私たちと愛

はるきりょう

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私たちと愛

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「はぁ~」

 ため息が2つ重なった。優子は隣に座る真由美を見る。自分と同じように真由美もこちらを見た。自分も真由美と同じ顔をしているのだろうと思うと思わず苦笑が漏れる。それは真由美も同じだったようで、苦笑が再び重なった。

「なんかもう、いい加減にしてほしいよね」

「本当にね」

 2人は顔を上げ、少し離れた集団を見る。正しくは、女の子たちに囲まれている自分の彼氏をだ。

「モテるのは知ってるけど…あそこまでじゃなくてもいいのに」

 優子がもう一度ため息をついた。

 今日は、4人で遊園地に遊びに来ていた。以前、優子がついた嘘が本当になったのだ。計画を立てるのは楽しかった。水族館、動物園、ショッピング、どこに行っても楽しそうな気がした。優子と真由美も仲良くなり、話したいことがいっぱいあった。だから、遊園地に決めた。待ち時間でさえ、楽しいものになると思ったからだ。

 けれど、間違いだったと再び彼氏たちの姿を見ながら2人は思う。いや、しかし、どこでも囲まれるのは同じか、と同じようにため息をつくのだ。

「あそこで、涼介くんが、あの子たちに声をかけなかったらこんな風にはならなかったのに。…真由美ちゃん、ごめんね」

「しょうがないよ。涼介は優しいから困っている人を放っておけないし。それに、…たぶん、ここからじゃ聞こえなかったけど、そのあとに純平くんが何か言ってたし、それで拍車がかかった感じだったから。…ごめんね」

 数分前の出来事を思い出し、共に頭を下げる。

 朝から遊園地に来ていた4人は、お昼を食べ終え、再びアトラクション回りをしていた。アトラクションとアトラクションの間は離れており、換算すれば歩く量は多い。しかもずっと立ちっぱなしだ。

お昼の時に休憩するつもりだったが、どこもかしこも混んでいたため、食べ終えた後、すぐに出な行かなくてはならず、疲れは上手く取れなかった。そんな優子と真由美の様子を見て、彼氏たちは空いているベンチに2人を座らせ、飲み物を買いに行っていたのだ。

言葉に甘え、休んでいた2人の視界にペットボトルを2本抱えた涼介と純平の姿が見えた時だった。涼介がふと、すれ違った女の子たちに声をかけたのだ。

その子たちは見るからに迷っている様子で、だからこそ、親切心で声をかけたのだとわかった。そのあと、純平も彼女たちに声をかけた。おそらく場を和ませるための世間話だったのだろう。

しかし、問題はそのあとだった。純平の言葉のあと、黄色い声があがったのだ。話し声が聞こえない場所に座っている優子と真由美にもその黄色い声は聞こえた。そして、今の状況に至る。

「たぶんだけど、『どこから来たの?』とか言ったんだと思う」

「…あの明るい髪で、あの派手さでそれを言ったら、ただのナンパだと思うよね。…そして、あの格好よさだもんね。ナンパされてもいい、くらい思うよね。普通の子なら」

「純平くんってみんなに黙認されてるから、あんまり自分が派手だって気づいてない部分があるんだよね。たぶん、あの子たちが、迷子って言うか、道に迷って、不安になってるってわかったから、世間話のつもりでそう言ったんだと思うんだ」

