【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

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寝て過ごす?無理でしょ

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「学園?学院とは違うの?」

 教会で読み書きを習ったのでそんな感じな場所なのは想像出来たが、それ以上、何を学べば良いのだろう?

「ダート教とターフ教くらい違うわよ」

「宗教を学ぶって事?」

「例えが悪かったわね。私が通った学院は魔法や魔道具製作を専門に扱っていた施設で、あンたに通わせたい施設は、戦闘、対人戦や魔物の狩り方。野外やダンジョンでの生き残り方を学ぶ所よ。座学と実学の割合も学舎毎に違ったりするわ」

「ダンジョン、見た事無いや」

「普通の洞窟や町の地下水道もダンジョンの動き方で応用が利くわ」

「あ、洞窟なら入った事あるや」

「ユカタは野外での実学は冒険者並だけど、他の知識が欠けてるわよね?多分だけど、ダンジョンに行ったら死ぬタイプだと思うのよ」

 不吉な事を言いながら、セーナは干し草を水に浸し、1枚ずつ小さな丸い板で伸ばし始める。

「ギルドに登録出来る日まで、そう言う所で学べって事だね?」

「売り物の相場も知っていれば、ギルドに卸すか店に卸すかの選択も出来るでしょ。あンた、ちょっと勿体無いのよね。お金は稼げるのに活用出来てないから」

 見なさいと言われてテーブルでの作業を見る。伸してる葉っぱは掌2つ分くらいある大きい葉で、見た事ある気がする。それを水…何か混ざってる水に浸してるのか。

「伸ばしてる方はメイダンタバコ。タバコは分かる?」

「年寄りがたまに煙吐いてるね」

「それだと体に悪いわよ。で、こっちの水にはクモノスワタとキセルタケの加工した物が入ってる」

「痛み止めなんだよね、確か」

「それだけじゃ無いけど、痛み止めだけを強くしたのが今作ってるヤツなの。高いわよ?」

「キセルタケだもんね」

「手間賃もよ。知識と技術さえあればこんなの子供にだって作れるんだから」

「僕ならもっと儲けが出るのか…」

「私なら沢山作れるけどね。ふふっ」

 伸した葉を網に乗せ、部屋の端にある棚に収めてく。

「風よ、包み、清めよ。アウラー」

「魔法だ」

「あンたが乾燥キノコ作るより早く出来るわ」

 パリパリになった葉っぱを取り出しドヤ顔するセーナ。今度は束にした葉っぱを押切りで刻み出した。

「端っこのはおばあちゃん用。良い所のは売り物よ」

「へー。薬師みたいだ」

「薬師は薬草をそのまま使うわ。うちは魔道具とポーションの店。薬草を加工して使うの」

「手間が増えるね」

「薬効と単価も増えるわ。さ、降りましょ」

 刻んだ葉を紙で包んでドアに立つセーナ…開けて欲しいのか。開けて下へと降りてった。

「おばあちゃん、痛み止めの時間よ」

「おやまあ、薬なんて作ってたのかい?」

「自分が集めた薬草がどんな使われ方をしてるか見てもらったのよ。それに学園に通う事も勧めたわ」

「へぇ、そうかい。学園ねぇ」

 古めかしい薬棚に売り物を納めて来たセーナは、今度はストーブの中で赤々と燃える炭の一片を小さな箱に納めた。

「ユカタ、少し煙るわよ」

「僕の痛みも治るのかな?」

「痛いの?」「全然」

 炭の上に、おばあちゃん用に集めた端っこを一摘み乗せると、すぐに煙が立ち上る。それを持ってベッドの横のサイドテーブルに置いた。

「甘い匂いがするね」

「クモノスワタの匂いね。お茶淹れるわ」

 ヤカンのお湯でお茶を淹れ、おばあちゃん、次に僕へコップに注いだのをくれた。

「甘い匂いがするね」

「煙が鼻に残ってるからよ。私達はこっちで飲みましょ」

 カーテンの向こうに連れられる。確かにカーテン1枚隔てただけで煙が減った。

「学園の件、考えておいて」

「お金掛かるんでしょ?」

「あンたなら入学金も生活費も稼げるもの。でなければこんな提案しないわ」

 預金と手持ちで大体60万ウーラ。それだけあれば4ヶ月は寝て過ごせるとは思うが、寝てては将来生きら残れない。ダンジョンに潜る事も、人と戦う事も未経験な僕は、セーナが願書を取り寄せるまで、僕はお金を稼ぐ事にした。





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