52 / 94
~第三章~
51.家族関係3
しおりを挟む
「う~ん……。貴族としては仲の良い家庭だったんじゃないかな?」
「ほぉ」
「なんだかんだ言って、僕のしたい事をやらせてくれたし……。学ぶ事には全面的に協力してくれた感じかな」
「その割には淡白な反応だな?」
「う~~ん……」
そう言われると何とも言いようがない。
親との微笑ましいエピソードを思い出せと言われると……何かあったかな?と首を傾げてしまうのは否めなかった。
父上との会話もそうだけど、「親と子供」と言うよりも「上司と部下」と言った関係の方が近い気がする。親子ってもっとこう……なんていうのかな?
「愛情はあるんだけど、それが父親と息子としてのものかどうか分からないんだよねぇ……」
「なるほどな」
国王は苦笑いを浮かべていた。
「父上は「家庭的な男」と言うよりも「仕事に生きる男」だ。家庭を顧みない、とまではいかないけど、それでも優先順位は低かったと思う」
正直、父上は家族の中で僕と話すのが一番楽だったんじゃないかな?と思わなくもない。兄とは話さなかったわけではないけれど、どこか距離があったように思う。兄上は父上と話したそうにしていたけど……。
「ちなみに、母親とはどうだ?」
「母上?」
「あぁ」
「そうだなぁ……」
淑女の代名詞のような母上は、見た目と態度に反して結構ロマンチックな乙女タイプだ。ツンとした冷たい印象はぬぐえないから勘違いしている人は多いけど意外と寂しがり屋だ。夫や子供に甘えて甘えられての関係を望むタイプだと思う。
その事を国王に言えば、「貴族女性にしては珍しいタイプだな。だが、サビオを見ているとちゃんと親に愛情をかけてもらった事が分かる」と言ってくれた。
確かに愛情深い人だった。
ただね、不器用な人でもあった。
素直に愛情表現を示せないというか。
貴族の女性、特に高位貴族の女性はポーカーフェイスが基本装備だ。母上の場合、外も中も一緒。切り替えができないタイプだった。
せめて僕だけでも母上に甘えていれば少しは違ったのかもしれない。
まぁ、今更だけどね。
その後も国王と他愛無い話をして別れた。
あれ?
そういえば兄の話はしなかったなぁと思いながら家に着いた。
国王も何故か兄の事は聞いてこなかったと気付いたのは寝室のベッドに横になってからだった。
「ほぉ」
「なんだかんだ言って、僕のしたい事をやらせてくれたし……。学ぶ事には全面的に協力してくれた感じかな」
「その割には淡白な反応だな?」
「う~~ん……」
そう言われると何とも言いようがない。
親との微笑ましいエピソードを思い出せと言われると……何かあったかな?と首を傾げてしまうのは否めなかった。
父上との会話もそうだけど、「親と子供」と言うよりも「上司と部下」と言った関係の方が近い気がする。親子ってもっとこう……なんていうのかな?
「愛情はあるんだけど、それが父親と息子としてのものかどうか分からないんだよねぇ……」
「なるほどな」
国王は苦笑いを浮かべていた。
「父上は「家庭的な男」と言うよりも「仕事に生きる男」だ。家庭を顧みない、とまではいかないけど、それでも優先順位は低かったと思う」
正直、父上は家族の中で僕と話すのが一番楽だったんじゃないかな?と思わなくもない。兄とは話さなかったわけではないけれど、どこか距離があったように思う。兄上は父上と話したそうにしていたけど……。
「ちなみに、母親とはどうだ?」
「母上?」
「あぁ」
「そうだなぁ……」
淑女の代名詞のような母上は、見た目と態度に反して結構ロマンチックな乙女タイプだ。ツンとした冷たい印象はぬぐえないから勘違いしている人は多いけど意外と寂しがり屋だ。夫や子供に甘えて甘えられての関係を望むタイプだと思う。
その事を国王に言えば、「貴族女性にしては珍しいタイプだな。だが、サビオを見ているとちゃんと親に愛情をかけてもらった事が分かる」と言ってくれた。
確かに愛情深い人だった。
ただね、不器用な人でもあった。
素直に愛情表現を示せないというか。
貴族の女性、特に高位貴族の女性はポーカーフェイスが基本装備だ。母上の場合、外も中も一緒。切り替えができないタイプだった。
せめて僕だけでも母上に甘えていれば少しは違ったのかもしれない。
まぁ、今更だけどね。
その後も国王と他愛無い話をして別れた。
あれ?
そういえば兄の話はしなかったなぁと思いながら家に着いた。
国王も何故か兄の事は聞いてこなかったと気付いたのは寝室のベッドに横になってからだった。
195
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる