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第1章 ご都合主義はごめんあそばせ(2)
しおりを挟むここは落ち着いて、
もしユリシアが夫であるルマンを選んだ場合どうするかを考えて、
冷静になるべきである。
だがシウの手は、「ギャグですか?」と聞かれるように、
ガッタガタに震えていた。
「ご、ご都合主義なんてごめんあそばなんだから!」
まずこの世界に「ご都合主義」なんていう言葉もなければ、
ごめんあそばせの意味は「ごめんなさい」や「失礼します」と言う意味であり、シウにはどっしり構える度胸も冷静さもなかった。
前世でよく悪役令嬢のラブストーリーが好きで読んでいた。
その悪役令嬢達は婚約破棄されても尚、強く美しく振る舞う。
自分の処刑や追放がかかった戦いにも、悪役令嬢は堂々としているがシウはそうはいかなかった。
動揺を隠すために紅茶をテーブルに戻す。
そう、タイミングが分かっているのだから避けられないことはない、大丈夫だ…ともう一度自分を落ち着かせるために、
深く息を吸って、吐く。
ただ、誰に毒殺されたかは不明。
そして三日後にユリシアが王城に招かれ、
ユリシアがルマンルートを選べば即死亡。
「ふぅっ……」
シウは夜眠る前に、自分の手帳に日記を付けることにした。
必ずしも毒殺されるタイミングが同じとは限らない。
そして犯人が誰かも分かっていない。
だが犯人となればルマンが関わる可能性がある。
ユリシアがルマンを選ぶとも限らないが、
念には念を。タダで死んでやるつもりはないのだ、
とペンを取る。
9月6日
今日はグロキシニアから聖なる乙女の話を聞いた。
乙女の名はユリシア。
ユリシアには皇后になる噂があるらしい。
別にルマンに愛など微塵もないが、そんな話冗談ではない。
初日はこんなものか、とペンを置く。
(…どっちかっていうとこれは悪口や不満じゃないかしら?
別にルマンがユリシアと結ばれようとも、この窮屈な後宮から出れるなら万々歳なんだけどね?)
だが命が関わるならば呑気に構えていられない。
だから日記を手帳に付けるのだ。
もし死んで、死後この手帳を見つけるものがいたならば
犯人を探す手がかりとなり、少しは役に立つはずだ。
そしてルマンへの不満を書き記すことで、毒殺にルマンが関わっていたならば、シウを邪魔に思ったルマンが殺したかのように見える。
もしルマンが本当に毒殺を企んだ犯人ならば、
皇太子の座は剥奪され、ルマンが道連れとなる。
ルマンが犯人となるならば、皇太子の座を危険に晒してまで、殺しにくるか否か。
「これじゃあまるで命懸けのゲームじゃない。」
とため息をつく。
シウは皇太子妃に選ばれてから常に完璧を求められ、
死にものぐるいの、それこそ血が滲むような努力をしてきた。
(それが聖なる乙女とやらに奪われてたまるもんですか…。
さて、三日後どうなることやら…。)
と思ったシウは翌朝部屋で絶句するとこになる。
「ははは、本当にユリーは可愛いな」
「やだぁ皇太子殿下ったらぁ!」
皇太子妃のシウの部屋で、
皇太子であるルマンとゲームのヒロイン、ユリシアが
イチャついていたのだ。
「……は?」
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