悪役令嬢の私は死にました

つくも茄子

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五十年前の「とある事件」

72.聖女候補3

 アホの国、違った。アホが多い国は謝罪すれば許されると本気で思っている。
 そう言わなくても態度で分かる。
 加えて聖王国との繋ぎを取りたいと言わんばかりの態度に腹が立つ。

 カタリナ嬢を庇護下に置いているから?
 彼女を虐待した国が?
 一体何の冗談かしら?
 カタリナ嬢は聖王国へ連れて行ったのは正解だと自画自賛した。


「加害者達の処罰が甘いのではないかしら?」

「うん。被害者であるカタリナ嬢に酷いことをしたのに牢に閉じ込めて終わりっぽいからねぇ」

「彼女が受け継ぐはずの財産を散財したのに取り立てもしないなんて……。この国はどうなっているの?」

「使い込んだのがカタリナ嬢の家族だからじゃない?」

「アレが家族?」

「書類上は家族だよ。父親は列記とした実父だしね」

「どう見ても横領でしょうに……」

一部の王族第二王子と愛妾がグルだったから仕方ない。王家もこの件に関しては有耶無耶にしたいんだろうね。戦後復興もあるし」

「王家の醜聞は隠したいというわけね」

「そういうこと。戦争は終結したけど、だからって勝ったわけじゃない。痛み分けの引き分けってところだ。だから戦利品なんてものはないし、賠償金だって手に入らない」

「……民衆の暴動が怖いわね」

「そうだね。今は聖女候補が実家と婚家でひどい扱いを受けたってことしか民は知らない。これで王家も関わっていたことが露見したら間違いなく暴動が起きる。王家はそれを分っているから怒りの矛先を彼らに向けようとしているんだ」

 もしもの時は彼らを切り捨てるということだろう。
 牢に入れているのは、民衆になぶり殺されない為の処置か。はたまた、そうなりそうになったら贄として提供するためか。

 どちらにしてもカタリナ嬢をこの国に戻すつもりはない。

 名目上、「聖女になるための修行をモンティーヌ聖教国で行う」と、大聖女である私が宣言した。
 もちろん、カタリナ嬢は聖王国で引き取る。
 この国は勝手に「カタリナが聖女になれば国に戻って奉仕する」と思い込んでいるようだけど。
 そんなこと私が許すわけないでしょう。
 ゴールド枢機卿だって同じだ。
 聖教国の庇護下に入れたのに、なんでこの国の尻拭いをしなきゃならないのだか……。

「取り立ては僕の方でしておくよ。得意なんだこういうの」

「お願いするわ」

 守銭奴のゴールド枢機卿の事だ。
 しっかりと取り立てて、使い込んだ金額をきっちり回収するだろう。
 きっと裏帳簿も既に確保している筈だ。
 明細書のない買い物に関しても、きっちり取り立ててくれるだろう。

 こういうところが怖いのよね……この人。
 ニコニコ笑顔でヤクザ顔負けの取り立てをするのが目に浮かぶ。

 敵に回したくない人だわぁ。

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