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アウトライン
4. 輪廓
しおりを挟む彼から借りたTシャツを着て、
彼から借りたジーンズを履いて、
未使用の靴下を借りて履き、
彼から借りた 黒いブーツを履いた。
「 サイズ、ぴったり!」私は笑う。
彼の影武者みたいに、ピッタリだ。
「 おー、俺より似合うな。
そのTシャツ、やるわ 」
「 えっ! くれるの?」
彼に褒められただけでも嬉しいのに、
彼が着てきたTシャツを貰えて、
私は すごく喜んだ。
喜ぶ私の顔を見て、彼は 優しく笑った。
「 あっ… 」と言って、
彼はクローゼットまで歩き、開ける。
上の棚に置いてあったヘルメットを取り、
私に手渡してきた。
「 被れ 」
「 バイクに乗るの?」
「 そうや。行くで 」
スニーカーを履く彼の後ろ姿を見ながら、
彼から手渡されたヘルメットを被ろうと、
顔を近づけた時、
「 何か… 、いい匂いする。
このヘルメット 」
私の嗅覚が、反応する。
スニーカーを履き終えた彼は振り返り、
「 … 前の女が 被ってたからかなぁ 」
と、キョトンとした顔で言ってきた。
苦虫を噛んだような顔になる私。
「 何や、その顔は (笑) 」彼は笑う。
「 嫌や! 被りたくない!」
彼の口調を真似して、
ヘルメットを彼に突き返した。
「 アホか! バイク乗れへんやろ。被れ 」
笑いながら、私を叱る彼。
「 やだ! 」 何で、こんな気持ちに…
泣きそうになる私を見て、
彼は 困った顔をした。
「 しゃーないやろ。被れよ 」
仕方ないよね、本当に。
何なんだろうね… 本当に。
恋は、いつだって 厄介なものだ。
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