女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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気化熱

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 時短箱に入れていたペーストを取り出したら、火に掛けて、掻き混ぜたり白糖を入れたりして一度冷ます為時短箱へ。コレのお陰でだいぶ作業が捗るな。

「折角だしクリームも作るか」

「それなら私達でも出来ますね」

「なら、とろとろな感じで頼むよ」

「はあーい」

豆乳貰って少し休憩。ラビアン達は俺の搾ったサンの実を細かく刻んで白糖と一緒に豆乳に投入。泡立て器を使い混ぜだした。豆乳の、仄かな甘味が染み渡る。

「カケル、はよ」「はよはよ」「はよなのっ」

待ち切れない妻と龍が俺を急かすが、生地が焼ける迄は待つしか無い。生地の焼ける甘い香りが空腹中枢を刺激して、暴動が起きるかも知れない。休憩は、終わりだ。

「カケル様ー、多分焼けたのですよー」

時間的にもそろそろだろう。良い匂いしてたしな。焼き鍋からスポンジを浮かせて摘出し、横から串を刺してみる。…問題無さそうだ。薄紙を慎重に剥がし、浮かせて冷ましとく。
冷ましていたジャムを取り出して、再び火に掛け搾りサンの実を添加して、再び箱に入れてジャムは完成。

「カケル様、クリームはこれで良いですか?」

今度はクリームか。とろとろより少しだけぽってりだが大丈夫だ、味も問題無い。
味見すると女達の視線が痛い。一部本当にチクチクするが、味見しないでする料理に真面な物は無いんだぞ?視線に急かされジャムを取り出し、手の甲に乗せてペロリング…痛いっ!

「リューネー…」

「うふ、私じゃありませぇ~ん」

宙に浮かせて冷ましていたスポンジはまだ温かく、もう少し冷ます必要があるな。

「リーム、乾かないように冷ませられるか?」

「我に頼むとなると、凍らせない程度だな?良し」

薄い水の壁がスポンジの上下に並び、更にその上下から優しい風が当たる。気化熱で冷ますのか。魔力で冷ますと食べられない子も出ちゃうからな。良く気の回る良い女だ。

「こんな物でどうか」

「ありがとう。後で乗ってやろう」

「カーケルさぁーん」「旦那様よ」

皆乗るからっ!

冷めたスポンジを二分割する前に、上の膨らみ過ぎた所を切除する。捨てるなんてとんでもないので粉末にして取っておく。スポンジを二分割し、上側の両面と下側の上面にジャムを塗る。残らせても戦争が起きるので全部使うぞ。そしてクリームを塗って挟み、上からもクリームをナッテする。上から粉末スポンジを振り掛けるので多少ザラ付いてても平気だ。最後に糖蜜漬けのスライスを足りるよう、且つ余らせないよう、慎重に並べ、完成した。

「ミーネ、此処に居る分と、カロ邸に居る分、セカンドハウスに居る分で切り分けてくれるか?」

「それは旦那様の仕事であろう?」

面倒事を避けたな?諦めて八×八分割で切り分けた。確実に余るので戦争不可避だが、もう諦めた。切り分けられた悪魔の食い物の内、二十一個を《収納》すると、女達の視線が飛んで来る。セカンドハウスとカロ邸に持ってくんだってば。残りは全てこの場に居る者で消費してもらい、バルタリンドへの直通で移動した。

「カケル様?ん~~、これはまた、素晴らしい香りで…」

「あっちで無理矢理作らされたからさ、持って来ないとな」

「お茶を用意しましょうか?」

偶々カロの部屋を整えていたアルネスに鉢合わせ、俺から香る匂いで此処に来た理由を察せられる。

「否、カロが帰ったら皆で食べてくれ。シンクも悔しがるからな。それより体は平気か?ラビアン達は皆島に居たが」

「まだ膨らみもありませんし、無理はしておりません。シャリーさん達のお陰でもありますね」

シャリー達も働いているか。何もしないと暇だろうし、無理はするなと告げてセカンドハウスに向かった。

「カケル様」「甘いです」

「「甘い匂いですっ」」

「島で作らされてな。お前達の分を持って来たんだ」

「「ありがとうございます、ありがとうございますっ」」

抱き着いてぺろぺろして来るので友恋達が帰って来る迄お風呂にインしてしまった。
ケーキ、美味しかったです。




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