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第77話未来へ~ブリリアント皇后side~
しおりを挟む「ごめんなさいですめば、警察も軍隊も騎士も必要ありませんわ」
「やれやれ、それは彼からの謝罪文だろう?
「ええ、謝罪と感謝の手紙と聞いていました」
「おや?違うのかい?」
目の前で優雅に足を組んでお茶を飲む夫の疑問。この手紙の差出人は元婚約者だったユリウス元国王からだった。まさかこんな内容の手紙を送ってくるとは思わなかった。謝罪も感謝の言葉もなく。ただ自分が悪かったと反省する言葉は書いてあったものの……。いいえ、彼からしたらコレが謝罪と感謝の内容なのかもしれないのですから。一概にそうとは言えないのでしょうが……。
「私から言わせれば、コレは感謝や謝罪の文章というより煽りですね」
「煽り?」
「ええ、差別主義者で貴族的などと書く必要があるかしら?普通に謝罪の文章を書けばよろしいのに!しかも何だか言い訳めいた内容で回りくどい文章で書かれても困りますわ。本当に反省しているのか?って思いますでしょう?」
「元国王というプライドがあるのだろう」
「プライドというより、彼の元からの性格だと思いますわ」
「おや?そうなのかい?元国王の彼はここ数年目覚ましい活躍をしているようだ。随分と性格も丸くなったと聞いていたのだが……」
「以前が酷すぎましたからね」
「彼の思考は母親譲りなのだろう?ならば仕方がない」
元側妃の母親の影響をモロに受けている彼の場合、これでもまだマシになった方かもしれない。後宮に上がって、何時まで経っても平民寄りの思考回路の持ち主だった女性の息子。王子としての教育は受けていても最大級の影響を与えたのは母親なのだから。
「それで、この手紙はどうするんだい?返事を書くのかい?」
「いいえ。必要ありません」
既に他国の人間。
血縁関係が全くないとはっきりしている今、親戚付き合いもないのだから。
「そういえば男爵は五年間故郷に帰っていなかったようだね」
「そのようです」
「なら例の事は知っているのかな?」
「母君の事ですか?」
「ああ」
「どうでしょう?仲の良い親子ですから報告はしているのではありませんか?」
「それならいいが……知らなかったら驚くと思ってね」
「流石に知らないという事はないでしょう」
「そうだね」
知らないなんて事は有り得ないだろう。
自分の母親が護衛兵と男女の関係になっているのだから。その結果、生まれた子までいる。事実婚とはいえ、実質夫婦として過ごしていると報告を受けていた。
当然、実の息子の彼は知っているものだと思っていた。
まさか、全く知らなかったなんて思いもしなかった。
この事実を知った彼は、驚き高熱で三日間も寝込んでしまうことになるなんて私達は想像もしていなかったのです。
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