愛のかたち

凛子

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「昼飯出来たぞー」

 野上が声を張り上げると、社員達がぞろぞろとキッチンに集まって来た。野上は食事を中断し、食器の準備とサラダの盛り付けを手伝ってくれた。社内にいた社員全員に行き渡ると、彩華も椅子に腰を下ろして皆の様子を窺った。


「ご馳走さまでした。めちゃくちゃ旨かったです」

 一番乗りだった社員が、食べ終わった食器を持ってキッチンにやって来た。

「使った食器は、各自で洗うか交代で分担するか、その辺は相談して決めてくれ」

 と野上が指示を出した。

「ご馳走さまでした。明日も楽しみです」

 次はそんな言葉を掛けられ、自然と笑みが零れた。
 結局、洗い物は分担することになったようで、キッチンに数人の社員が残り、案外楽しそうにやっている様子を、彩華は少し遅めの昼食をとりながら眺めていた。

 片付けを終えると、彩華はホッと胸を撫で下ろした。


「お疲れ様。疲れただろ」

 野上がキッチンにやって来た。

「いえ。皆さんに『美味しかった』って言って貰えたことが凄く嬉しくて、明日も頑張ろうって思えました」

 野上は何も言わず優しい笑みを浮かべた。

「まだ外から戻ってこられてない方の分は冷蔵庫に入れておいたので、レンジで温め直して食べて貰えれば。まだもう少しの間は私もここにいますけど」

 と彩華が伝える。

「観賞用として、いつまででもいてくれて全然構わないよ」

 野上は悪戯な笑みを浮かべながら言った。あの日、翔が言った言葉だ。

「もうっ、やめてくださいよぉ」

 彩華は苦笑いした。
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