女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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さらば、友よ

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「分かるか?此処、俺が一度真っ新にして土台と壁を作り直したんだ」

「やっちゃいましたか」

 やってはいるのだがやらかしでは無いぞ?多分。

「妻の実家があってな。色々あって仇討ちしたんだ」

「成程分からん」

「水と火と、光は魔道具を使ってる。餞別に一つずつくれてやろう。それと、コレな」

水と光の棒に火の鉄板。そして俺は使う必要の無いトカゲの尾の身のスープをくれてやる。

「そのまま飲むと破裂するよな?」

「コップに一滴、それを半分だけって感じだな」

「因みにだけど、賞味期限とかは?」

「瓶に龍の魔法が掛かってるからへーきへーき」

「イザって時に使うぜ。じゃあ、機会があれば、な」

「簡単に死ぬなよ?」

「俺は主人公タイプじゃ無いから分からんよ」

背を向けた弥一はギルドへ向かって歩き出す。俺も島に帰ろう。さらば、友よ。


 島に着くと、女達に囲まれて、食堂へ連行された。お土産とかセックスが欲しいのでは無い。あの、悪魔の食い物が目当てなのである。先日渡した龍と人種の分は、細切れにされてラビアン含め皆で食べたそうで、妻達の優しさに感銘を受ける。が、今は悪魔に魅入られた状態で俺に縋り付いている。

「皆、旦那様が困って居るだろう?離してやらんと作る事も出来無いぞ」

甘い物にそれ程興味の無いミーネが皆を説得し、モーセの海割りの如き道が出来る。作るのは確定なんだな。

「リュネ」

「用意してあります」

「我が増やしっぎぎ…」

「リュネ、結果も行程も大事だ。二人共ありがとうな」

リュネの頭をポンポンし、諦めて厨房へと向かった。
厨房のテーブルには籠に入った大量のドラゴンスケイル。こんなにあっても困るので、使う分以外は仕舞っておく。そして氷砂糖と白糖とマタル粉に、調理器具を用意してもらった。

「ドラゴンスケイルは皮を剥いて、こっちの少ない方は薄切りに、多い方は白糖と混ぜて潰しておいてくれ」

「「「はいっ」」」

お手伝いのラビアン達から元気な声が上がり、厨房は俄に慌ただしくなる。

「カケル様、白糖の量はどれくらいですか?」

「実の重さの六割…。実を十に分けた六つ分、だな。分かるか?」

「天秤で計れば良いですかね?」

「それで良い。最初はその半分だけ入れてくれ。後で残りを入れるから」

ラビアンに指示を出し、次は生地。これはスキルが無いと出来無いので俺がやる。マタル粉に白糖を入れて、水と混ぜる。

「豆乳はあるか?」

「はいっ、此方に」

水の代わりに豆乳を投入。空気を纏わせ混ぜながら、とろとろより少し硬めな、ぽてぽてっとした状態に調整した。

「カケルさぁん、それでは皆が作れませんよぉ?」

「卵と重曹が無いから、今のシルケじゃ作れないんだ」

「卵…産みますか?」「止めてよっ」

龍の卵なんて食べたくない。泣いちゃうぞ!?

「カケル様、じゅそーとは何なのです?」

「加熱すると気体に変わる粉なんだ。天然物もあるとは思うが今は採りに行く余裕が無いのでこれで行く」

ぽてぽての生地をソーサー用の焼き鍋で焼いてもらう。上下から火が入るから大丈夫な筈だ。張り付かないように薄紙を上下に敷いておいた。

「串を刺して生じゃなくなったら焼き上がりだ。頼むな」

「「「はーーい」」」

薄切りと、白糖を混ぜたペーストが出来上がったので先ず糖蜜漬けから。白糖を溶かし鍋で煮て、サンの実を無理矢理搾ってスライススケイルを漬け込んだ。甘煮だと形崩れするから糖蜜漬けの方が良い。それに前回は時間が無かったし、今はコレがある。時短箱だ。鍋に漬け込み氷砂糖を乗せたのと、ペースト状のを箱に入れて待つ。

「カ、カケル様っ、膨らんでるのですっ」

俺は膨らんでない。生地を焼くニトを見てやると、予想通り前回よりも膨らんでいた。

「専用の型が必要だったな。取り敢えずこのままで続けてくれ」

今度こそジャム。多分一リットも待てば充分だろう。






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