「あの2人はもう少し、自分たちの容姿を自覚すべきだと思う」

「涼介も昔からモテてたから」

「やっぱ、モテてたんだ」

「え…あ…ごめんね」

 申し訳なさそうに謝る真由美に優子は笑って首を横に振る。

「いいよ。気にしてないし。それに、やっぱ、格好いいと思うもん」

「うん。それに優しいから。困った人を見ると放っておけないみたい」

「厄介だね。しかも、純平くんも優しいもんね」

「うん」

 ふと笑う真由美。その笑顔が綺麗で、優子は思わず嬉しくなった。

「なんか、真由美ちゃん、『恋してます』って感じだね」

「え?…そ、そうかな?」

「うん。もう、真由美ちゃんのこと、地味なんて言う人いないでしょう?」

「そんなことないと思うよ?いつも読書してるし、影薄いし」

「そんなことないって。だって、こんなにかわいく笑う人、放っておくわけないじゃん。まあ、相手が純平くんだから、奪い取ろうなんて人はいないと思うけどね」

「そ、そんなこと…それなら優子ちゃんだって!前から綺麗だったけど、涼介と付き合ってからもっと綺麗になったと思うよ」

「…なんか、褒め合ってるね、私たち」

「本当だね」

 2人は顔を見合わせて、笑った。

「…なんだかんだで優しいから、たぶんなかなかあそこから抜け出せないんだろうね、彼らは」

「そうなんだろうね」

「助けに行く?」

「…自信ないかな」

 優子の言葉に、真由美は思わず顔を伏せた。

「…私、今でも、純平くんの隣にいていいのかな、って思うの。付き合ってしばらく経つのに。…あそこに入って、『私が、彼の彼女です』なんて、言えないよ。だって、純平くんの周りにいる子たち、綺麗だもん」

「そんなこと言うと、純平くん泣いちゃうよ?」

 覗き込みように優子は、真由美の目を見た。

「え?」

 顔を上げた真由美の瞳に、笑ったような表情の優子が映る。

「あれだけ大切にされて、あれだけ大好きだって言ってもらってるのに、それを信じないなんて、純平くん可哀想だよ。ま、それまでバカみたいに遊んでた純平くんが蒔いた種でもあるんだろうけど」

「そ、そんなことないよ。純平くんが悪いわけじゃないの。…ただ、私は全部初めてで、人を好きになることすら初めてで。…だから、嘘も本当もわかんなくて。冗談も本気もわかんなくて。だから、怖いんだ」

「真由美ちゃん…」

「だって、私のどこがいいか、私がわからないんだもん」

「こんなに彼女が不安になってるっていうのに、他の女に囲まれてるとか、ダメだな、もう!」

「優子ちゃん?」

 声を荒げる優子の様子に真由美は驚いたように名前を呼ぶ。

「あのね、真由美ちゃんは、綺麗だよ。それに優しい。頭だっていいでしょう?前はあんまり笑っているところを見なかったけど、今はすごく笑ってる。その笑顔はとってもかわいいと思うよ。…自信を持っていいと思う。純平くんは真由美ちゃんだから、恋愛したいんだよ」

「…でも」

「じゃあ、純平くんを信じたら?」

「え?」

「自分のことを信じられないなら、純平くんの気持ちを信じてあげたら?」

「純平くんの気持ち?」

「そう。あれだけ、言葉にしてくれるんだから、その言葉を信じてあげればいいんじゃないかな。それで、徐々に自分に自信をつけていければいいんじゃないかな?」

「できるかな?」

「純平くんの言葉や気持ちは信じられない?」

 首を傾げる優子に真由美は思いっきり首を横に振った。その様子を見て、優子が笑う。

「いいな、真由美ちゃんは」

「え?」

「だって、…涼介くんはあんまり言葉や態度で示してくれないから。大人びていて、距離を取るのが上手で。私の方が心配だよ。…信じるものがないんだもん。私の何を好きになってくれたんだろう」

「…優子ちゃん」

 少しだけ下がった頭。表情が見えなかったが、不安になっているということはわかった。

「聞いたことはないの?」

「ないよ」

「じゃあ、聞いてみれば?」

「え?」

「涼介は感情をあんまり表に出さなくて、自分のことより相手のことを考えてしまう性格だと思うの。でも、それでも、涼介が優子ちゃんのこと好きなんだなって見ていればわかるよ?」

「…本当に?」

 不安そうに尋ねる優子に真由美は大きく頷いて見せた。

「本当だよ。だから、優子ちゃんも涼介の気持ちを信じてあげて。不安なら自分から聞いちゃえばいいよ。たぶん、涼介は教えてくれるから」

「そうだね。…1回涼介くんの気持ち疑って傷つけたのに、また同じことしちゃうところだった。そうだよね。不安なら聞いてみればいいんだよね。これから知っていくって言ったんだった」

