女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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コレだから人の子は

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「へえ、人の子はこんなのに入るのね」

 施行から完成までじっくり見てたプリキオーネが高い位置から物を言う。

「龍もきっと嵌るよ。家の女達は皆毎日入ってるし」

「そう。興味は無いけど一度は体験しなくては龍の名折れよね」

その割には浴槽に指を突っ込み、お湯の温度を確認してる。まだ水だぞ?人の子達は家に入って何かしてるみたい。…鎧脱いで寝てるわ。俺も服になるか…。

「あら?良いの?無防備な姿なんて晒して」

鎧の上だけ《収納》し、布の服に着替えていると、プリキオーネが煽って来る。

「海竜の皮に穴開けられたら凡そ何着ても意味が無い。だろ?」

「うふ、そうね」

この女、力を認められるのが嬉しいようだ。それにコミュニケーションの無い場所に暮らしてるだけあって話をしたくてしょうが無い様子。人の事言えんが田舎者あるあるだ。風呂が沸くまで家の中でイチャイチャしたかったが、大家を蔑ろには出来んので外作業の傍ら、会話に付き合っておく。

「貴方の知り合いってあの三方だけなのかしら?」

「ミーネとリュネの間にもう一人姉妹が居るよ。それとミーネの娘。離れて住んでるけどママ様…アーバンジェリ様が居て、親子の契りを結んでるから、その子供は弟になるね。ネーヴェはこの間見たと思うが、他にも血筋の違う雄が一人居るよ」

「私より知り合い多いじゃないの」

「巡り合わせに恵まれただけだよ。家族単位で言えば一家族と二匹だし」

便座を作り、壁で三方囲って入口は雑木紙で目隠しにする。ドア付けるの面倒だしこれで良いよね。

「それは?」

「人は排泄しないと死んでしまうんだ」

「それは難儀な生き物ね。此処のは誰も排泄しないわ」

「魔力で生み出されたからかな」

浄化の魔石を汚れなそうな場所に貼り付けてトイレの完成。

「で?どうやって使うのかしら」

「ズボンを脱いだりスカートを捲ったりして此処に座って…って感じだね。致し終わったら尻とかを葉っぱで拭いたりするんだけど、コレは魔石が浄化してくれるので手間要らずだ」

「ふぅん…。して見せなさいよ」

「まだ出ないねぇ」

「何故なのよ」

「食べ物を食べて、時間が経たないと消化が終わらないから、だな」

「難儀な生き物ね」

「そうだな。肉何かは一度火を通さないと食べられないし、味や香りを付けないと直ぐに食べ飽きてしまう」

「火を通す?焼くの?はぁ、コレだから人の子は…」

「ミーネとリュネの間の姉妹にも似たような事言われたよ」

「ふぅん、なら私も食べてみるわ。焼きなさい肉を」

うんこの話から食事の話になるとは。どうせ食べるし、ならばと竈を作る。土台に火の鉄板を置くスペースを二つ確保し、威圧工法で上から横まで包み込んだら鍋の乗る穴を開けて固めて完成。熱源までが近いから火の通りが早そうだ。
大鍋と焼き鍋を竈に乗せて、大鍋には水と塩、焼き鍋にはラードを乗せて魔力を通す。

「白いのが溶けているわ」

「獣から取れた脂だよ」

「見た事無いわね。そっちのはお湯よね?飲むのかしら」

骨皮構わず生でバリバリ食ってたら見る事は無いだろうな。お湯はまあ、飲んでも良いが今回はちょっと違うのだ。

 肉を出すと、じゅるりと肉食の音がする。背後から、そして家の引き戸の隙間から。此処に来ると決まってから用意したこの肉は、トカゲの背肉。人で言う所の広背筋の辺り、牛で言う所のリブロースかサーロインかって所だ。生のままをステーキ一枚分、残りを二つに分けて使う。

「あ…」

名残惜しいか。もう少し待つのだ。塊の一つに粉末状にしたスパイスを塗し、浮かせて放置。背後でゾワゾワとした気配を漂わせる食いしん坊にヒヤヒヤしながらもう一つの塊を加工する。此方はマタル粉をたっぷりと塗し、グツグツと茹だる湯の中へ投入し、火を落とす。余熱で充分だからな。
さて、スパイスを塗した方の肉に手を付ける。放っとくと本当に食べられちゃいそうだからだ。たっぷりの塩に、ヤモリの卵を混ぜて纏まりのある塩にすると、極薄い雑木紙で肉を包み、更に塩で包んだ。そしてソイツを火の鉄板を一つ取り除いた竈の中へ。そう、塩釜だ。

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