11 / 85
本編
11.伯爵令嬢視点2
エバ・キュリー男爵令嬢。
平民として育った男爵家の庶子。
彼女の母親は随分と美しい女性であったらしく、男爵家でハウスメイドとして働いていた時に見初められた。その後、正妻が亡くなると後妻として迎え入れられたというのだから人の運というのは分からないものだと母たちが囁き合っていたのをよく覚えている。
『そのメイドは上手くやったものですわね』
『まったくだ。歴史は浅いが、男爵家の財力は高位貴族並。後妻とはいえ正妻として迎え入れられたのだ。左団扇で暮らせるだろう』
『あちらには先妻の嫡男がいらっしゃいましたわね』
『ああ。中々優秀だ。父親同様に上手く貴族社会を渡っていくだろう』
『後妻には娘がいるそうですわ』
『男爵との子だろう』
『跡取りの嫡男がよく許しましたわね』
『父親と何らかの取引をしたはずだ。そうでなければ騒ぎになっている』
『ならば爵位を息子さんに?』
『恐らくな。男爵が引退するのは時間の問題だろう』
『そういえば、子爵夫人が話していましたが男爵の娘さんが学園に入学されるようですわ』
『なら間違いない。庶子の娘に箔を付けさせて何処かに嫁がせる気だ』
『まあ!』
『なんにしても雑種が紛れ込んでくるんだ。用心しておいた方がいいな』
『…………ええ』
――――――私はこの時、何とも言えない気持ちになったのを覚えている。
母たちの予想は的中し、彼女は学園にきた。
貴族の学園に入るのに多額の寄付金を積んだのは想像に難くない。
そうでなければ、幾ら「男爵令嬢」になったからと言って学園への入学許可は下りなかったはず。付け焼刃の貴族令嬢が本物と渡り合えるはずもなく、育った環境とそれまでの教育に大きな差がでるのは仕方がなかった。
もっとも、それらを差し引いても彼女の行動は目に余るものがあった。
貴族としてのマナーを一切無視。
『そんなのに意味あるの?』
『肩がこるわ』
『ご飯が美味しく感じられない』
『変な習慣ね。馬鹿みたい』
と文句ばかりで結局、最低限のマナーすら身に付ける事はできなかったようです。
彼女は貴族として生きていく気はないのでしょうか?
社交界はどうする気ですか?
茶会は?夜会は?
後から知ったのですが、キュリー男爵は娘を商家と縁づけようとなさっていたようです。
まぁ、それを聞いて少しは納得しました。
それと同時に接待の時どうするのかと疑問にも思いました。あれでは商人の妻失格でしょう。王太子殿下の件がありますのでその話は有耶無耶で終わったようです。
平民として育った男爵家の庶子。
彼女の母親は随分と美しい女性であったらしく、男爵家でハウスメイドとして働いていた時に見初められた。その後、正妻が亡くなると後妻として迎え入れられたというのだから人の運というのは分からないものだと母たちが囁き合っていたのをよく覚えている。
『そのメイドは上手くやったものですわね』
『まったくだ。歴史は浅いが、男爵家の財力は高位貴族並。後妻とはいえ正妻として迎え入れられたのだ。左団扇で暮らせるだろう』
『あちらには先妻の嫡男がいらっしゃいましたわね』
『ああ。中々優秀だ。父親同様に上手く貴族社会を渡っていくだろう』
『後妻には娘がいるそうですわ』
『男爵との子だろう』
『跡取りの嫡男がよく許しましたわね』
『父親と何らかの取引をしたはずだ。そうでなければ騒ぎになっている』
『ならば爵位を息子さんに?』
『恐らくな。男爵が引退するのは時間の問題だろう』
『そういえば、子爵夫人が話していましたが男爵の娘さんが学園に入学されるようですわ』
『なら間違いない。庶子の娘に箔を付けさせて何処かに嫁がせる気だ』
『まあ!』
『なんにしても雑種が紛れ込んでくるんだ。用心しておいた方がいいな』
『…………ええ』
――――――私はこの時、何とも言えない気持ちになったのを覚えている。
母たちの予想は的中し、彼女は学園にきた。
貴族の学園に入るのに多額の寄付金を積んだのは想像に難くない。
そうでなければ、幾ら「男爵令嬢」になったからと言って学園への入学許可は下りなかったはず。付け焼刃の貴族令嬢が本物と渡り合えるはずもなく、育った環境とそれまでの教育に大きな差がでるのは仕方がなかった。
もっとも、それらを差し引いても彼女の行動は目に余るものがあった。
貴族としてのマナーを一切無視。
『そんなのに意味あるの?』
『肩がこるわ』
『ご飯が美味しく感じられない』
『変な習慣ね。馬鹿みたい』
と文句ばかりで結局、最低限のマナーすら身に付ける事はできなかったようです。
彼女は貴族として生きていく気はないのでしょうか?
社交界はどうする気ですか?
茶会は?夜会は?
後から知ったのですが、キュリー男爵は娘を商家と縁づけようとなさっていたようです。
まぁ、それを聞いて少しは納得しました。
それと同時に接待の時どうするのかと疑問にも思いました。あれでは商人の妻失格でしょう。王太子殿下の件がありますのでその話は有耶無耶で終わったようです。
あなたにおすすめの小説
【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか契約聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
番外編(編集済み)と、外伝(新作)アップしました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。
聖女を追い出しても平気だと思っていた国の末路
藤原遊
ファンタジー
聖女が国を去った日、神官長は分かっていた。
この国は、彼女を軽く扱いすぎたのだと。
「聖女がいなくても平気だ」
そう言い切った王子と人々は、
彼女が“何もしていない”まま国が崩れていく現実を、
やがて思い知ることになる。
――これは、聖女を追い出した国の末路を、
静かに見届けた者の記録。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)