「うん。そうだよ。あ、でもね、これだけは言い切れるよ」

「え?」

「涼介は優子ちゃんが好きだよ。だってこんなにかわいい彼女だもん」

「また、褒め合っちゃったね」

「本当だ」

 そう言って2人は再び笑った。

「じゃあ、怖いけど、あの集団に行って、彼氏を救出してきますか?」

「そうだね」

 そう言って2人はベンチから腰を上げた。

「か~のじょ!」

 ふと、かけられた声に後ろを向く。そこには2人の男性がいた。身長が高く、耳にピアスをあけている。

「えっと…」

「いいよ。真由美ちゃん、行こう」

 優子が真由美の腕を掴み、歩こうとした。しかし、2人の内の1人が回り込み進路を阻む。

「急いでいるので、どいてもらえますか?」

「ねえ、どこから来たの?」

 優子の言葉を無視して覗き込むようにそう尋ねられた。

「…」

「そんな怖い顔しなくてもいいじゃん。女の子2人じゃ、寂しいでしょう?俺らと遊ばない?」

「彼氏がいるので」

「え?どこにいんの?」

 2人がわざとらしく頭に手を当て、辺りを見渡す。

「どこにもいないみたいだけど?」

 にやりと効果音のつく顔を浮かべ、1人が真由美の黒い髪に触れた。

「わ~長い髪。しかも、超綺麗だし。手入れ大変でしょう?」

「え…あの…は、離して…」

「何?そんな小さな声じゃ、聞こえないよ?」

「ちょっと!その子に触らないでよ!」

「なら、君には触っていいんだ」

 その声とともに、肩に回る腕。振り払おうとしたが、力で敵うはずはなかった。

「ちょ、ちょっと、いい加減にしてよ!じゃないと…」

「じゃないと?どうなるの?」

 楽しそうに笑う男の声が耳元で聞こえる。その気持ち悪さに思わず優子は目を閉じた。

 次の瞬間だった。「ぐえっ」と野太い声が聞こえた。腕を引かれ、ぬくもりに包まれる。その温かい感覚に覚えがあった。

「…じゃないと、彼氏に殴られるから。が正解かな?」

 見上げれば案の定、見覚えのある顔。

「涼介くん」

「ごめんね、待たせて」

 微笑まれる。その顔に安心し、思わず涙が目尻に溜まる。

「…怖い思いさせてごめん」

 優しい指が目尻の涙をふき取った。ぎゅっと抱きしめられる。優子は腕の中で小さく首を振った。「大丈夫」と声を出したいのに、上手く言葉が出なかった。

「…ま、真由美ちゃんは!」

 優子は我に返り、辺りを見渡す。そして、もう一度安堵した。

「俺の真由美ちゃんに触んな!」

 そう言い放ち、真由美を抱きしめる純平の姿を見たから。泣き出しそうな真由美の髪を梳くように撫で、ぎゅっと抱きしめるその姿から本当に真由美のことが好きなのだとわかる。

逃げるように去る男たちの姿が視界に映った。彼らがいなくなったことで緊張の糸が切れる。

「…さっきの子たちはいいの?」

「え?」

「かわいい子たちに囲まれてたでしょう?」

「見てたの?」

「見てたの」

「…」

「原因作ったの涼介くんだったね」

「うん。…ごめん」

「ねぇ、許すから、1つ質問に答えてくれる?」

「え?」

「私のどこを好きになってくれたの?」

 今、聞くことでない。そう思うのに、優子の口は勝手に開いていた。

 涼介の気持ちを疑うわけではない。けれど、信じられるものが欲しかった。だって自分は、何もないから。容姿の美しさも、勉強のできの良さも、人としての優しさも。全部全部、誰かに負ける。優れていると誇れるものなどない。

