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第7話異端の存在~ブリリアントside~
しおりを挟む両親は王侯貴族では珍しい恋愛結婚。
この結婚がお父様、いいえ、アダマント王国にとって起爆剤とも言えるもの。
私のお母様。
レオノール・シャイン公爵夫人は、シーラ帝国の皇女殿下。
今は母の兄、私にとって伯父にあたる方が皇帝をされていますので、母は『皇妹』の立場となります。帝国はこの国よりも遥かに巨大な国。何が言いたいのかというと、お母様は、この国で最も高貴な存在という訳です。
国王陛下には即位時に娶った王妃殿下がいらっしゃいますが、長らく子供に恵まれず、愛妾の一人が漸く王子を産み落とした時は国を挙げて祝った程でした。その王子がユリウス殿下。彼の母君は身分の低い騎士出身の家柄。類稀なる美貌が国王の目に留まり、愛妾になられたと聞き及んでいます。王子を産んだことで側妃に昇格なさいましたが、それでも『王太子の母』になるには役者不足でした。
その当時は他の妃にも子供が生まれる可能性が大いにありましたからユリウス王子を世継ぎにとは考えなかったようですが。数年経ってもユリウス王子以外の子供が誕生しなかったのは王家の悲劇としか言いようがありません。
私も王家の血を引く娘。
当然、結婚には多少『国』を意識していました。ですが、両親が恋愛結婚をしていることもあり、どこかで結婚への憧れもあったのです。
それが打ち砕かれたのは今から八年前。
私が九歳の時でした。
ユリウス王子との婚約――
両親から話を聞いて思ったのは「王家にメリットばかりの政略結婚」です。
私と婚約を結ぶためにユリウス王子を王妃の猶子にまでしているのですから本気度が伝わってきました。貴族としての教育を受けていましたので嫌でも納得できる婚約話。
シーラ帝国皇女の産んだ娘との婚約ともなれば、ユリウス王子の『王太子位』に異議を唱えられる者はいないと判断されたのでしょう。公爵家と帝国の後ろ盾も得られる。王家にとって一石二鳥処か三鳥も四鳥もある美味しい話という訳です。
そしてもう一つ。
私を王妃にすることで、王家の求心力を増そうという狙いがあると思われます。お母様の母国である帝国の力が加われば更に。
当時の私は「面倒な立場になった」と思いましたが、婚約自体は両親ほど不安視していませんでした。婚約相手は従兄。それも側妃を母に持つ王子。本人も王家も私に気を遣うだろうと確信していたのです。浅はかな考えだと反省するばかり。この頃から既にユリウス王子の気難しい性格は形成されており、私では到底調教できない段階に達していましたから。
ユリウス王子との婚約が決まり、私達は初めて顔合わせをした日を覚えています。王宮の大広間で行われた盛大なお茶会にて対面した時の第一印象。それは最悪の一言でした。
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