【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子

文字の大きさ
59 / 112

59.とある子息side

しおりを挟む

『門番買収事件』

 それは各家に通達されていた。フリードの親は自分の息子も門番を買収しようとしたことを学園側から聞かされて顔面蒼白だったそうだ。
 フリードは家族からこっぴどく叱られたが反省の色はなく、「俺は間違ってない」「これは陰謀だ!」と喚いていたらしい。



 

「お世話になったね、リューク君」

「おじさん、本当に行ってしまうんですか?何も爵位を返上しなくともよかったのでは?」

「国を出るんだ。他国の貴族位を持っていると逆に警戒されてしまう。外交や観光目的なら兎も角、その国で商売しようとするなら貴族称号はある意味で足かせになる事もあるからね」

 元々商人から成り上がった人だ。そういう光景を何度か見た事があるのだろう。確かに余程名が売れていなければ他国のスパイと勘違いされるケースもあると聞いた事がある。きっとそれを警戒しているのだろう。

「息子とも仲良くしてくれてありがとう。君達家族には助けられてばかりだったよ」

「すみません。フリードを止められなくて」

「謝らないでくれ、リューク君。あの状態のフリードには誰の言葉も届かなかったよ」

「あの……フリードは今も?」

「ああ、『第一王子殿下が陞爵しょうしゃくを約束してくれた』だの『商品の融通を付けてくれる』だのと世迷言を吐いているよ。まったく。仮にあの子の言ったように第一王子殿下が約束してくれていたとしてもそれは所詮口約束でしかない。契約書だって交わしていないときた。それでは話にもならない。そうだろ?商売だって契約書にサインする。それによって裏切らないと保証されるんだ」

「おじさん……」

「やっぱり私に貴族は無理だったんだよ。今回の件で嫌と言うほど分かった。皆が知っているはずの情報を私達家族は誰も知らなかったんだから」

「それは……」

「ははっ。所詮は商人だということだ。社交界での人脈作りは商品をより高く買ってもらうための手段にしていたツケがきたんだな。ああ、リュークそんな顔をしないでくれ。貴族の言葉の裏を読み取れなかった私達の落ち度だ。皆、遠回しに教えてくれていたと言うのに……」

 おじさんは苦笑しながらも何処かサッパリした顔で「商人として一から出直すよ」と笑って言う。そして僕に小さな小箱を手渡してくれた。
 
「これを受け取って欲しい」

 渡されたものは指輪だ。装飾が凄い豪華なものではなくシンプルなものだ。ただ、石は魔宝石だろうか?綺麗に輝く緑色をしていた。この色は僕の魔力属性と同じだ。とても心地良い感覚がある。
 
「これ……おじさんが作ったんですか?」
 
「うん。これは自分にとって大切なものを思い出すという魔道具だ。思い出すというのは形ではなく記憶なんだけどね。私達は大切なものを見失っていた。リューク君にはそうならないで欲しい。まだ試作段階の商品で申し訳ないけど、是非君に託したい」

 おじさんの顔はとても真剣だ。これが冗談ではない事は伝わってくる。でも何でこれを俺に渡すのか分からない。
 
「どうしてコレをくださるんですか?」
 
「君の事が大好きだからだよ。私達に出来なかった事を君はやってくれた。あの子を諭してくれた。私達が気付けなかったことを教えてくれた」
 
「おじさん……」
 
「これは私の気持ちさ」

 それが、おじさんとの最後の言葉だった。


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない

あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。 王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。 だがある日、 誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。 奇跡は、止まった。 城は動揺し、事実を隠し、 責任を聖女ひとりに押しつけようとする。 民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。 一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、 奇跡が失われる“その日”に備え、 治癒に頼らない世界を着々と整えていた。 聖女は象徴となり、城は主導権を失う。 奇跡に縋った者たちは、 何も奪われず、ただ立場を失った。 選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。 ――これは、 聖女でも、英雄でもない 「悪役令嬢」が勝ち残る物語。

揺れぬ王と、その隣で均衡を保つ妃

ふわふわ
恋愛
婚約破棄の断罪の場で、すべては始まった。 王太子は感情に流され、公爵令嬢との婚約を解消する。 だが、その決断は王家と貴族社会の均衡を揺るがし、国そのものを危うくする一手だった。 ――それでも彼女は、声を荒らげない。 問いただすのはただ一つ。 「そのご婚約は、国家にとって正当なものですか?」 制度、資格、責任。 恋ではなく“国家の構造”を示した瞬間、王太子は初めて己の立場を知る。 やがて選ばれるのは、感情ではなく均衡。 衝動の王子は、嵐を起こさぬ王へと変わっていく。 そして彼の隣には、常に彼女が立つ。 派手な革命も、劇的な勝利もない。 あるのは、小さな揺れを整え続ける日々。 遠雷を読み、火種を消し、疑念に居場所を与え、 声なき拍手を聞き取る。 これは―― 嵐を起こさなかった王と、 その隣で国家の均衡を保ち続けた妃の物語。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

あなたの幸せを祈ってる

あんど もあ
ファンタジー
ルイーゼは、双子の妹ローゼリアが病弱に生まれたために、「お前は丈夫だから」と15年間あらゆる事を我慢させられて来た。……のだが、本人は我慢させられていると言う自覚が全く無い。とうとう我慢のしすぎで命の危機となってしまい、意図せぬざまぁを招くのだった。 ドアマットだと自覚してないドアマット令嬢のお話。

奪う人たちは放っておいて私はお菓子を焼きます

タマ マコト
ファンタジー
伯爵家の次女クラリス・フォン・ブランディエは、姉ヴィオレッタと常に比較され、「控えめでいなさい」と言われ続けて育った。やがて姉の縁談を機に、母ベアトリスの価値観の中では自分が永遠に“引き立て役”でしかないと悟ったクラリスは、父が遺した領都の家を頼りに自ら家を出る。 領都の端でひとり焼き菓子を焼き始めた彼女は、午後の光が差す小さな店『午後の窓』を開く。そこへ、紅茶の香りに異様に敏感な謎の青年が現れる。名も素性も明かさぬまま、ただ菓子の味を静かに言い当てる彼との出会いが、クラリスの新しい人生をゆっくりと動かし始める。 奪い合う世界から離れ、比較されない場所で生きると決めた少女の、静かな再出発の物語。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!

夏灯みかん
ファンタジー
生まれながらに強い魔力を持つ少女レイラは、聖女として大神殿の小部屋で、祈るだけの生活を送ってきた。 けれど王太子に「身元不明の孤児だから」と婚約を破棄され、国外追放されてしまう。 「……え、もうお肉食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?」 追放の道中で出会った冒険者のステファンと狼男ライガに拾われ、レイラは初めて外の世界で暮らし始める。 冒険者としての仕事、初めてのカフェでのお茶会。 隣国での生活の中で、レイラは少しずつ自分の居場所を作っていく。 一方、レイラが去った王国では魔物が発生し、大神殿の大司教は彼女を取り戻そうと動き出していた。 ――私はなんなの? どこから来たの? これは、救う存在として利用されてきた少女が、「自分のこれから」を選び直していく物語。 ※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。 【2025.09.02 全体的にリライトしたものを、再度公開いたします。】

処理中です...