だから、どこを好きになったのか知りたかった。ふとした瞬間にその部分が自分の中でなくなっていたら、そう思うと無性に怖くなった。

「…もしかして、まだ俺の気持ち疑ってる?」

 少しだけ怒ったような涼介の声に優子は首を振る。

「違うよ。…でも、…不安なの」

 優子の言葉に、涼介は回している腕に力を込めた。少しだけ痛かった。

「ダメだね、俺。まだ、優子の不安を拭いきれてないなんて」

「違うよ。ただ、…私が自分に自信がないだけ」

「…1年の音楽の授業で、俺は指揮者、優子はピアノの伴奏者だったよね」

「うん」

「どんな風に演奏するのか、一緒に話し合ったよね」

「そうだね」

「その目がすごく真剣だった」

「…」

「音楽にすごく興味があったわけじゃない。合唱も正直、形になればいいぐらいに思ってたんだ。たぶん、他のみんなも。でも、優子の演奏はとても綺麗だった。強弱とか、その曲の背景とか教えてくれたよね」

「たかが、音楽の授業なのに…私だけ真面目だったね」

 どこか自嘲的に言う優子に涼介は笑みを浮かべた。

「すごく格好いいと思ったんだ。音楽が好きだって溢れてた。…好きなものを好きだと言える強さが綺麗だった」

 涼介の視線が少しだけ逸れる。視線の先を追えば、純平と笑いあっている真由美の姿があった。

 胸が痛くなるのを優子は感じた。涼介が好きだと言えなかった好きなものが何かわかったから。

「好きなものを好きだと言える優子の隣に立ちたいと思ったんだ」

「…」

「優子のことを目で追うようになった。友だちと笑ってる顔がかわいいと思ったよ。放課後、テスト勉強をしている優子を見て、俺も頑張ろうって思った。他の男子と話している姿を見たら、むかついた。…自分の感情がこんな風に動くなんて知らなかった。優子の言動で浮き沈みしたんだ。俺の気持ちが」

