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~第三章~
61.王女(元婚約者)side
「王女殿下は解っていらっしゃらないようですが、王族の言葉には力があります。その行動一つで他者の人生を狂わせ、最悪殺してしまうことも可能なほどに。それをご理解頂きたい」
「え!?」
「普通、未成年の子供を身一つで放り出して生きていける訳がない。それも侯爵家の子息をです。常識的に考えられない。御存知ですか?サビオ殿を隣国に追放した場面を隣国の国境警備隊に見られていた事を」
「は!!?」
「王国騎士団が明らかに貴族の子弟を縄で縛りあげて放り出す姿は常軌を逸しております。それを隣国で見られていたんですよ?当然、事実確認として隣国から問い合わせがありました。しかもそれに対応したのが同じ王国騎士団。まぁ、我が国は国境の守りを騎士団で担っていますからそれも仕方のない事なのでしょうな。神官の言葉を鵜呑みにして自分達で事実確認すらしていない事も知っていましたよ。『長年の婚約者をいとも簡単に切り捨てる外道』、『容姿の良い新しい男に尻尾をふる王女』。他にもありますが、その二つが隣国の王女殿下の評価です。ブランデン王国も同様の評価でしょう。否定したくとも事実であるため何も言い返せません。隣国などは『あんな王女を持って大変だ』と侮蔑を通り過ぎて憐れまれる始末ですよ。本当に嘆かわしい……」
「「なっ!!?」」
絶句ですわ!!!!何をおっしゃっているのでしょうか!!!この男!!
お父様と声が重なってしまいましたわ。ですがそれも仕方がありませんよね?だって、それほどに宰相の言葉は酷い言葉でした。
お父様も同じ気持ちだったようですわ。だって、顔を青を通り越して真っ白にされておいででしたから。それに小刻みに震えているのがよく解りましたもの。
「殿下は、ご自分の立場をもう少し考えなさい」
あまつさえ、そんな言葉を吐き捨てるように言うなんて!失礼にもほどがありましてよ!!無礼が過ぎますわ!!!
私は怒り心頭の状態でしたが、それは隣にいらっしゃるお父様も一緒のようでしたわ。私と一緒に「無礼だ」と抗議していたのですが……。
「では、お二人に聞きます。あなた方は自分達の行動に責任を持って行っていますか?我々の目にはそうは見えません。寧ろ、自分達の欲望の赴くままに行動しているように見えます。それも自分達の行動に一切の責任を果たすことなく無責任に。違いますか?」
ああ、宰相は何を言っているんですの!? 彼の言っている事は全く理解できませんわ!!
「私は王女としての責任を果たしてますわ!!」
「何をですか?公務は最低限。いいえ、今は何一つこなしていらっしゃいません。もっとも、公の場に出られても国の恥を晒すだけなので辞めて頂きたいのですがね」
「な、なんですって!!」
「子供のように喚くのはおやめください。既に成人した淑女のする事ではない。はしたないですよ」
「~~~~っ……」
「政略結婚をする価値のない王女殿下を王宮で飼っておくことなど出来ません。なので、そこそこの爵位と領地を与えて夫婦で王宮を去る日まで大人しくしておいて欲しいのです。まぁ、王女殿下には難しい事かもしれませんので、陛下、この『魔法契約書』にサインをしてください。拒否権はありません」
抑揚のない宰相の声は不気味なほど響いていました。
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