女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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丈夫

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 《結界》越しに、ブランブランと挑発し、集まって来たのを煙に変える。牙、皮、爪、羽根。魔石以外はこんな感じだ。ミスリルナゲットが出ないなら、此処での狩りは無意味だな。
《結界》の外を一掃し、雑木マットを敷いて少し早めの昼飯にした。時間感覚が狂ってるのか少し眠い。しっかり食うとガチ寝したくなるので間食程度に抑えて昼寝しよう…。
仮眠から目覚めたら、身形を整え来た道を戻る。俺も転移魔法なり転移スキルが欲しい。折り返しだと、スタートとゴールから移動する場合、敵が居なかったりするのだ。
そして一周で飽きる。特に通路上に居る雑魚を追って倒して行っても箱一杯には到底及ばない。ミスリルナゲットが出るだけマシと考えるしか無いが、あんまり出ないのだ。
四十階と七十五階を一往復して、多分夕飯の支度に入る。フィールドが茜色に染っているし、夕方の筈だ。作ったスープを煮込みながらソーサーと肉を焼き、其奴を齧りながらお玉でスープを味わった。


 夜になると、《結界》の外で彷徨く魔獣達が活発になり、《結界》を壊してやろうと体当たりや尻尾ビンタ。風か何かの魔法っぽいのがぶつかる音がする。だがこの程度ならエリアの魔獣が総出で来ても問題無い。コップの水を一口含み、明るくなる迄横になる。

「あら、あらあら。キレイな結界だこと」

「!?」

思わず飛び起きた。ドカドカやってる《結界》の外からはっきり聞こえたその声に、体が勝手に反応して飛び退いた。久々に《逃げる》が自動発動したのだ。
《抵抗》を掛けないと意識を持ってかれる…。そんな美声の持ち主は《結界》に穴を開けて侵入し、ご丁寧に穴を閉じた。

「器用だな…。初めて見たよそんな事」

「うふ、この程度なら幾らでも。貴方に一つ、聞いても良いかしら?」

「答えられる事ならば」

「そう。では…

今、どんな気持ち?」

脳味噌が溶けてしまいそうな気持ちだ。だが口には出来ん。三重に掛けた《抵抗》に、《結界》を三つ《纏う》。そして《治癒》が俺の腹に開いた穴を塞ぐ。口を開いたら血かゲロを吐く自信があった。

「ふぅ~…」

「あら、丈夫なのね」

「…答えて良いか?」

「ふふっ、ええ、どうぞ?」

「……死に掛けるような目に遭うのは何度か経験したが、今回のは二番目にキツかったよ」

「何、それ?」

「死ぬ程度の魔力を吸われた時の方がヤバかった。反応すら出来なかったしな」

「慣れっ子って事なのね」

「ああ。経験は力だな。所であんたは何者だ?」

「こっちこそ聞きたいわぁ。何で死なないのか…ねっ」

「丈夫だからだろ」

「なっ!?」

幾重にも纏った無意味な《結界》を解除して、《抵抗》を《耐性》に変える。そして見えない攻撃の正面に《収納》を並べた。キツかった抵抗が耐えられるようになり、攻撃は異空間へと吸い込まれた。

「暗いから明かり着けて良いか?」

「勝手になさいっ」

光の棒を数本取り出し、ほんの僅かに魔力を込める。ジリッと足を擦る音がして、こんな強い奴でもビビるんだなーって思った。空に浮かせて照らし出される美声の主は、声に違わぬ美女だった。長く、濃い色の金髪は大きく畝り、顔の横からは二本の角が頬当てのように下に伸びていた。黒い皮のドレスを纏い、黒く長い尾には金色の装飾が…否、これは鱗か。

「強くて美人とかどんだけ勝ち組かよ」

「それは…褒めているのかしら」

「貶しては無いぞ。本心だ」

「そっ。なら死になさい」

「うーん…」

もうその攻撃じゃ、俺を殺せないかな。

「此方からも聞いて良いか?」

「何よ!?何で消えるのよ!」

「何で攻撃すんの?ダンジョンの魔物じゃ無いのだろ?」

「貴方がっ!殺すからっ!」

「此処に居た魔物をか?」

「そんなんじゃないわよ!貴方っ、龍を殺したでしょ!?」

「無理だろそれ。俺これでも人だぞ?」

「貴方のような人が居るかっ!!」

「人なんだがなぁ。取り敢えず…」

浮気になるからエッチは出来ないな。



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