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第63話外交問題~ユリウス国王side~

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「まあ!ブリリアント様よ!!」

「本当だわ!」

「今日も皇太子殿下がエスコートなさっているのね」

「当然だわ。お二人の婚約は時間の問題ですもの」

「ええ!公式発表はまだですけど、既に話は通っていますものね」


 女は姦しい。
 しかも噂好きだ。
 あの小娘が皇太子妃になどなれる訳がない。
 まったく。女はどこも一緒だな。無責任な噂を拡散するのが好きな生き物だ。


「御覧になって!」

「どうなさったの?」

「ブリリアント様が御付になっているブローチを!」

「あれは……ラゴン公国のピンクダイヤモンドかしら?」

「きっとそうだわ。ラゴン公国のピンクダイヤモンドはブリリアント様お勧めの商品ですもの。それにしてもあんな大粒のピンクダイヤモンドは今まで見た事ありませんわ」

「ブリリアント様だからこそ手に入る代物ですわよ。私達には手が届きませんわね」


 下らん。
 何故、女はこうも装飾品に関して目ざといんだ。
 贅沢を好む女に碌なのはいない。小娘がいい例だ。


「ダイヤモンドもそうですが、あのカットはブリリアント様の考案したものかしら?初めて見る形ですわね」

「そうに違いありませんわ!ハートの形なんて可愛らしい!」

「若いブリリアント様によくお似合いだわ」

「あら?聞いた話ではブリリアント様ではなく皇太子殿下が考案なさったらしいですわよ?」

「まあ!それは本当ですの!?」

「ええ、城に勤めている叔母様からの情報ですもの。間違いないわ。なんでも、愛を表現したいという皇太子殿下の威光に沿ったデザインとか」

「まあまあ、そんな事が……」

「「「素敵だわ!!」」」


 何が「素敵だ」。
 くだらないにも程があるぞ!! 
 そんな物に金を掛ける奴の気が知れん!!
 それが帝国の皇太子とはな。
 案外、俗物なのかもしれん。
 期待外れだな。もっと高潔な方だと思ったのに。
 まあいい。所詮は他国の皇太子だ。我が国を支援してくれさえすれば文句はない。

 ただ、あの小娘はやはり気に入らない。

 小娘の態度といい、仕草と言い。実に腹立たしい!!

 こちらが下手に出ていればつけ上がる始末だ!
 わざわざ会いに来たというのに「忙しい」だと!?
 それが国王に対する態度か!!

 僕を馬鹿にした態度は許せん!!


 たかが公爵家の娘の分際で!!


 


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