「…真由美ちゃんを……好きだったときよりも?」

「うん」

 頷いて笑う涼介の顔があまりに綺麗だった。何も隠さない涼介が残酷で、けれど、何も隠さないでくれるからやっぱり優しいのだと思った。

「…そこ、泣くとこじゃないと思うんだけど?」

「泣くとこでしょう?」

「今は優子が好きだよ?」

「真由美ちゃんより?」

「好きの意味が違う」

 そこはただ、頷くところだ。そう言いたかったけれど、そう言う涼介が涼介らしいから優子は涙で濡れた顔を涼介の胸に押し付ける。

「私、頑張るね」

「何を?」

「綺麗になるから。ダイエットとかして、スタイルだってよくなる。涼介くんの彼女らしくなるから」

 そう宣言する優子の頭を涼介は軽く叩いた。

「なんで叩くの?」

 思わず顔を上げ、涼介を見る。

「これ以上綺麗にならなくていいよ。ただでさえ、さっきナンパされてるんだからね。俺の心労増やさないで」

 ため息をつく涼介に優子は膨れて見せる。

「それ、私のセリフだから」

「俺、優子しか見てないのに?」

「……いつそう言うセリフ憶えてくるの?」

「さぁ?」

「…絶対綺麗になって、もっとナンパされてやる」

「やめてって」

「絶対」

「…ま、いいけどね。そうなったら、どこに行くのも一緒に行くから。誰にも声をかけられないように見張ってるよ」

「…」

 それもいい、と思ってしまう自分は相当この人が好きなのだと優子は半ばあきらめたように思った。

「好き」

 思いが勝手に言葉になる。慌てて口を押さえたら、涼介は笑ってその手を取った。

「なんで隠すの?」

 そう言って、額にキスが落とされる。頬が赤くなるのが自分でもわかった。

「…盛り上がってるとこを悪いけど、そろそろ行こうぜ」

 咳払いとともにそんな声が聞こえる。見れば、呆れた表情を浮かべる純平と顔を赤くした真由美の姿があった。

「わっ!」

 思わず涼介を突き放そうと腕を伸ばすが、それがわかっていたように、かえって強く抱きしめられる。

「ここから別行動しようよ。純平も本当はそうしたいでしょう?」

「そりゃ、もちろん。ってなわけで、真由美ちゃん、行こうか?」

「え?」

「出口のところに6時に集合な」

「了解。じゃあな」

「え?…純平くん?」

「ほら、真由美ちゃん行こうよ」

「…でも」

「俺と2人じゃ、嫌なの?」

「…嫌じゃないよ」

「じゃあ、行こうよ。まず、お化け屋敷からね」

「それ、無理」

「いや。それで抱き着いてもらうんだから」

「無理だってば」

「わかった、わかった。とりあえず、行くよ」

 すっと出された手。それを真由美は当たり前のように掴んだ。ぎゅっと繋がれる手に2人が恋人だったのだと改めて思い知らされる。

「仲良しだね」

「当たり前。俺ら愛し合っちゃってるもん」

「あ、愛?」

「何?真由美ちゃんは違うの?俺はこんなに愛してるのに」

「え…いや、違わないけど。えっと…でも…愛とか…」

「そっか。真由美ちゃんは愛してくれないのか」

わざとらしく頭を垂れる純平。それに気づいていないようで真由美は慌てて首を横に振った。

「あ、愛なんて、まだ難しくてよくわかんないけど。でも、…多分これからもずっと純平くんだけが好きだよ。…それが愛だと思うから。だから、…その…えっと…」

「ありがとう、真由美ちゃん。俺もこれからもずっと真由美ちゃんが好きだよ」

 真由美の言葉に純平は心底嬉しそうに笑った。本当に真由美が好きなのだとわかる笑顔だった。その笑顔に真由美は耳まで赤く染まった。

 純平は真っ赤になって下を向く真由美の手を掴んだまま、小さく優子たちに手を振った。離れていく背中を見つめる涼介を優子はそっと盗み見る。

「ん?何?」

 首を傾げる涼介に優子は首を横に振る。

「何でもないよ」

「俺らはどこ行く?」

 抱きしめる腕を外しながら涼介が優子に聞いた。そっと差し出される手。優子は少しだけ躊躇い、その手を掴んだ。するとすぐにぎゅっと握りしめられる。

「……観覧車がいいな」

「観覧車か…。最後の方が雰囲気出る気がするけど、いいよ。行こうか」

「最後にも乗ろうよ」

「うん。じゃあ、キスは最後の時にとっておこうかな」

「え?」

「でも、今したいな」

 優子は赤くなる頬を繋いでいない方の手で押さえる。

「なんか、キャラ変わってない?」

「心配性だからね、俺の彼女。素直に言葉に出すことにしたの」

「じゃあ、私もいい?」

「いいよ」

 そう言う涼介の横顔に背伸びをして、キスを送る。

「好きだよ」

「俺は愛してるけどね」

 そう言い放ち、唇を重ねる涼介に優子は一生勝てる気がしなかった。

 愛だなんてまだ難しくてわからない。けれど、きっと、わからないなりにもそれぞれで『愛』を伝えているのだろう。そう思いながら優子は、涼介の首に腕を回すのだった。





おまけ



「あいつら…遊園地内とはいえ、普通の道だぞ、あそこ」

「…みんな、見てるね」

「たぶん、我に返って岡野だけ赤くなるパターンだと思うよ、あれ」

「優子ちゃんだけ?」

「涼介はあんまり周りの目を気にしないタイプだから」

「…優子ちゃん可哀想じゃない?」

「ま、いいんじゃない?たぶん岡野も涼介のこと愛しちゃってるんだろうし」

「…そうだね」

「ってかさ」

「ん?」

「俺らもしない?」

「………観覧車の中ならいいよ?」

「……………………え?」

「…」

「ま、真由美ちゃん。もっかい言って」

「…」

「ってか、行こう、観覧車。今すぐに!!」

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