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緋色の宿命
2ー4 緋色の瞳
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そんなわけで俺は魔法を使えるということを証明するためにこの取調室の隣の部屋に連れて来られることとなったのだ。
だけど……
俺は隣でぷかぷかと身体を浮かすイレーネに耳打ちした。
「なぁ、俺って本当に魔法使えるのか……?」
「本当よ。何? 心配?」
「心配もなにも俺魔法なんて生まれて一度も使ったことないんだぜ。使えるなんてこと自体信じられねーよ。第一、いつ魔法を授けたんだ?」
「わからない?」
「いや……」
一応予想はついていた。
だが本人の口から確認を取りたかったのだ。
俺を一瞥するとイレーネは妖美な笑みを浮かべ自分の唇を指先で撫でた。
「それは勿論キスした時よ」
……やっぱり。
わかってはいたが実際口にされると自分の頬が熱くなるのがわかる。
気恥ずかしさと少しの悔しさ。
だけど動揺してるのがバレたら馬鹿にされるに決まってるので俺は平静を装いながら呟いた。
「………………あの時か」
「ええ。あの時よ」
だがイレーネは俺が内心焦っていることを見抜いたようでにやにやしながら俺の額をこついた。
「あら、もしかしてキスした時のこと思い出して赤面してるの? かわいいっー!」
からかわれた俺の頬はますます赤くなる。
「ふふ。キスされたぐらいでこんなに顔真っ赤にしちゃってウブねー。ほんと」
赤く染まった俺の頬をつつくイレーネ。
くそ!
悪かったな! 女慣れしてなくって!
俺はイレーネの手を払いのけた。
「そ、それはともかく、魔法が使えたとして使い方なんて全く知らねーぞ!」
「そんなことないわよ。あなたは使い方を知ってるわ」
平然とそう言うイレーネに俺は首を捻った。
「何言ってるんだ? お前が俺の魔法のことを口にしたのはついさっき。使い方なんて一言も言ってないのに俺が知るわけ……」
俺がそこまで言うとイレーネは軽く左右に首を振り真剣な表情でじっと見据えた。
「あなたは知っているはずよ。絶対にね」
「……絶対に?」
俺が眉をひそめると同時に隣の部屋のドアが開く音がした。
視線をやると隣の取調室に入ってきていたのは二人の男達。
一人は制服を着ているのでおそらく警官。
そしてその警官が連れて来たもう一人はいかにも悪いことしてきましたっていう頬に三日月型の傷がある悪人面の男だった。
もしかしてあれが容疑者か……?
悪人面ってどこの世界でも一緒なんだな。
そんなことを思っている俺の肩をレスレード警部が叩いた。
「何?」
「何じゃない。容疑者が来たんだ。魔法を使ってみろ」
「え……?」
指先を悪人面の男に向けるレスレード警部に俺は顔を引きつらせた。
やばい、どうする?
ここはやっぱり正直に魔法なんて使えないって言うか?
でもあんだけイレーネが使えるって自信満々に言ってたんだ。
今更『知りませんでした』って言ったらイレーネと共に公務執行妨害でぶち込まれるかもしれない。
もしそうなったら困る。
いくらミステリー好きだからっていってもあんな埃っぽい牢屋に一生いるなんて死んでもごめんだ。
だけど魔法の発動方法なんて知らないし……
いや、待てよ。
確か魔法を使うとき何か呪文を唱えるのがお約束だったはず。
なら何か唱えれば魔法が発動するのでは?
でも何を唱える?
そういえば泉から小難しい呪文をいくつか聞いたことがあったな。
もしかしてそれが使えるんじゃないか?
ウォーターなんチャラとか。
ファイヤーなんチャラとか。
……あれ?
どうしよう。一個も一言一句覚えているものがない……
ミランダ警告とかは英文まで覚えているのに、ファンタジーに関する記憶力なさ過ぎだろ。俺。
こんなことになるならもっと……
─────『アカシックレコード』
頭を抱えたその時ふとその言葉が頭の中に浮かんだ。
あ、思い出した。
そうそう。
『アカシックレコード』
それだ。
確か意味は全ての意識の集合体、元始から書かれている世界の全記憶。
その言葉を頭の中に浮かべれば魔法が使え……
ってあれ?
なんで俺、そんなこと知ってんだ……?
俺が首を傾げると同時に目に違和感を覚える。
なんだ?
急に目が温かく……
「あっ……」
突然レスレード警部とメアリーさんが俺の顔を見て小さな声を上げた。
「目が……」
「目?」
なに?
俺の目、変なことになってんの?
