悪役令嬢の私は死にました

つくも茄子

文字の大きさ
53 / 85
100年後

51.ゴールド枢機卿視点2

 
 結果から言うと大丈夫じゃなかった。

 部下からの続報によると、神殿の地下牢には幼い子供が鎖に繋がれて監禁されていると言うじゃないか!!しかも、村人達から虐待を受けているという証言も上がってきた!!!
 何じゃ、そりゃ!? 一体どういう事だよ!?
 しかも子供は五、六歳くらいの幼児との報告……。
 おいおい、いくら何でも幼すぎ!!
 一体いつからそんな状況だったんだ。その前に何で子供を監禁して虐待していたんだよ?意味不明。理解不能。

 これは早急に対処しなければマズいね――と思った。

 その国の権力者に話を通すべきか、とも考えた。でもねぇ、こういった村関係は国の力が届き難くて放置されていたりする。国と国の国境からはかなり離れているのも原因なんだけど、それにしてはもう酷い。酷すぎて言葉がでないよ。

 聖王国から使者を送り対策を取るように促した。
 それ以外に方法ってないんだよね。

 フランも呆れてた。


『外からアクションを掛けた方が動きやすいでしょう』

『誰だって国の恥を外には出したくないもの』

『聖王国の言葉を無視する事はないでしょう』


 なんて言いながら同意してくれた。
 そして使者を遣わすことになった。でも、多分……その村はもうダメだろう。
 どんな理由があるにせよやっている事は犯罪だ。その証拠を神殿の地下に隠していると報告したし……まぁ、証拠が無くても同じように処理されただろうけどね。その村の関係者達は、もう「終わり」だろう。後はあの国の人間がどう対処するのか見モノだよね。
 しかしなぁ~、こんな犯罪って本当に起きるんだね。しかも聖女見習いが滞在する村で起こるだなんて――ついてないよねぇ?


  それからさらに数日後、神殿の地下にある隠し部屋と地下牢を調べた結果を知らせに来た部下から驚愕する報告がなされた。
 なんとその女児は「聖属性」の持ち主だという! 
 何、その子……神の子じゃん。正確には「神の愛し子」。……今の時代にまだそんな存在が居たんだ。希少種だよ、ほんとに。
 そんな子を監禁とかあり得ない……。
 しかも、その地下牢はがあったらしい。

 おいおい、何?それ!?

 そんな重要な案件が隠ぺいされているなんて――この国大丈夫? あ、そういえばこの神殿って旧時代の遺跡なんだっけ?ヤバくない?え?その女児を村から移動して本当に大丈夫?……聖女一行は速やかに村から立ち去った方がいいねっ!

 イリス達は女児の保護を名目に村を後にした。
 ただし、イリス達が村から出た瞬間に村が壊滅してしまった。

 やっぱり!!

 村全体が湖になったって何だよ!?


 その後がもう大変だった。
 これは後から解った事だけど、村は元々水神を祀っていたらしい。
 多分だけど女児は「水神の巫女」の家系だったんじゃないかな?千年前はそういった「巫女の家系」は珍しくなかったしね。で……そんな村は元々あった水神信仰を止めてしまったわけか。
 まぁ、巫女がいれば水に関しては何の問題もない。
 最初は有難がられていても年月と共にそれが「あたりまえ」と受け止められていくのもまた人間社会ではよくある事だ。残念だけどね。

 それでも「巫女」っていうのは誰でもなれるものじゃない。力を使いこなせるように修行する必要がある。保護された女児は強い「聖気」持ちだと判明した。


【女児たちのはが、その力はです――】


 興奮しきった部下からの報告書。
 若干、字の乱れがあった。


 【女児たちを聖王国へ移送致します――】


 ここに来るんだ。
 まぁ、妥当な線だろうな……。


 それにしても力がコントロールできない……か。

 
 きっと赤ん坊の時なんか無意識に力を使ってたんじゃないのかな?報告書には親は女児が二歳の時に死んでいるとある。恐らく、親から受け継いだ力だったんだろう。親が生存していればこんな目には合わなかった筈だ。コントロールできない子供の力を押さえられるのはその親だけ。

 両親共に親族なし。

 最悪のパターンだ。
 親が死んで直ぐに神殿の地下牢へ閉じ込められていたわけだ。
 まぁ、普通の人間からすると幼児が泣いただけで洪水が起こる程の大雨が降ったり、台風クラスの暴風雨が襲ったりといった事が起これば怖い。
 そりゃ、「バケモノ」とか「悪魔付き」とか言われるのは仕方ないね。村ぐるみだったわけだし……。うん。村が湖の底に沈んだのも村人が一人残らず死んだのも自業自得って奴だ。信仰を忘れずに女児を大事にしていれば恩恵もあったんだろうけどねぇ。

 今まで恩恵をタダ同然で貪っていたツケだ。
 仕方ないよね。
 神様を怒らせちゃったんだから。

 ほんと、馬鹿な事をしたもんだ。




 

感想 126

あなたにおすすめの小説

【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか契約聖女になってしまいました

As-me.com
恋愛
完結しました。 番外編(編集済み)と、外伝(新作)アップしました。  とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。  例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。  なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。  ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!  あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。 ※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

聖女を追い出しても平気だと思っていた国の末路

藤原遊
ファンタジー
聖女が国を去った日、神官長は分かっていた。 この国は、彼女を軽く扱いすぎたのだと。 「聖女がいなくても平気だ」 そう言い切った王子と人々は、 彼女が“何もしていない”まま国が崩れていく現実を、 やがて思い知ることになる。 ――これは、聖女を追い出した国の末路を、 静かに見届けた者の記録。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

婚約破棄は喜んで

nanahi
恋愛
「お前はもう美しくない。婚約破棄だ」 他の女を愛するあなたは私にそう言い放った。あなたの国を守るため、聖なる力を搾り取られ、みじめに痩せ細った私に。 え!いいんですか?喜んで私は去ります。子爵令嬢さん、厄災の件、あとはよろしく。

私は善意に殺された・完結

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

嘘つきと言われた聖女は自国に戻る

七辻ゆゆ
ファンタジー
必要とされなくなってしまったなら、仕方がありません。 民のために選ぶ道はもう、一つしかなかったのです。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。