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~ロクサーヌ王国編~
17.王太子side
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父上からの叱責後は散々だった。
どれだけ言っても理解してくださらなかった。
「ち、っ父上。あれは必要なことだったんです。あの女に正義の鉄槌を下すには……」
「なにが正義だ!!裁判官を脅して周囲に金を握らせて証言させるっておいて!!しかも証拠物件は全部出鱈目ではないか!!!」
「し、仕方なかったのです。あの女は卑怯にも証拠を残さなかったので……。クロエに対する数多くの犯罪行為を辞めさせるためには仕方のない事だったのです」
「その犯罪行為自体がなぜヴァレリー公爵令嬢の仕業だといえる?」
「そんなものは決まっています!クロエがそう言っていたからです!!」
「つまり浮気相手の言い分だけを聞いて冤罪を起こしたという訳だな」
「ち、違います!!実際、私も見ました!!」
「ほぉ、一体なにを見たんだ?ヴァレリー公爵令嬢が犯罪まがいの嫌がらせをしている現場か?それとも誰かにそう聞かされて思い込んでいるだけか?」
「そ、それは……」
「大方、その誰かに吹き込まれて記憶違いをしているだけであろう」
「違います!」
「なにが違う?」
「証拠があります!クロエは持ち物を何度も壊されてます!!それに聞くに堪えない誹謗中傷の数々。きっとあの女が悪評を流したに違いありません!!!」
「そんな訳がないだろう」
「何故言い切れるのですか!!」
「決まっているだろう。ヴァレリー公爵令嬢には王家の影をつけてある。もしも彼女がそのような行為をしていたら報告してくる。その前に行動に移さないように未然に防ぐ手立てにもなっている」
「はっ?!」
王家の影?
あの女に?
父上は一体なにを……。
「何に驚いている?ヴァレリー公爵令嬢は卒業後は王家に嫁ぐ身だ。影をつけるのは当然だろう。無論、お前にもつけているぞ」
「なっ?!父上?!」
私にも影をつけているだと?!
なぜ!!?
「その顔は理解していないようだな。王太子であるお前に万が一のことがあれば目も当てられん。だからこそ影を付けているんだ。もっとも、学生の間だけは自由にいさせることを命じてあった。卒業後は嫌でも自由などないからな。だが……まさかそれが裏目に出ようとは……」
「ち、父上……?」
「お前と浮気女との関係など随分前から知っている」
「なっ!?」
「学生の間までだと思って大目に見ていた。公爵にも頭を下げてお願いしていたんだ。まぁ、その見返りとして鉄道利権を失う羽目にはなったがな」
「なんですって?!」
「一々驚くな。当然のことだ。それにお前がヴァレリー公爵令嬢を娶れば特に問題はない事だったんだ。公爵は令嬢の持参金の一つとして鉄道利権を付けると申し出てくれていたからな」
血の気が引く思いだ。
まさか利権を失っていただなんて。あれは王家にとって重要な資金源の一つだ。それを永久に失ったと聞かされた。ショックを受けない方がおかしい。
その後、父上から色々聞かせられた。
殆ど記憶に残っていないが、王家は公爵家に多額の賠償金と慰謝料を支払うことになった。
どれだけ言っても理解してくださらなかった。
「ち、っ父上。あれは必要なことだったんです。あの女に正義の鉄槌を下すには……」
「なにが正義だ!!裁判官を脅して周囲に金を握らせて証言させるっておいて!!しかも証拠物件は全部出鱈目ではないか!!!」
「し、仕方なかったのです。あの女は卑怯にも証拠を残さなかったので……。クロエに対する数多くの犯罪行為を辞めさせるためには仕方のない事だったのです」
「その犯罪行為自体がなぜヴァレリー公爵令嬢の仕業だといえる?」
「そんなものは決まっています!クロエがそう言っていたからです!!」
「つまり浮気相手の言い分だけを聞いて冤罪を起こしたという訳だな」
「ち、違います!!実際、私も見ました!!」
「ほぉ、一体なにを見たんだ?ヴァレリー公爵令嬢が犯罪まがいの嫌がらせをしている現場か?それとも誰かにそう聞かされて思い込んでいるだけか?」
「そ、それは……」
「大方、その誰かに吹き込まれて記憶違いをしているだけであろう」
「違います!」
「なにが違う?」
「証拠があります!クロエは持ち物を何度も壊されてます!!それに聞くに堪えない誹謗中傷の数々。きっとあの女が悪評を流したに違いありません!!!」
「そんな訳がないだろう」
「何故言い切れるのですか!!」
「決まっているだろう。ヴァレリー公爵令嬢には王家の影をつけてある。もしも彼女がそのような行為をしていたら報告してくる。その前に行動に移さないように未然に防ぐ手立てにもなっている」
「はっ?!」
王家の影?
あの女に?
父上は一体なにを……。
「何に驚いている?ヴァレリー公爵令嬢は卒業後は王家に嫁ぐ身だ。影をつけるのは当然だろう。無論、お前にもつけているぞ」
「なっ?!父上?!」
私にも影をつけているだと?!
なぜ!!?
「その顔は理解していないようだな。王太子であるお前に万が一のことがあれば目も当てられん。だからこそ影を付けているんだ。もっとも、学生の間だけは自由にいさせることを命じてあった。卒業後は嫌でも自由などないからな。だが……まさかそれが裏目に出ようとは……」
「ち、父上……?」
「お前と浮気女との関係など随分前から知っている」
「なっ!?」
「学生の間までだと思って大目に見ていた。公爵にも頭を下げてお願いしていたんだ。まぁ、その見返りとして鉄道利権を失う羽目にはなったがな」
「なんですって?!」
「一々驚くな。当然のことだ。それにお前がヴァレリー公爵令嬢を娶れば特に問題はない事だったんだ。公爵は令嬢の持参金の一つとして鉄道利権を付けると申し出てくれていたからな」
血の気が引く思いだ。
まさか利権を失っていただなんて。あれは王家にとって重要な資金源の一つだ。それを永久に失ったと聞かされた。ショックを受けない方がおかしい。
その後、父上から色々聞かせられた。
殆ど記憶に残っていないが、王家は公爵家に多額の賠償金と慰謝料を支払うことになった。
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