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第3章 心が繋がる時
閑話 精霊達のお留守番
しおりを挟む彼等は、精霊である。基本は光をその身に宿す物達だが、大変珍しいことに複数の属性を操ることができる。そもそもこんな狭い場所に15体も存在するのが前代未聞であり、そもそも光虫…もともと虫としては妖精に近い存在ではあったのだが…虫の身からほとんど妖精体への変容をせずに精霊化し、いきなり人に近い形を取った事も前代未聞である。当然名付けをされた時の魔力の消費もとてつもない物であったはずだった。人間ならば命の危険があるくらいの。
そんなことは、彼等は知っていてもそれほど気にしない。前代未聞だとかなんだとか言われても、彼等にとっては主であるリッカに何気なく進化を促してもらったこの日常こそが、当たり前だからだ。
彼等の主は、毎日調べ物に没頭していることが多い。ぼうっと外を見ているようで、頭の中では大量の情報を処理しているのを、彼らは感覚的に知っている。どうやら白紙の紙を見ているようで、そのくせ目線は本を読むようにすごい速さで動くことが多い。自分たちには見えない本があるようだと誰かが言い出し、そうなのかもしれないとみんなで納得した。たぶん尋ねれば答えてくれるかもしれない、いや教えてくれると思う。もしかしたら教えてない事を忘れているのかもしれない。彼等は楽しそうに没頭している主の姿が嬉しいのでまだいいやと思っている。多分そのうち思い出して教えてくれるだろう。
留守を預かる物達は、部屋を塵ひとつないように掃除して、窓ガラスをきれいにする。ベッドリネンをシワひとつないように整える…そうしたら、薬草畑を飛び回って水をやる…もちろん魔法を使っている。掃除の仕方は主人が教えてくれた。汚れの成分を分解させて浮かせて洗い流す。初めて聞くやり方だったが、主 は普段の掃除もそんなものだと笑っていた。
今日残っている精霊は10人。これだけいれば仕事はものの1時間で終わってしまう。あとは、家の周りの散歩くらいしかやることは無い。食事だって、本来は空気中の魔力の元となる元素を吸い込むだけで充分なのだ。この辺りは特に空気もきれいで、大気中に自然の魔力の素が満ちている。彼らが主と食事するのは、単に楽しいからだ。
「主様、今日はお勉強に行ったの?」
「サブマスの家にお勉強に行きましたのよ」
「夜には帰ると言ってましたよね」
「今日はハーブのお風呂にしようか」
「ハーブのオイルも少し入れますのよ」
「ご飯はどうするの?」
「ハーブにかけるドレッシングだけ作るのはどうかなぁ?」
「いい考え!」
「やりましょうですの!」
そうだ、ドレッシングだけなら空間収納に入れておけば、1週間くらいならば保つのだ。いつまでもお湯をお湯のまま持てる主とは違うが、空間収納はとても便利だ。これも彼等が主から分け与えてもらった力のひとつだ。
浮遊魔法を使って岩塩のミルや胡椒のミルを浮かせる者、浮いたミルを回す者、乾燥したハーブをちぎって入れる者…楽しい作業が始まった。
きっと帰宅した主は、自分たちで考えてやった仕事を褒めて1人ずつ撫でてくれるだろう。彼等にはそんな確信がある。
(早く帰って来ないかなぁ、主様…)
美味しくできたドレッシングを上手に瓶に詰めた事も、みんなで報告するのだ。
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