もふもふ毛玉日記

RIKU

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勢いは止まりません。

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人が変わったように、ぐいぐい来る俺に先生は本気で引いていた。
「…とりあえず、近々結果を教えてね…。」
「はい!」
もうこうなったら勢いあるのみ。あの時から、ずっと言って来るから多分大丈夫だろう。
 そう考えながら、足早にアパートへ帰っていく。そして、予想通りあの人が声をかけてきた。
「こんばんは。大村さん。今日は遅かったね。

この大家さんは、住民の帰りの時間も把握してるのかよ!っと内心驚きながらも、俺は返事を返す。あの事もうまく話さなければ…。
「こんばんは。今日は子猫をみに行っていたもので。」
「そうなんだね。元気だったかい?」
よし。子猫の話題にのって来たぞ。そのまま…
「ええ。とても元気になって、きれいにしてもらってましたよ。ただ…」
「ん?」
「まだ、里親が決まらずに困ってましてこのままだと心配で。」
「そうかい。まだ見つからんのかい。それは困ったね。だったら、大村さんが見るといいのに。」
やった!この言葉を待っていた。
「え!本当に良いんですか?ここって、ペット禁止でしょう?あっ、でも大家さんが良いって言ってるなら大丈夫なんですね。良かった。これで俺も安心します。いや~、大家さん本当にありがとうございます!」
俺は、大家さんの両手をつかみブンブンと握手を交わした。大家さんも、俺の勢いに圧倒されたのか、何かを言おうとするが、間に入れずにいる。
「え?いや、その。」
「ありがとうございます。明日にでも病院へ連絡しますね。」
俺は、大家さんの様子に気づいているが、一気に押しまくった。
「ちょっと待って。ペット禁止って?」
大家さんから、俺の予想とは違う返事が帰って来た。
「え?このアパート禁止ですよね。契約したときに、書いてありましたよ?」
「?わたしは、禁止にした覚えないけど?むしろ、ペット可にしたはずだけど…。」
大家さんはしばらく考えこんだ。
「だからか。何で、動物がいないんだろうって思ってたんだよ。いや~、早急に確認しとくよ。」
大家さんは、なにやら1人で納得したように颯爽とその場を離れていく。
「あっ!猫ちゃん引き取って来たら、私にも会わせてくれよ。」

とりあえず、大家さんのあの様子をみる限り、了承を得ることができたんだよな?
俺は明日また病院へ行き、この事を話そう。心配事がなくなった為か、俺自身達成感のようなものを感じていた。

しかし、これで全てが終わった訳ではなく、むしろこれからが始まりだった事を俺はまだ知らなかった。
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