さやけき鳥の鳴き声は

siduki_sorairo

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 ぼろぼろになった緋桐を隠すように、そのまま桂樹は本部内にある自身の家まで戻ってきた。本部に戻る時だけ利用するそこは、それでも十分に立派な家だった。ただ今回初めて戻った家の中の空気は淀んで埃っぽく、入った途端二人して咳き込んだ。

 一年のほとんどを『森』を巡る旅に費やす樹術師としては当たり前の光景だった。

 換気をし、そのままになっていた荷を解き、布団を干して掃除をする間に洗濯をした。それから二人連れだって本部の外、『シンクタンク・ユグドラシル』内にある食料品店で食べ物を買い込んだ。

 色々な話をした。桂樹の出身地のこと、樹術師となった契機のこと、その経緯、旅の途中で出会った人、物。珍しいもの、恐ろしい体験、美しい景色。緋桐はそれに目をキラキラさせて聞き入り、合間にぽつりぽつりと、覚えている自身の話を入れた。

 ふと目が合って微笑み、申し合わせたように何度も唇を重ねた。流れる時間が粒子のように細かく、ゆっくりと流れていた。

 長い長い夜だった。それでも二人には矢のように速く過ぎ、胸を打ち震わせるほど楽しい夜だった。

 幸せの形を体現したかのように時間は優しくまろく、暖かかった。

 眠るのが惜しいと抱き合いながら微睡み、お互いの緋色と群青色だけを追い続けた一夜だった。
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