宰相に手帳を見られ、見られたら乙女ゲームが崩壊し始めたことに気が付きました。

ろろる

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第1章 ご都合主義はごめんあそばせ(3)

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「……何しているの、あなた。」

シウは入ってくるなり真顔で、
夫であり皇太子のルマン、ヒロインのユリシアを見つめた。


「ああ、すまないシウ。
こちら宰相から聞いたと思うが、
聖なる力を持つユリシア・マードレ殿だ。」

ユリシアが席を立ち、
スカートの端をつまんで、可愛らしくお辞儀をした。

「は、初めまして。
私ユリシア・マードレと申しますっ!!」

(……さすがヒロイン、可愛いわね。)

と、じーっと見つめた。
絹のように白い髪、柔らかそうな肌、緊張しているのか火照った頬、大きな青い瞳。
この容姿じゃ攻略対象全員が骨抜きにされるのも無理はない。

(って……、褒めてどうする。
とりあえずは何でいるか聞くのが先よ)

気を取り直し、挨拶を返す。

「お初目にかかります、ユリシア様。
聖なる力を持つ貴方様に会えて光栄にございますわ。
私はシウ・サーシャニア、皇太子であるルマンの妻ですわ」

だが「妻」だという言葉は名ばかりで、
実際ルマンに妻として扱われたことなどない。
それどころか抱かれてすらいない。

本当に「妻」と言うのは便利な言葉だ。

「…して、ここは私の部屋のはずですが、
何故ここにいるの、ルマン様」

と、ユリシアからルマンに視線を移す。
「あぁ、私の部屋は今書類でいっぱいでな。
ユリシアを招き入れるには残念なことになっている。」
「だからって何故私の部屋に……。
応接間でいいじゃないですか。」

「あ、ご、ごめんなさいシウ殿下…」
「いいのよ。
あなたが謝ることではないから。」
「ほう……。
それは謝罪を私に求めているのか?」

「すぐに出ていって下されば結構。
ユリシア様のことを嫌っているわけでも何でもなく、
自分の部屋に勝手に入られるのは不愉快ですわ。
それに、ユリシア様が王城に来られる日にちは明後日だったはずです。皇太子妃としての準備もあります故、
今後このような事はお控えなさって。」

いちいち突っかかってくるな……と遠回しに言った。
そして勝手な行動もするなという警告。
どうしてこうもこの人間は他の女の前では格好をつけたがるのか。

(ああこれも今すぐ日記に愚痴りたい……。)

「ふん…、行くぞユリシア。」
「あ、はい!」

あからさまに不機嫌な表情をして、
ルマンが席を立ち、それをユリシアが追いかけるように出ていこうとした。
が、まだ終わっていない。

「……謝罪が済んでおりませんことよ。」
「ちっ、悪かったな。」

これで夫婦仲が悪いことは明白となってしまったが、
こうでもしないとルマンはまた同じことをやりかねない。

「あの、シウ殿下」
「はい?」

ユリシアが部屋を出る直前、小さな声で行った。
「私はあなたの味方でございます。
全て終わったまたその時に。」
そう言ったユリシアは先程のキャピりんとした態度は何だったのかと言うような、別人の様に微笑む。
その時シウは、ゾクッとしたが、
その理由はユリシアの急変した笑みより、その笑顔が誰かに似ていると感じたからだった。

…全てが終わる?ヒロインが味方?

(今のは何?何を言っているのかしら。嫌味?)

どういう意味か聞く前に、二人は出ていく。

ふうう、とため息をつき、手帳にペンを高速で走らせた。

「あぁあムカつく!!
なんなのあの男!!嫌い嫌い嫌いーー!!」
と、ドレスでジタバタと暴れ回った。
椅子に座った姿勢でジタバタと暴れた。

9月7日
3日後に来るはずの聖なる乙女が来ていた。
それも自分の部屋に!!ありえないわ。
それに味方って何?全てが終わったその時とはどういう意味なの?
はぁ全くあんな男と結婚なんてするんじゃなかった。
顔が良いだけのクズめ。

と、書き記す。
「あー、スッキリした。」

さっきのイライラについては書くことでストレス発散できたものの、ユリシアの言葉はいったい何だったのか。

「…誰かに似てたのよね」
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