110番通報を110回鳴らした母親

夏草 仁慈

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事件

あの子を産んで

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 エンディング


 取材に応じて約束の公園で私達より早く彼女は待っていた。
見た母親の印象は、今時の服装
スラットしたスタイルに、ポイント的にブランド物を身に付けた若者
お母さんには見えない雰囲気

あらかじめ用意した質問に応じて話してくれた


 夕日を前にして母親は、質問に答えながら息子のことを想っていた。いや、母親は、今だけではない、常に息子のことを考えていた




 最後にあの子に会った日、大切なその日にどうしても笑顔になれなかった、そのことを母親は後悔していた。


 夏の日は暮れようとしていた。遠くでセミの声が聞こえる。家に帰る子供たちの声も聞こえてくる。 
だが、母親の子供は帰らない


 母親の白く細い腕は夕日を逆光にして、さらに細く線のように光り弱弱しかった。地面には細く長いシルエットが写っている。


 母親は会話の途中、途中ふざけてみる。その仕草は愛らしくまるで少女のようだ。


 オレンジ色の空を眺めながら、今、彼女は全てに感謝していた。沈みゆく太陽に宇宙を感じ、宇宙の全てのものに、息子を感じられること、あの子がいたから強く優しくなれたこと、あらゆることを許し、感謝していた。


 


 「あのを生むことができて幸せでした」と、答えた


 彼女は取材が終わるとスタッフに車で家の付近まで送る予定を断り「何か忘れていた事を思い出した」と言った。そして何処に行くのか答えないが私達に深々とお辞儀をし何処かに向かい歩いて行った


 彼女は何を思い出し何処へ向かったのだろうか...


 去り行く後ろ姿は弱々しいが最初に会った時よりなぜか逞しさを感じたのは気のせいだろうか。




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