【完結】不協和音を奏で続ける二人の関係

つくも茄子

文字の大きさ
30 / 78

第30話六年前~ブリリアントside~

しおりを挟む
 
 側妃の定員は三名。
 基本、側妃になるのは政略の意味もあり、伯爵家までの御令嬢が選ばれています。王子を産んだ場合、その子が国王になる可能性があるためです。そのため、高位貴族実家や親族の後見人が必要不可欠な地位でもあります。庶子の王族とはいえ、王位継承権を持つのですから当然の措置とも言えました。また、側妃たちは公務に参加なさいます。王妃と側妃とで分担して行いますので下位貴族の令嬢では到底無理なことでした。この点を考えてもシュゼット側妃が「病弱なため公務の不参加を認める」とした意味が透けて見えるというもの。
 
 公式愛妾は文字通り、公式に認められた「愛人」です。
 こちらも別の意味で厳しいと言えるでしょう。定員は一名。男爵家以上の貴族女性がなります。ただし、必ず既婚者でなければなりません。これは、「妃」との区別をするものだとも言われていますが、要は、子供が出来た時の問題とも言えます。公式愛妾が国王の子供を産んだとしても子の父親は「書類上の父」が正式な父親となります。側妃の庶子たちとは異なり、王位継承権は与えられず、王族と名乗る事すらできません。歴代の国王の中には認知なさった方もいらっしゃいますが、それは極めて稀な例でしょう。

 そして最後の愛妾は……嫌な言い方ですが『後宮で飼われるだけの存在』なのです。
 公式愛妾とは違い社交界に出ることは許されません。騎士爵家や平民出身者又は子細ある女性がなるのですが、彼女達は例え子供を身籠ったとしても子供を産ませてもらえません。初期の段階で堕胎薬を飲まされます。それでも産まれた場合は人知れず処分されてしまうとか……。愛妾になった女性は子供を産むことを許されないのです。表舞台に出られない存在は「いなかった者」とされるのです。つまり、愛妾の子は「存在しない者」となる訳です。
 これが所謂『飼い殺し状態』というものでしょうね。
 勿論中には「非公式愛人」として後宮で成り上がり「公式愛妾」になった女性もいるにはいますがるようですが、極々稀ですし、ただ陛下の心身を癒やすためだけの存在。人数制限はありません。ご寵愛を賜る為だけに彼女達は囲われているのですから愛妾となった女性の行く末は決して明るくありません。側妃や公式愛妾とは違い、下賜されても正式な「妻」にはなれません。「国王の愛人」から「貴族の愛人」に代わるだけの話。国王陛下から下賜された以上は大切に扱われているでしょうが、それは「愛玩動物扱い」だったり、ただ単に「囲っているだけ」「手を出す必要がない」状態だったりと、「新しい飼い主」が彼女達に全く関心がない場合も多いようです。捨てられる心配だけはないと安心できるかは微妙なところですわね。


 なので、貧民街育ちのベリー伯爵夫人は正に「シンデレラストーリー」でしたが、彼女のように「愛人契約」で国王陛下の「囲い女」になれたのは初めての事です。彼女は運良く陛下に見初められたのではなく、「実力」で勝ち取ったようなもの。公式愛妾と女優業を兼業するというのは前代未聞であり、彼女以外にはいないと思います。
 仕事上のパートナーであるベリー伯爵とも「婚姻契約」を交わしているようです。元々、公式愛妾になるための結婚ですからね。一見、ベリー伯爵にメリットはないように見えますが、王族との縁ができたのは彼にとっても損ではないのです。それに、ベリー伯爵は「妻を国王に差し出した」ということで子爵から伯爵に陞爵しています。その辺りからも彼の利益が窺えることができると言うものです。



しおりを挟む
感想 75

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。

ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」 実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて…… 「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」 信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。 微ざまぁあり。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

処理中です...