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~第四章~
72.サバスside ~魔術師育成学校4~
しおりを挟む「魔力だけが全てじゃない」
「まぁね。魔力の多さでは他者に負けてないのに成績が悪い生徒もいる。うん。サバス、君は正しい」
「デイジー・オレフの事か?」
「そ、下から数える程ってヤバイよ。あの魔力量でさ」
エヴァンの言う通り、下から数える成績。なのに魔力量は上位のデイジー・オレフ。彼女はチグハグだ。
「魔力のコントロールができていないからな。仕方ない」
「だね。彼女の場合、ちょっと特殊だもんね。ある日突然魔力に目覚めたってのもあるし、そこからオレフ王国の国王の隠し子だって事が分って国王が認知したっていう異色の王女様だもんね」
「有名らしいな。俺は知らなかったが」
「別に知らなくってもいいんじゃない?国同士の関係性が深いところは別だけどさ、国交を開いてない国からしたらハッキリ言ってどうでもいい話だしね」
「そうだな。用事がない限りそうそう行かない国だ。行く気もない」
「あははっ!サバスは素直だね。ま、今は行かない方が良いよ。国王の隠し子騒動で家臣は大変だったみたいだし、王妃様は怒り心頭だって話しだからね。くわばらくわばら」
「確か、王妃には息子がいたな」
「うん、第一王子様。王女の異母兄だね。ただし立太子はしてない。だから王妃様は焦ってんじゃない?魔力持ちの王女が王子に取って代わるって」
「庶子にも王位継承権はあるのか?」
「う~~~ん。基本ない。そもそも彼女は一年前に王女になる前は市井で暮らしてた生粋の庶民だ。王族教育だって施されてない。国だってポッとでの王女を王位に就かそうとは考えてないよ。魔力持ちだし、コントロール出来るようにするためこの学校に通わせてるに過ぎない。将来は魔術師になって国に貢献して欲しいんじゃないかな?ま、だからって王妃様の心境は中々複雑だ」
「デイジー・オレフの母親は商家の娘だと前に言っていなかったか?」
「そ、でもね。王妃様だってあんまり変わらない生まれなんだよ。なんたって男爵家の庶子。生母は平民だからね」
「よくそれで王妃になれたな」
「国王の一目惚れだって!」
楽しそうに話すエヴァン。
俺は内心、よく結婚を周囲が許したと思った。
いや、許してはいないか。本当に許していたのなら王妃の産んだ王子は王太子になっている筈だ。
王妃が疑心暗鬼になるのも分かる。
魔力量が多いにも拘わらず一向にコントロールできないデイジー・オレフ。
彼女はまさしく国の地雷なのだろう。
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