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第18話七年前~ユリウス王子side~
部屋での謹慎を言い渡された。
何故だ!?
どうしてなんだ!
僕は何も間違った事は言っていない!!
父上と王妃が慌てるように園遊会場に向かうので何事かと思いながら付いて行った先には無様に倒れ伏している叔父と、芝生に跪いて深く頭を下げている母上の姿。地面に額が付きそうなほど深く頭を下げている母上に衝撃を受け、頭の中が真っ白になった。誰が母上にこのような真似をさせるのかと思った先には、あの小生意気な娘が居た。涙ながらに懇願する母上は「アランを許してください」と何度も謝罪を繰り返している。
また、あの叔父か!!
母上の実弟で僕にとっても叔父にあたるアラン・モントール伯爵。
奴のせいで母上がどれほど苦労した事か!
母上の弟とは思えない自堕落で怠惰な男!
己の顔の良さを利用して多くの女性達を食い物にしては金を巻き上げている下種!
その上、博打に負ける度に金の無心にくるクズ野郎だ!
よりにもよって、あんな愚かな男のために母上が頭を下げて許しを請うなどあってはならない事だ!!
大体、あの男のせいで母上が後宮に入れられたようなものでは無いか!母上には当時、相思相愛の婚約者がいたという話だ。殆ど身売り同然で後宮入りした母上。愚かな弟のせいで後宮内でも肩身の狭い思いをし続けている。それは母上も理解している筈なのに!
母上は優し過ぎる。
『本当は優しい子なの。だからお願い、アランを許してあげて』
よくそう言って泣き笑いを浮かべていた母上を思い出して歯噛みする。本当にどうしようもない叔父だ!
あの男が叔父でさえなければ!
父上に必死で母上の無実を訴えたというのに、あろうことか父上は一顧だにしてくださらなかった。何故!?
近衛隊に連れて行かれる最中に聞こえてきた貴族共の言葉が蘇る。
『ユリウス殿下はまだ帝王学を学ばれていらっしゃらないのですかな? 貴族には連座制というものがある』
『ほほほっ。元騎士出身の側妃を生母に持たれているのですもの。思考が平民寄りになっていても致し方ありませんわ』
『ほぅ、育ちよりも血ですかな』
『生母の血が濃いのでしょう。父君であらせられる国王陛下には何一つ似ていらっしゃいませんしね』
『確かに』
『そういえば、側妃は後宮に入る前に恋仲の相手がいらっしゃたとか……陛下の愛妾に選ばれた後はどうなさったのかしら?』
『流石に切れてはいるだろう。もっとも、国王陛下が狩りで見初めた側妃だ。色々あるのだろう』
『お口の悪いこと』
『狩り場で精霊に扮したり、踊り子の衣装に身を包んでいれば何かと勘繰りたくなるというものだ』
『あらあら』
ふざけるな!!
母上の侮辱は許さない!!
まるで母上が望んで側妃になったかのような言い草ではないか!母上は決して自ら進んで後宮に入った訳では無い!! 身を穢されながらも心までは売らなかった母上に対してなんて失礼な奴等だ!!
これらのことでも許しがたいと言うのに……。
『だが、側妃は実に運が良い。見初められて早々に懐妊したのだからな』
『まったくだ。そのお陰で只の愛妾から公式愛妾に格上げ。王子を産んだことで側妃にまで成り上がったのだからな。実家も一代限りの騎士爵から伯爵位を賜ったのだから。美貌の娘を差し出したかいがあったというものだろう』
『本当に。早すぎる懐妊には当時から疑問視されていましたけど、シャイン公爵家との縁組でなんとかなったようなものでしょうに』
『ああ。シャイン公爵は国王陛下の弟君だ。それに奥方は帝国皇女。ブリリアント姫は二国の高貴な血を引く正当な王族だ。折角、婚約できたというのに、いやはや、あのような愚者を身内に持つと大変だな』
『新しい王太子は誰になるのかしら?』
『王位継承権を持つ王族は他にもいる。何も現国王の御子でなくとも我々は一向に構わない。陛下も議会にかけてくだされば良いものを』
『ブリリアント姫に見合う子息はいたかしら?』
『少し歳は離れるが――――はどうだ?』
『あら!良いじゃありませんか!――――となら血筋的にも丁度宜しいわ!』
『下賤な女が産んだ出生の怪しい王子よりも――――の方が次期国王に相応しいだろう』
一部聴き取れなかったものもあるが、貴族達の会話に信じられない思いがした。奴らはこの僕を替えのきく衣装か何かのように話しているのだ。馬鹿な!国王の息子である僕以外に一体誰が次期国王になれるというんだ!!
王位継承権を引く存在?
だから何だ!
直系はこの僕だ!
不届き者達に言い返しに行きたかったというのに!二の腕を掴まれている状態では行くにいけなかった。近衛隊め。王族を守る者達もあの貴族共と同類か?不敬の言葉に注意一つしない!王太子が馬鹿にされているのだぞ?まとめて処分するのが忠義というものだろう!!
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