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~第四章~
90.サバスside ~調査2~
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日記を参考に二十年前の在校生を調べた。
また二十年前後の事件関係も一緒に調べ上げた。
そして分かったことは以下の通りだ。
「これってさ、リーハイム王太子が亡くなった後の事件だよね?」
「そのようだな」
リーハイム王太子は『転落事故』で処理されている。
本当かどうか分からないが、学校側の隠蔽だけでどうにかなる問題ではない。国が絡んでいる。両国の話し合いは必須だろう。
日記の内容を全面的に信じるのならオレフ王国の貴族子弟が自国の王太子の集団リンチに参加したことになる。
死んだ四人はその貴族子弟の親族だろう。
遠縁だと考えても王族殺しで一族が処刑されていないのは不可解だ。事故で処理されているにしても秘密裏で始末するものだ。それか他の罪状を捏造する。
罪に問われずに生きるなど不可能だ。
王太子の死亡後、一年も経たずに別の事件が勃発している。
こちらは『集団リンチ殺人事件』との見出しだ。
内容も酷い。
相手が逃げられないように集団で取り囲んで暴行を加えたとある。
主犯格の少年は警察の取り調べで「彼は虐めを行っていたんだ。僕達はそれに正義の鉄槌を食らわせただけさ」と供述している。
「君は虐められていた生徒の友人か何かだったの?」と尋ねる警察に対して、「いいえ。クラスも違うし、話したこともないですよ」と供述した。
話したこともない生徒のために殺人を犯した。
警察側もさぞかし困惑しただろう。
顔見知り程度の関係だ。
その同級生が虐められていると知って集団で虐めっ子をリンチした。
正義感が強い、というだけでは片付けられない。
何か問題があると考えるのが自然だ。
警察側は当初、家庭環境に問題があるとみて聞き取り調査を行ったが、家庭環境は良好だった。
極々普通の家庭。可もなく不可もない。
それはリンチに参加した生徒全員に言えることだった。
家庭環境に問題がないのなら何故そんなことになったのか?
一年程前に学校で転落事故があった。
留学生の王太子は主犯格の少年と同じクラスメイトだということが判明した。
身近な人の死が原因ではないだろうかと。
本人達も知らず内に精神に異常をきたしていた。
そう結論づけられている。
主犯格の少年は「彼は虐められていた」「正義感からリンチした」と言っているが、その真偽は不明だ。
当時の担任教師は「彼はクラスでも人気者で、友人も多かったです」と供述している。
そんな彼が虐めを行っていたのか?という疑問も残っている。
今となっては真相を知る術はない。
「ねぇ、サバス。これってさ」
「……ああ」
エヴァンも同じ結論に達したようだ。
そう、この事件には何かある。
精神異常だけでは片付けられない何かが。
「ねぇ、サバス」
「なんだ?」
「僕さ、この記事を書いた人に会ってみたい。この記事を書いた人はさ、当時のことを詳しく知ってるはずだよ」
「確かに。だが会うのは危険かもしれないぞ」
「うん。でも会ってみたいんだ」
「……わかった」
「いいの?」
「ああ、ただし俺も行くからな」
「ありがとう!」
俺が同行すると伝えるとエヴァンは嬉しそうに笑った。
まったく……。俺は溜息を吐いた。
どうも最近、俺はエヴァンに甘くなっている気がする。自分でも認めたくないが。
また二十年前後の事件関係も一緒に調べ上げた。
そして分かったことは以下の通りだ。
「これってさ、リーハイム王太子が亡くなった後の事件だよね?」
「そのようだな」
リーハイム王太子は『転落事故』で処理されている。
本当かどうか分からないが、学校側の隠蔽だけでどうにかなる問題ではない。国が絡んでいる。両国の話し合いは必須だろう。
日記の内容を全面的に信じるのならオレフ王国の貴族子弟が自国の王太子の集団リンチに参加したことになる。
死んだ四人はその貴族子弟の親族だろう。
遠縁だと考えても王族殺しで一族が処刑されていないのは不可解だ。事故で処理されているにしても秘密裏で始末するものだ。それか他の罪状を捏造する。
罪に問われずに生きるなど不可能だ。
王太子の死亡後、一年も経たずに別の事件が勃発している。
こちらは『集団リンチ殺人事件』との見出しだ。
内容も酷い。
相手が逃げられないように集団で取り囲んで暴行を加えたとある。
主犯格の少年は警察の取り調べで「彼は虐めを行っていたんだ。僕達はそれに正義の鉄槌を食らわせただけさ」と供述している。
「君は虐められていた生徒の友人か何かだったの?」と尋ねる警察に対して、「いいえ。クラスも違うし、話したこともないですよ」と供述した。
話したこともない生徒のために殺人を犯した。
警察側もさぞかし困惑しただろう。
顔見知り程度の関係だ。
その同級生が虐められていると知って集団で虐めっ子をリンチした。
正義感が強い、というだけでは片付けられない。
何か問題があると考えるのが自然だ。
警察側は当初、家庭環境に問題があるとみて聞き取り調査を行ったが、家庭環境は良好だった。
極々普通の家庭。可もなく不可もない。
それはリンチに参加した生徒全員に言えることだった。
家庭環境に問題がないのなら何故そんなことになったのか?
一年程前に学校で転落事故があった。
留学生の王太子は主犯格の少年と同じクラスメイトだということが判明した。
身近な人の死が原因ではないだろうかと。
本人達も知らず内に精神に異常をきたしていた。
そう結論づけられている。
主犯格の少年は「彼は虐められていた」「正義感からリンチした」と言っているが、その真偽は不明だ。
当時の担任教師は「彼はクラスでも人気者で、友人も多かったです」と供述している。
そんな彼が虐めを行っていたのか?という疑問も残っている。
今となっては真相を知る術はない。
「ねぇ、サバス。これってさ」
「……ああ」
エヴァンも同じ結論に達したようだ。
そう、この事件には何かある。
精神異常だけでは片付けられない何かが。
「ねぇ、サバス」
「なんだ?」
「僕さ、この記事を書いた人に会ってみたい。この記事を書いた人はさ、当時のことを詳しく知ってるはずだよ」
「確かに。だが会うのは危険かもしれないぞ」
「うん。でも会ってみたいんだ」
「……わかった」
「いいの?」
「ああ、ただし俺も行くからな」
「ありがとう!」
俺が同行すると伝えるとエヴァンは嬉しそうに笑った。
まったく……。俺は溜息を吐いた。
どうも最近、俺はエヴァンに甘くなっている気がする。自分でも認めたくないが。
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