女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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鉄板作り

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 今日は朝から鉄板作り。とは言え出来るだけ加工は効率化したいので、飯食いながら考えます。今《収納》してあるのは一ドン厚のデカい鉄板が五枚。これを重ねて型抜きすれば…って思うけど、型抜きの時間が結構掛かると予想出来るのでそれを何とか短縮したいのだ。抜き終えた残りを板にして再び型抜き作業をする事にもなるしな。《散開》や《伸縮》が細かい作業に向いてないのもある。

  「一度溶かして型に流し込むのは如何でしょう?」
「鋳物の手法かー。型を量産しないといけないな」

「考えるのは食事を済ませてからに致しませんか?せっかくのスープが冷めてしまいますよ?」

リアの言も最もだ。スープに浮かぶ野菜を掬い、閃いた。

「考えてたのが馬鹿みたいだ。すぐ近くで答えが見つかったよ」

食後のお茶もそこそこに、未完成の鉄板を数枚用意して玄関前へ。

「カケル、一体何を始める気だ?」

「型を作るだけだよ」

空に上がり、《収納》から鉄材を取り出し浮かべる。デカい円盤なので地面に出せないのだ。其奴を一旦直径四十ドンの鉄柱にして、十ドン程の厚みで《伸縮》させて千切り取る。先ずは此奴で型を作るのだ。
地面に降りて、未完成の鉄板を重ねたら《集結》でくっつけて、凸凹を《伸縮》で真っ直ぐに均す。その鉄塊に、先程千切った鉄材を横から《伸縮》で巻き付けて密着させる。内側の鉄塊は《集結》で縮めればスポッと取れた。最後に、鉄材の片方の端を鉄板が入る大きさ迄伸ばして拡げたら型の完成だ。

「それが型?」

「ご主人、どう使うのだ?」

「刮目して見るが良い」

空に上がって鉄板の先に型を宛てがい、鉄板に重力を与えてやる。勿論《伸縮》で柔らかくするのも忘れずに。型に押し込まれた鉄柱が、ニュルニュルと型の形に押し出されて行く。

「何か、凄い」

「取っ手なんて作らなきゃこんな面倒しなくても済んだのにな」

「カケル様、取っ手は必要です」

「俺もまあ、そう思うがな」

型取りした鉄柱は、長さが大体五十ハーン。一ハーンで百枚取れるので、これだけで五千枚取れる計算である。《収納》されっ放しの無加工の円盤は後四枚。取り過ぎたな。
柔らかい状態の鉄柱なら、粘土を切るように紐で切れてしまう。が、紐が無いので頭を使う。型の基になった鉄塊を少し毟って細い糸にした。直接持って作業すると手が切れそうなので端は太い輪っかにしといた。

「鉄板、切る?」

「もうちょっとだけ準備するのだよ」

イゼッタが作り置きしてる板に、一ドンの出っ張りを付ける。これをガイドにして切れば厚みが均等になるって訳だ。指示したらテイカが直ぐに作ってくれたよ。これで作業に取り掛れる。

鉄柱を板に乗せて鉄線で切り、新たな板に乗せて切る。切られた鉄板は魔石を埋めたら空に浮かべ、ある程度溜まったら《伸縮》を解いて固めると言う工程となった。鉄柱を切り出して直ぐに属性魔石を作り忘れていた事に気付き、魔石作りをする羽目になった。

「カケルは意外とうっかりさん」

「人らしくて良いじゃないか」

「完璧成らざる方が魅力的に映りますしね」

「足掻く姿が好きですよ、ふふっ」

「疲れたら何時でもあたしに飛び込んで下さい」

「カッケー!」

皆に格好良い所見せられるように、パパ頑張る。
その後、火の属性魔石を三千粒、魔導コンロを千枚作って夕飯を待てずに泥のように寝た。明日からは少しゆっくり過ごしたいと思う。昼近くまで寝て、遅い朝食を食べて外に出ると、浮かんだ鉄柱に子供等が弓矢を撃ち込んで遊んでた。柔らかいのでブスブス刺さって楽しそうだ。仕舞い忘れた後悔は、子供等の笑顔で帳消しとなった。
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