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there is …
4. メッセージ
しおりを挟む「 お母さんって、どんな人だったの 」
「 … ん? うん … 」
毎月、月に1度は必ず、
娘のナツが 初めて聞くように
尋ねてくるから、
新はナツに、
初めて話すように 説明をし始める。
「 可愛い子だったよ 」
美味しいなぁ、と付け足しながら、
新はスープカレーを口に運んだ。
「 可愛い子… 、可愛い人、じゃなくて 」
ナツは、スプーンを皿の上に置き、
新の目を真っ直ぐに見た。
「 うん。可愛い子、だね。
ナツを産んで、すぐに亡くなったから 」
「 … 私のせいで、死んだんだよね 」
この会話の流れを、
もう 何百回もしてきた新は、
慣れたように ナツを宥めた。
「 違うよ。お母さんは 元々、
心臓が弱い持病があった子だから。
ナツのせいじゃないんだよ?」
「 私を産まなきゃ、死ななかった 」
大きい十字架を背負って生きてきた様な、
そんなナツの一言は、
何百回と聞かされたって、
新をつらくさせる事に変わりなかった。
「 お母さんは、
ナツを産みたくて 産んだんだ。
お母さんの気持ちを否定するような、
そんな言い方はしないでくれ 」
「 … うん、ごめん 」
新は、嫌な沈黙を何とかしたくて、
なるべく急いで
スープカレーを食べ終える。
「 ナツ 」
「 … なぁに? 」
「 お母さんは、パパの幼なじみでさ、
心臓は弱かったけど… 、
ハートは強い女の子だったんだよ 」
「 うん… 」
「 お母さんは、
自分の病気に引け目を感じない、
強くて優しい 女の子だったんだよ。」
「 うん 」
「 だからパパは、子供の頃から、
ずーっと! お母さんが大好きだった。
今も、大好きだよ。
目の前にいなくても 」
「 うん… 」
ナツの顔が、ようやく少しだけ
明るくなったような気がした。
「 お母さんが亡くなった時、
パパも お母さんも、18歳だったから、
だから パパの中では、ずーっと!
お母さんは " 可愛い子 " なんだよ。」
… " 「 ごめんね… 守れなくて、
守れなくて、ごめんね… 。私 … 、
私が死んだら、ナツを 守れない… 」"…
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