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第6章 危険宣告
しおりを挟む「……お断りいたしますわ。だってあなたは私を殺そうとした。」
「ええー、違いますよ。僕の所に連れて来てって命令しただけなのにそっちが殺したんじゃないですか」
「……そんなに皇帝になりたいのですか」
「もちろんですよ。」
「もう一度言います、あなたなんてお断りですわ。」
「そっかぁ。ならしょうがないですねぇ。」
スっと、ロイドが私を押さえつけていた手を離したと、思った。
「ガっ」
「いっ……!?」
髪をおもいっきり掴まれて、髪に短剣が触れていた。
「姉上が悪いんですよぉー。僕に逆らったりするからこうなる。切った髪を兄上に送り付けたら、あの人がどんな顔するか楽しみですねぇ」
「てめぇ!!」
「リコリス、だっけ?ご主人様の髪切られたくなかったら大人しくしててくれるかな?髪は女の命だからね」
「ぐっ……!」
「とりあえず既成事実を作ってしまえばこちらのものなので。兄上もバカだよねー、もう兄上が姉上を抱いたっていうんなら諦めもしましたけど、そうじゃないんでしょ?」
「離して下さい!!」
「いいですか?これからあなたは俺の妻です。
兄上には皇位継承候補から降りて頂きましょう。」
短剣が振り下ろされる。
「……遅れて申し訳ありません、イヴ様。」
「エルバード!」
短剣をエルバードが弾き飛ばした。
「……これはどういうことでしょうか、第二皇子殿下」
「あれれ、僕に剣なんか向けたら王族不敬罪で裁判にかけられちゃうよエルバード。大丈夫?」
「ご心配には及びません。妃殿下をお守りするのが自分の仕事ですから。」
「……つまんないの。加護を受けた妃さえ手に入れば皇位は僕の物だったのになぁ。」
諦めて、くれたかな。
「やっちゃっていいよー、ヨルデミアン」
「!!」
ヨルデミアンがこちらに槍を振りかざしていた。
「下がってエルバード!!」
「妃殿下!?」
神の加護を受けない人間には、神は見えない。
つまりエルバードは何が起きたかわからないまま、攻撃を喰らうことになる。
「遅くてよリコリス。ヨルデミアンなどに遅れを取るとは情けないですわ。」
「!!」
暴走しかけたときに、私に落ち着けと言った声と同じだ。灰色の髪の女性がヨルデミアンの攻撃を受け止めていた。
「何で今になって実体を現したんだよユセニア。」
「主に興味がわいたからよ。だってこの子、セレーヌにいた時は何にも興味なさそうだったのに、ここに来て色々変わり始めてる。」
「はぁ?そんだけでか」
「神はいつだって気まぐれな存在よ。」
「あなたは……」
「初めまして、我が主君様。私は森の力を司る女神、ユセニアよ。」
「ユセニア……」
「そうよ。覚えておいて下さいましね。」
「ユセ、ニア……」
ユセニアが現れた所で、初めてヨルデミアンが声を発した。その声は、ひどく憎悪に満ちていて、女性にしては、とても低い声。
「相変わらずおかしな格好ねヨルデミアン。」
「ユセニア、ユセニアぁあっ!!」
もう一度ヨルデミアンはユセニアに攻撃を仕掛けた。先程の速さとは比べ物にならない速さだ。
「様をつけ忘れていてよ、小物が」
ユセニアが生み出した緑の光にヨルデミアンが触れると、ヨルデミアンの不気味なお面が真っ二つになり、顔に傷をつけていた。
「うぐっ…!?」
ヨルデミアンは座り込み、顔を覆った。
「いいこと?ヨルデミアン。この子は最高ランクの神2人の主なの。あなたのような殺戮にしか能がない女神が手を出していい存在ではなくてよ。」
「貴様っ、私があのことを忘れたと思うなよ……!!」
「おしゃべりが過ぎましてよ。それ以上その事を口にすればあなたの主ごと葬って差し上げてもいいのよ。」
「やめなさいユセニア。」
と、ユセニアを止めた。
「あら、お止めになるとは思いませんでしたわイヴ。」
「ロイド第二皇子殿下、あなたが私に二度と手を出さないと約束して下さいますなら、この2人には何もさせません。」
そう言うと、ロイドの顔が歪んだ。
「……はいはい、降参ですよこーさん。戻りな、ヨルデミアン。」
「しかしロイドっ……!!」
「主の命に従えない神はいらない。これ以上無様な姿を晒すなら今すぐ僕から離れてくれ。」
「……承知した。」
ヨルデミアンがスウッと姿を消した。
「これから大変になりますよ姉上。
あなたが神憑きな限り、狙われ続ける。」
「慣れています。」
「いーや、慣れでどうにかなることじゃないことが起こり始めますよ。なんせこのベルツェには神憑きが集まるヤバい集団だってあります。これは忠告ですよ姉上、狙われなくなければ、他の人に神の力を見せるべきでない。普通のお姫様らしく騎士に守られていることをオススメしますよ。」
「……あなたの言う通りでしょうね。」
「もちろんですとも。」
「それより、神憑きの集団とは?」
「きっともう姉上をターゲットにしていますよ。
あいつらは鼻がいい。」
「まぁ」
「これは危険宣告ですよ、姉上」
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