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第3章 聖女様は恋よりお金がお好き(2)
しおりを挟む「お兄様…ですか」
「違うの?」
「まあ、いいでしょう…」
お兄様と呼ばれるのは初めてで、ましてや異母兄弟のため
グロキシニアは言葉に詰まる。
「で、何か私にお願い事?
だとしたらそうだな~、お母様の治療費と、
今後私が遊んで暮らせる相手と結婚組んでくれるなら考えて
あげなくもないよ?」
貴族に向かってもユリシアはためらいもせず髪をくるんくるんと
指で遊ばせながらほほ笑んだ。
ユリシアが言うことは滅茶苦茶なのに、だが取引を持ち掛けられる
ことが分かっていたような知性のある恐ろしい瞳。
やはり自分と同じ血が宿っているだけあって、
頭は良いのかもしれないな…と思いつつもグロキシニアは笑顔を崩さない。
「さすが我が妹…といったところですかねぇ。
話が早くて助かりますよ」
「あり、本当に私みたいな平民に交渉持ち掛ける気?」
「ええ。」
グロキシニアはユリシアの向かいのソファーに座る。
「明日にもあなたは皇太子に呼び出されくどかれる可能性が
あります」
「…それって私が興味持たれてるってこと?」
「そうです。先程の会議からして…明日には皇太子限定に呼び出されるかと。」
「口説かれたらどうなるの?」
「お伽話のようなものですが聖女が皇后になるという噂があります。
まあ…顔は良いようですし求婚されてもおかしくないかもしれません」
グロキシニアが淡々と述べるとユリシアが目をぱちくりさせたのち、
プハっと笑い出した。
「あはははっ…、この国の皇太子様って、
結構馬鹿なんだね?」
まさにその通りである。
皇太子のルマンのアホさ加減にはグロキシニアのみ手を焼く。
「……そんなことを言って聞かれたら
不敬罪に問われますよ」
「そんなことないでしょ。
この部屋には防音魔法がかけてあるでしょう?」
それにも気がついていたのには驚きだ。
聖女と言われる実力は持ち合わせているらしい。
「……だから、
私お兄様に従えって脅されても助けてーって、
叫べないね?」
「安心して下さい。
乙女に野暮な真似はしませんよ、ましてや妹ですからね」
「あれれ、てっきり平民だから相手にされないと
思ったのにびっくりだよ」
「頭が良い女性は嫌いじゃありませんよ。」
「うっわぁ、そんなんだか独身なんだよお兄様…」
「失敬な。想い人がいるから結婚しないだけです。」
(まあ、否定はできないんですけれどね……)
グロキシニアの好み全てがシウなだけに
頭の悪い女は好まない。
「ふぅん。
で、取引の内容は?話を戻さなきゃ」
「ええそうでした。
皇太子があなたを気に入った素振りを見せたなら…
いえ、皇太子に気に入られて下さい」
「……どういうこと?」
「皇太子があなたを気に入れば、
その妻であるシウ殿下に離縁の話が入るはずなのです」
「……それで?」
話を少しずつ明らかにしていくごとに
ユリシアは真剣な顔をする。
「ですけれどシウ殿下はご聡明ですので
離縁にはそれなりの条件をつけるはずです。
ですが皇太子はそれに頷きはするも邪魔に思った
シウ殿下を…毒殺するでしょう」
「ふぅん、お兄様何が目的な訳?」
「想い人をお救いすることでしょうか」
「……やっば、お兄様の想い人ってシウ殿下なんだ。」
ユリシアは引くどこか高揚感を感じさせる、
何か楽しいことが始まったかのような子供みたいな顔をする。
「ええ、あとはあの皇太子に生まれてきたことを後悔させること。その一環として、あなたには皇太子を骨抜き状態にさせ、
こっぴどく振って欲しいのですよ。
とりあえず味方になってくれるだけでお母様の
治療費はお支払いたします」
「……いいよ、近ずいたげるよお兄様。
契約成立ね?」
これがグロキシニアの復讐の始まりであった。
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YUKI さんへ
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書きますね!ありがとうございます(❁´˘`❁)♡
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