のめり込む。

冷や汗

今日、私は轢かれた。そう。今ここで自分の肉体を上から見てる。それは夢の中で言う幽体離脱してしまったのだ。案外幽体離脱にかかる時間はものの数十秒、いや数秒だったかも知れない。死ぬその一瞬で体外に出されるのだから。微かにピーポーピーポーとサイレンを鳴らしこっちに来てくれた救急車。肉体のない私は謝った。
「ごめんなさい、もうその中に居ないの。」
けれどそんなのは聞こえもせず其処らの野次馬は次々携帯を出し写真を撮る。SNSに載っけるのだろう。私は赤ら顔にも冷や汗すらでなかった。
意識はあるが生命反応はなく瞳孔は開いてたらしい。実際私はすり抜けて見ることは出来るがそうしなかった。私は自分を見たくなかったんだ。
私の親は生きている。だからこの状況下をどう伝えるかも頭の中でグルグルしていた。

突然電話が鳴り見たことのない電話番号から来た返事は
「○○さんのご両親ですか？」
「はい。どうしたんでしょうか？」
「お子さんが事故に遭われ現在も危うい状況です。すぐ来てください。病院は☆○病院です。」
こんなのがきたらそれこそそれでヒョイと逝ってしまう 。そんなのは嫌だろう。
あぁそう考えているうちに私の親から涙がでた。悲しいのだろう、辛いのだろう。でも他に思うことはあるんだろう。金銭、葬儀。
あぁ、大変大変。
「こりゃ困ったものだ。ひどい死体だな。骨折部分が多いし内蔵破裂も少しある。」
あれれ、ひどい死体らしいですよ、私。いやまあ一瞬で体外に出されたからどうも感じれないけどそうなんだと納得するしかないよね？これ？
司法解剖？死体解剖の人は死亡届けに私の死因を書くためボールペンを取り出させる。雑な筆跡で交通事故による事故死。
私も一生はこれで終わった。たった一人の筆跡でこの世から消えた。案外消えることは怖くなかった。痛くもなかった。泣きもしなかった。
そんなことを思っているうち葬儀になった。喪服を来て一応弔いの敬意を示す。家族、友人、同僚色んな人が来てお香をたいて笑顔でもない遺影を一瞬見て席に戻る。夜には宴会になり辺りはワイヤイしていた。
そんな私が死んだことでクヨクヨするような人なんか居ないと思ったが本当に死んで何になるかはその人の運命だろうなと感じた葬儀だった。そう。なんにも残らなかったんだ。少しの負担と不幸だけをのせて今この世にいるんだろう。なんて最悪な人なんだろう。死にはこんなに盛りだくさんなのか。よく学んだ。じゃあこれをどう生かすかなんて次回の私が居たら答えようかな。
宴会になった葬儀を見て夜空を見上げてもなんにもない。雲だけ。締まらないなぁ。そんな時に話しかけられたような感じがして見たらなんか浮いてた。白いような輝いているような。











ほんとにオチないよね。
もっと語彙力と文章力伸ばします。