンタジーアイテムだ。
「はい!」
元気がいい返事だ。
日野はウキウキとした様子で俺の渡したナイフで指の先を傷つけ、血を絞り出して魔道具に垂らした。
名 前:ショウゴ・ヒノ
性 別:男
年 齢:27歳
レベル:1
魔力値:8
属 性:地・火
通常スキル:なし
エクストラスキル:なし
「へぇ、2属性か。優秀だな」
「やっぱり複数属性は珍しいんですか?」
「ああ、大体の人は1つあるかないかだよ。この魔力属性がないと魔法は使えない。まあ後天的に取得する方法もないわけではないけどな」
「え、どうすれば後天的に魔力属性を得られるんですか?」
「ダンジョンのアイテムを使う」
「ダンジョン。やっぱりあるんだ……」
「まあな」
ダンジョンにはすべてがあると言われている。
夢も希望も絶望も。
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