わけがわからず狼狽えているとメアリーさんがスカートのポケットから手鏡を渡してくれた。
俺はおそるおそる手鏡を覗き込む。
「え……?」
鏡に映っていたのはいつもと変わらない俺の顔。
ただ一つだけ違いがあるとすれば青みがかった黒色の瞳がいつの間にか濃く明るい赤。
そう。
俺の目の色が緋色に変わっていたのだ。
だけど……
俺は隣でぷかぷかと身体を浮かすイレーネに耳打ちした。
「なぁ、俺って本当に魔法使えるのか……?」
「本当よ。何? 心配?」
「心配もなにも俺魔法なんて生まれて一度も使ったことないんだぜ。使えるなんてこと自体信じられねーよ。第一、いつ魔法を授けたんだ?」
「わからない?」
「いや……」
一応予想はついていた。
だが本人の口から確認を取りたかったのだ。
俺を一瞥するとイレーネは妖美な笑みを浮かべ自分の唇を指先で撫でた。
「それは勿論キスした時よ」
……やっぱり。
わかってはいたが実際口にされると自分の頬が熱くなるのがわかる。
気恥ずかしさと少しの悔しさ。
だけど動揺してるのがバレたら馬鹿にされるに決まってるので俺は平静を装いながら呟いた。
「………………あの時か」
「ええ。あの時よ」
だがイレーネは俺が内心焦っていることを見抜いたようでにやにやしながら俺の額をこついた。
「あら、もしかしてキスした時のこと思い出して赤面してるの? かわいいっー!」
からかわれた俺の頬はますます赤くなる。
「ふふ。キスされたぐらいでこんなに顔真っ赤にしちゃってウブねー。ほんと」
赤く染まった俺の頬をつつくイレーネ。
くそ!
悪かったな! 女慣れしてなくって!
俺はイレーネの手を払いのけた。
「そ、それはともかく、魔法が使えたとして使い方なんて全く知らねーぞ!」
「そんなことないわよ。あなたは使い方を知ってるわ」
平然とそう言うイレーネに俺は首を捻った。
「何言ってるんだ? お前が俺の魔法のことを口にしたのはついさっき。使い方なんて一言も言ってないのに俺が知るわけ……」
俺がそこまで言うとイレーネは軽く左右に首を振り真剣な表情でじっと見据えた。
「あなたは知っているはずよ。絶対にね」
「……絶対に?」
俺が眉をひそめると同時に隣の部屋のドアが開く音がした。
視線をやると隣の取調室に入ってきていたのは二人の男達。
一人は制服を着ているのでおそらく警官。
そしてその警官が連れて来たもう一人はいかにも悪いことしてきましたっていう頬に三日月型の傷がある悪人面の男だった。
もしかしてあれが容疑者か……?
悪人面ってどこの世界でも一緒なんだな。
そんなことを思っている俺の肩をレスレード警部が叩いた。
「何?」
「何じゃない。容疑者が来たんだ。魔法を使ってみろ」
「え……?」
指先を悪人面の男に向けるレスレード警部に俺は顔を引きつらせた。
やばい、どうする?
ここはやっぱり正直に魔法なんて使えないって言うか?
でもあんだけイレーネが使えるって自信満々に言ってたんだ。
今更『知りませんでした』って言ったらイレーネと共に公務執行妨害でぶち込まれるかもしれない。
もしそうなったら困る。
いくらミステリー好きだからっていってもあんな埃っぽい牢屋に一生いるなんて死んでもごめんだ。
だけど魔法の発動方法なんて知らないし……
いや、待てよ。
確か魔法を使うとき何か呪文を唱えるのがお約束だったはず。
なら何か唱えれば魔法が発動するのでは?
でも何を唱える?
そういえば泉から小難しい呪文をいくつか聞いたことがあったな。
もしかしてそれが使えるんじゃないか?
ウォーターなんチャラとか。
ファイヤーなんチャラとか。
……あれ?
どうしよう。一個も一言一句覚えているものがない……
ミランダ警告とかは英文まで覚えているのに、ファンタジーに関する記憶力なさ過ぎだろ。俺。
こんなことになるならもっと……
─────『アカシックレコード』
頭を抱えたその時ふとその言葉が頭の中に浮かんだ。
あ、思い出した。
そうそう。
『アカシックレコード』
それだ。
確か意味は全ての意識の集合体、元始から書かれている世界の全記憶。
その言葉を頭の中に浮かべれば魔法が使え……
ってあれ?
なんで俺、そんなこと知ってんだ……?
俺が首を傾げると同時に目に違和感を覚える。
なんだ?
急に目が温かく……
「あっ……」
突然レスレード警部とメアリーさんが俺の顔を見て小さな声を上げた。
「目が……」
「目?」
なに?
俺の目、変なことになってんの?
わけがわからず狼狽えているとメアリーさんがスカートのポケットから手鏡を渡してくれた。
俺はおそるおそる手鏡を覗き込む。
「え……?」
鏡に映っていたのはいつもと変わらない俺の顔。
ただ一つだけ違いがあるとすれば青みがかった黒色の瞳がいつの間にか濃く明るい赤。
そう。
俺の目の色が緋色に変わっていたのだ。
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