【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……

ひらえす

文字の大きさ
22 / 115
第2章 繋がりは繋がっていく

5.図書館は滅多にないものらしい

しおりを挟む
 街に行って、先ずは神殿で祈りをすませた。サーっと体の中を風が吹き抜けたような感覚がして目を開ける。時として暑さが和らぐような清涼感であったり、寒い時には手足の先から暖かくなったりとその時によって違うが、なんとなくセカイさんが何かしているのだというのはわかる。
「主様、主様!」
 フードの中や袖の中にいるカルラ達が興奮したように、それでも小声で囁く。
「創造神様の神気を感じました!この間もわかりましたが、こんなに確実に感じたのは初めてです!すごいです!」
「同感なの」
「気持ちよかったですの」
「うん、私も感じたよ。良かったね」
「はい!」
 本当は思い切り撫でてやりたいが、念のためローブの中にいてもらう。ちなみに裾のところはやめてもらっている。座る時にお尻で踏んだら嫌だからね。
 入り口の神官に挨拶して神殿を出た。
「天気がいいね」
「はい!」

 先ずはギルドに行って、いつもの品を納品した。そしてアーバンさんにミリィさんと赤ちゃんに会いたい旨を伝えると、何故かアーバンさんは私と一緒に行くことになった。
 道すがら、図書館について聞いてみる。
「アーバンさん、この街には図書館はありますか?」
「図書館?いや、無いな。ギルドの資料室がそれっぽいかなぁ…リッカさん、図書館に行きたいのか?」
「ええ。やっぱり無いですか…」
「本は高級品だからな。学校には共用の教科書や初級の魔法書とかはあるかもしれんが…簡単には見れんだろうし…」
「そうですか」
「王都とか、公爵領とかにはあるんだよ。市民証か利用証の登録か、冒険者証のランク4以上が要るけどな。リッカさんなら入れるはずだ」
「…王都に公爵領…つまりは、裕福な都市って事ですね」
 王都は当然、
公爵領は宝石鉱山を複数持っている裕福な都市だったり、内海の貿易都市だったりする筈だ。
「ま、そういう事だが…行きたいのかい?」
「まあ、気軽に行けるなら、と言うところです。遠い上に都会はちょっと…」
「そうか」
 ホッとした顔をしたアーバンさんに、どうせ王都なんかに行くにせよ、転移術で行って日帰りなんだけど…と思いつつ、ミリィさんに会いに行く。
「あのさ、悪いけど後で一度ギルドによってもらえるか?ギルマスが辺境伯からの伝言を預かってるからさ」
「かまいませんよ」
「ごめんな、行ったり来たりさせて」
「いいえ。近所ですし、これは私の我儘ですから」

 ミリィさんは、自宅の一階を掃除中だった。赤ちゃんは、傍の籠を吊るしたようなベビーベッドで眠っていた。
「こんにちは。お久しぶりです。経過はどうですか?」
「まあ!まあまあまあまあ!」
 ぎゅう!と音がしそうなほど抱きつかれた!目の淵が光っているのは、もしかして涙だろうか。
「あの時はありがとう!本当にありがとう!」
「いえいえ」
 ミリィさんと私の体格はそれほど変わらないようなのに、結構すごい力でぎゅうぎゅう抱きしめられてちょっとビックリした。それでも、私も軽くハグを返して、その背中をぽんぽんする。
「元気そうで良かった。顔色も良いみたいだし」
 ミリィさんは抱きついたままぐしぐしと泣き続けている。これは何かあるのかとアーバンさんを見ると、頭をボリボリかきながら口を開いた。
「ミリィの母親が、ミリィの弟を産んだ時に同じ状態で亡くなってるんだよ。それを思い出したみたいでな」
「ああ…」
「馬鹿、妹よ!弟は生きてるでしょ」
「うん。わかってる。そろそろリッカさん離してやれよ。苦しいだろ」
「あ、いや大丈夫ですけど…」
 たいして苦しくはない。そう言おうとして、ミリィさんがさらに声を上げた。
「あれ?」
 フードごと抱きついていた腕を放しながら、何かをサワサワと撫でた。
「何か動物?」
「いや…」
 アーバンさんは目を凝らすような顔をした。
「妖精…いや、こりゃビックリだ。精霊だろ?完璧に具現化してるのなんて、王宮で見たきりだぜ」

 なんだか、本題に辿り着く気がしなくなってきた。そんな気がした。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

処理中です...